全水道が名古屋市で第75回定期全国大会を開催
全水道が名古屋市で第75回定期全国大会を開催
全水道は、7月30・31日、名古屋市・名古屋クラウンホテルにおいて、第75回定期全国大会を代議員62人の来場とWebによる代議員55人、書面決議18の参加で行った。
大会は古矢副委員長の開会挨拶で開始し、議長団に隼木至代議員(京都水労)・矢野勝洋代議員(神戸水労)を選出した。
主催者を代表し挨拶にたった二階堂中央執行委員長は、コロナ禍の情勢、水政策、政治情勢などについてふれ、「職場組合員の皆様一人一人を大切に、そして支え合える組織として、単組、地本と一丸となり奮闘していく」と決意を述べた。
続いて、来賓として、連合会長からメッセージを頂き、議長が代読した。次に、来年行われる第26回参議院通常選挙の推薦予定候補者の鬼木誠さん(自治労)、古賀ちかげさん(日教組)からそれぞれ選挙に向けた決意と連帯の挨拶を受け、大会に参加した議員連盟の池田会長、吉峰副会長、角井事務局長を紹介し、代表して池田会長から挨拶を受けた。
議事に入り、第一号議案「2020年度の主な取り組みの総括と2021年度運動方針」(案)を村上書記長が提起し、一日目を休会した。
大会休会後、第45回機関紙・第43回写真コンクールと2021政策標語の入選者を発表した。
大会二日目は、議事を再開し、前日終わった提起を受け第一号議案の質疑を行い、全体で確認し1年間を闘う方針が確立した。
続いて、第二号議案「2020年度一般会計・特別会計決算報告」、第三号議案「2021年度予算」を古矢副委員長が提起し、質疑の後、確認された。
第四号議案「本部役員の選出について」を小野選挙管理委員長(横浜水労)が報告、第五号から第十一号議案「大会宣言」を確認した。
大会スローガンを確認し、議長降壇挨拶、新旧役員挨拶を受け、二階堂委員長の音頭で団結ガンバローを三唱し終了した。
第75回中央執行委員長挨拶 第75回定期全国大会に会場ならびにWEBで参加を頂いた、全国の代議員、傍聴者の皆さんありがとうございます。 冒頭、新型コロナウイルス感染症は世界規模の感染拡大により、多くの方が犠牲となりました、亡くなられたすべての方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 また、昨年から続く感染症による厳しい労働環境の中、全国各地で水道、下水道、ガス事業の現場で、昼夜を問わず市民の命と生活を支えるため奮闘されている、すべての皆様に心からの敬意と感謝を申し上げます。 本日の定期全国大会は、昨年段階からの開催をスライドしての名古屋市での開催となりました。延期の取り扱いなどご理解を頂いた関係者の皆様に組織を代表して御礼申し上げます。 本日の定期大会は、感染が続き収束の見通しがつかない中で、感染対策としてソーシャルディスタンスをはじめ、マスク着用など感染対策につとめながら開催いたします。皆様には最後までのご協力をよろしくお願い致します。 また、本来であれば定期大会開催にあたり、友誼団体、政党などに来賓の皆様にご祝辞など頂くところでありますが、感染対策観点から、出席など見合わせのご案内をさせて頂いていることもあわせて報告申し上げます。 定期全国大会開催にあたり、中央執行委員会を代表して挨拶させていただきます。 この一年を振り返りますと、コロナ禍の社会は深刻な経済格差をあらわにしました。弱い立場の人ほど打撃は大きく、これまで4度の緊急事態宣言が発出され、その度に社会が抱えてきた、深刻な格差が白日の下に晒され、その格差がさらに広がっています。 感染「第4波」が押し寄せた今年4月上旬、失業者を支援するNPOの相談会には、失業が長引き、蓄えが尽きかけた人々が1年前の倍以上の長蛇の列が出来たと報告されています。 その厳しい社会環境の中、昨年の自殺者数は11年ぶりに増加しました。多くの人は「雇用の調整弁」とされる非正規労働者で、失業で社会から孤立すると、不安を1人で抱え込みやすくなることが要因とも言われています。 非正規労働者として働く人が全体の約4割も占めるようになった日本社会は、成長と効率優先した政策を推進した、そのひずみがコロナ禍で露呈したものです。 成長優先の政策を転換し、国民が安心して暮らせるよう、格差の是正に本格的に取り組まなければなりません。所得の再分配や富裕層や高収益の大企業への課税を強化し、非正規で働く人などへの支援を拡充することが求められます。また、最低賃金の引き上げも急務な課題であり、今年は全国一律での最賃見直しが進められようとしていますが、地方における審議会でも積極的な最賃見直しが進むことを期待します。 一方、感染拡大で医療、保健行政などを中心に公共政策が限界を迎えたことも指摘しておかなければなりません。 世界規模で感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症は、変異株の拡大により、途上国では感染被害が拡大し続けています。この間、世界的に新自由主義、グローバル化が台頭し、人々の命や暮らしを犠牲にし、経済システム、利益を優先させ結果により、公共政策の弱点が感染対策や検査、治療に大きな影響がでたことは明らかです。 このパンデミック下で元々抱えていた社会構造がコロナ禍で拡大し、外出自粛や制限により人々を強い閉塞感で覆い、人間社会の分断を招いています。 その一つが「コロナヘイト」です。 人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく,人としての尊厳を傷つけ,差別意識を助長させることになりかねません。 こうしたときこそ、人間の尊厳を守るため、一人一人が自分自身と向き合い、互いを尊重する社会を実現するため労働組合が先頭にたち運動を展開していかなければなりません。 次に水政策について 2018年に可決・成立した、改正水道法では、「水道の基盤を強化するための基本方針」が示されました。その目的であるはずの水道の基盤強化とは裏腹に、事業の運営そのものを民間企業に丸投げできるコンセッション方式が盛り込まれ、大きな議論を呼んできました。 その後の状況はこれまでも機関紙などでお知らせしてきているとおり宮城県におけるコンセッション方式導入に向けた動きが加速しています。水道、下水道、工業用水道を20年間の運営権を民間に一括売却する宮城県の「みやぎ型管理運営方式」において、県議会は6月定例会の本会議で、運営権を設定する議案を賛成多数で可決しました。県は2022年4月の事業開始を予定しています。 この間全水道は、宮城県支部を中心に県議との連携、自治労、市民団体との共闘など様々に運動を展開し、市民団体から約2万筆の反対署名も提出されましたが、県議会では与党の賛成多数で可決、成立しました。しかし、県民からは十分な説明がないなど安全な水道が供給されるのか多くの不安が示されたのも紛れもない事実です。 コンセッション方式の導入が、正しい官民連携のあり方さえも歪め、地域の公共水道を単なる金儲の仕組みとすることに断固反対します、今後の動向に注視しながら地本、県支部、単組と連携して対応にあたっていきます。 また、改正水道法では、都道府県に対し「水道広域化推進プラン」策定が要請されています。これまで大阪府、兵庫県、広島県、香川県、佐賀県の5府県と今後36府県が策定するとしています。 こうした広域化推進において、市町村・自治体運営を基本としてきた水道事業の基盤強化策や、課題など十分に検討されているのか疑念を持つものです。 広域化・広域化に関わる全水道の原則的な考え方については、1970年に方針化した基本的な5原則、1990年には情勢変化に合わせて見直しを行ってきました。具体的には議案書を参照頂きますが、一方で今日的な事業環境は、一律的、一義的な方針では対応出来ないほど、運営形態など地域における課題が山積しています。そうした様々な問題を意識しながら、本定期大会方針では、公公連携による事業基盤の強化を基本に、新たな5原則を示し個別対応していきたいと考えています。 水環境と衛生的な生活を守っている下水道事業においても課題が山積しています。水道事業と同様に、施設は老朽化が進み、現場では労働者の削減も続いてきました。人口減少が見込まれ、財政基盤をはじめ事業基盤全般に課題を抱えています。 国交省では、この間、下水道法の改正により包括的民間委託が推進されてきました。また、「下水道におけるPPP,PFI事業の促進に向けた検討会」も地方公共団体が参画して積極的に進められ、コンセッション事業の活用拡大を推し進めようとしています。 水道・下水道事業は、施設・管路は社会的共通資本です。私たちはこのことを政策闘争の取り組みの基盤に据えていかなければなりません。 公営企業が独立採算による経営であることを押さえつつ、このような公費負担などの予算問題についても、国・地方の財政の組み換えも見据えていくことが重要です。その上で市民一人ひとりが考えることができる情報提供をはじめ、地域によりよい「水の自治」を確立していく方策を模索しなければなりません。 地域の水循環の一環にあって生活や産業、社会活動を支える、公共性が極めて高い、水道・下水道事業を、「財政・技術・自治」に支えられた地方公営企業として持続させ、持続可能な水道・下水道を構築していくため、政策闘争の前進に向け、職場、単組、地本と連携して運動を展開していきます。 公営ガス事業を取り巻く状況は、古くは各地域自治体において公営サービスとしての水道・下水道と同様にガス事業が含まれて運営されてきた歴史があることは言うまでもありませんが、ガス事業においては民業エリアの拡大とともに「ガスは民間で運営するのが当たり前」といった風潮に晒され公営ガス事業が次々に民営化されてきたという経過をもっています。 しかし、このような風潮は正しいのでしょうか。地域社会において、水道・下水道をはじめ、公共の領域が大きいほうが市民生活や地域の社会基盤としてはより強固なものであると言えるのではないでしょうか。 世界の公共インフラを見れば、水道や下水道よりも多くの電力会社が民間から再公営化もしくは公有化とされ、社会基盤の再構築が市民目線で進んでいる実態が多く存在します。 政治関係について 昨年9月に発足した菅政権は、政権の目玉政策としてデジタル改革やグリーン社会の実現などを掲げ発足しましたが、新型コロナウイルス感染症対策が後手々々の場当たり的な対応に終始し、PCR検査すら十分に行われず、ワクチン接種についても自治体での混乱が続いています。相次ぐ「政治とカネ」の問題などで菅政権発足後初の国政選挙となった衆参3選挙区の補欠選挙と再選挙で、自民党は全敗するなどし、政権に対する厳しい批判の表れとして、直近の内閣支持率調査では、支持率低下、不支持が支持を上回っている状況となっています。 衆議院の任期は10月21日です。来たるべき解散総選挙では武内、森山両組織内議員の当選はもとより、推薦するすべての候補者の当選を勝ち取るため、単組、地本、本部が一丸となって取組をすすめていきます。 また、来年夏に予定されている第26回参議院通常選挙は政治闘争を展開するうえで重要な選挙となります。全水道は連帯する組織内の候補者の必勝に向け、 自治労 鬼木 誠 さん 日教組 古賀 ちかげ さん 両予定候補と推薦する候補者全員の必勝に向け全力で闘っていきます。 人事院勧告期の闘いについては、詳しくは方針提起でふれさせて頂きますが、27日に時事通信が「人事院の公務員のボーナス減の公算」と報じていました、一時金を民調の詳細は明らかではありませんが、連合集計などでは昨年冬、本年夏とも厳しい集計結果が示されているなど、余談を許さない状況が続いています、公務員連絡会も27日村上書記長も出席した書記長クラス交渉など追い上げをはかっているところであります。 最後に、コロナ禍での組合活動についてふれておきます。 ワクチン接種が進み生活が元の社会に戻りつつある国々では、コロナ禍依然と同様に人々が移動し、航空機、鉄道、レンタカーなど予約が散れない状況、レストランなど飲食関係も連日満員となっているなど、元の社会に戻りつつあることも報道されていました。 一方、コロナ禍で変わったことは、デジタル化、非接触型の社会、働き方が変わったことも明らかになっています。このことは、単純に受け入れるのではなく、変わったことで良かったことは受け入れ、変えてはいけないことは、労働組合として守り発展させていかなければなりません。 パンデミック下で気づいた人間社会の分断、人の繋がりの大切さ、労働組合の活動など、基本的なことの重要性をしっかりと受け止め、同時に労働組合活動、組織強化に向けた取組など新たな運動のあり方も模索していかなければなりません。 全水道は今年11月に結成70周年を迎えます。コロナ禍で70周年に特化した記念行事等は見送るとしますが、組合員の皆様への記念品や機関紙での70年の歴史を振り返り、これからの全水道運動の発展のため、組織強化、発展に向け単組、地本、本部で力をあわせ奮闘していきます。 これまでも繰り返し申し上げてきましたが、運動の原点は、職場にあることは言うまでもありません。このコロナ禍で一層の仲間の支え合いが重要になっています。産別結集するすべて仲間とともに、さらなる団結強化をすすめていきます。 職場組合員の皆様一人一人を大切に、そして支え合える組織として、単組、地本と一丸となり奮闘していく決意を申し上げ、本日の定期大会において活発な討論をお願いし、中央執行委員会を代表して挨拶に代えさせて頂きます。 |