2020春闘を闘う方針を確立!全水道が中央委員会を開催
全水道は、1月31日、東京・全水道会館で第149回中央委員会を中央委員・傍聴あわせて120人を超える参加で行った。
古矢副委員長の開会あいさつで開始し、議長に恩田中央委員(関東地本・横浜水労)と細田中央委員(四国地本・香川広域水労)を選出した。
主催者を代表し挨拶にたった二階堂中央執行委員長は、2020春闘、政治課題、政策課題等について触れ、「全水道の組織強化は職場に原点がある。水道・下水道・ガス事業に携わる関連労働者の組織化など、さらなる団結強化を」と述べた。
議事では、2019年の産別統一闘争を総括するとともに、2020春闘を闘う「全水道2020春季闘争方針」を活発な討論で全体で確認し、向かう2020春闘の体制を確立した。
第149回中央委員会中央執行委員長挨拶
第149回中央委員会に参加をされた全国の仲間の皆さん大変ご苦労様です。2020年を迎えて初の中央委員会で、本来であれば新年の挨拶など申し上げるべきところでありますが、本日は夕刻に2020年全水道旗開きを開催するため、新年の挨拶はその場でさせて頂きたく、本中央委員会では大きく三点、2020春闘をはじめ、政治課題、政策課題などに触れて挨拶に代えさせて頂きます。
はじめに2020春闘です。
2020春闘は大手産別を中心にすでに取組が開始されていますが、今春闘をめぐる特徴的経済情勢は直近の内閣府が発表した景気同行指数速報値(1月10日)では、足下の景況感を示す一致指数が前月から、0.2ポイント低下して95.1となり、2ヶ月連続で下降となり、基調判断は4ヶ月連続で景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」となっています。
一方、総務省が発表した昨年12月公表の完全失業率は前月比0.2ポイント改善して2.2%となり、依然として低い水準で推移し、有効求人倍率も3ヶ月連続で堅調な雇用情勢が続いています。
こうした中、連合を中心とする第一先行組合は2月末までを要求提出とし、回答ゾーンを3月10日~12日で設定した交渉配置をすすめています。その後中小組合を中心とした第2ゾーンとして闘いが進められることになっています。
こうした春闘期の闘争態勢のもと、連合は2020春季生活闘争においては、社会全体に賃上げを促す観点とそれぞれの産業全体の「底上げ」「底支え」「格差是正」に寄与する取り組みを強化する観点から、月例賃金にこだわり、賃上げの流れを継続・定着させる。加えて、中小組合や有期・短時間・契約等で働く者の賃金の「格差是正」の取り組みの実効性を高めるためにも、働きの価値に見合った賃金の絶対額にこだわり、名目賃金の最低到達水準の確保と目標水準への到達、すなわち「賃金水準の追求」に取り組んでいくとしています。
一方、公務労協は、連合春闘への結集とともに、公務員人件費をはじめとした無原則・無秩序な歳出削減を目的化した財政健全化への政治全体の暴走を警戒し、これに対峙する意味から、2020春季生活闘争の取組の3つの基本的考え方を掲げています、
第一に、すべての公共サービス労働者の生活の維持・改善と格差是正をはかること
第二に、現物給付による良質な公共サービスの実現に向けて、その重要性と普遍性を社会的に喚起し、それを支える適正な賃金・労働条件と人員の確保をはかること
第三に、これらの取組を通じて組織の強化・拡大をはかること
を柱に、組織の総力をあげた取組を展開することにしています。
全水道の春期生活闘争の闘いの詳細は、後ほどの村上書記長から詳細に春闘方針案を提起させて頂きますが、全水道としての中心的な取り組みは、
(1)定年年齢の引き上げについて
(2)長時間労働の是正に向けて
(3)会計年度任用職員について
(4)家庭と仕事の両立について(育児介護休業法関係)などの課題を提起させて頂いていますが、公務員連絡会が提起する全国統一行動、職場集会等を取り組むこととしながら、この中央委員会の方針決定を受け、2020春闘を開始します。各単組におかれましては、2020産別統一要求書に必要な単組要求等を付加するなどしていただき、2月18日を目途に当局に提出し、春闘の単組交渉を開始してください。
また、各単組における次年度職員定数や業務内容等、職場の直接的な労働条件などに関する交渉など、組合員の労働条件並びに社会全体の底上げに資する取り組みを、全水道一丸となって進めていくこととします。
ただし、定年引き上げについては、組合員の皆様の将来不安など大変関心の高いところでありますので、少しだけ触れさせて頂きます。
すでにマスコミ報道で明らかなとおり、国家公務員などの定年引き上げに関わる法案が今通常国会に法案登録されたことは、ご案内のとおりです。そこで今後取り組みや課題などについて共有させて頂きます。
まず定年引き上げの取組は、公務員連絡会、地方公務員部会に結集して取り組みをすすめてまいります。具体的には、2月4日の地方公務員部会での決定を前提として、春闘期の交渉とは切り離し、2月上旬に総務省公務員部長交渉、その後課長クラス交渉を行い国公法改正に遅れないよう取組をすすめてまいります。
そこで、地公法改正におけるいくつかの課題について提起させて頂きます。
給与水準、退職手当のあり方
役職定年のあり方→特に小規模自治体への影響
定年前短時間勤務制と高齢者部分休業制度の兼ね合い
などについて、地方自治体の実情が異なる事柄として原理・原則は国公を基準としながら定年制度の運用について地方の裁量を考慮するよう求めていきます。
次に二点目、政治課題ですが
安倍総理の通算在職日数が歴代最長となり、長期政権の緩みは、直近では二閣僚が引責辞任、そして桜を見る会の様々な疑惑、IR汚職問題が浮き彫りになるなど、驕りが鮮明となっています。
一方、安倍総理は2020年年頭会見で、「2020年を憲法改正年」と表明し、今通常国会で、国民投票法改正案の成立に向けて突き進もうとしています。全水道は、このような動きを強く警戒し、フォーラム平和・人権・環境をはじめとする改憲阻止に向けた闘いに全国各地で積極的に結集し、改憲阻止の闘いを強化していきます。
また、沖縄辺野古への新基地建設阻止、原発再稼働など、国民生活は格差の拡大と貧困の連鎖という危機に晒されています。
安倍政権の暴走を止めるため、来たるべき解散総選挙では組織内議員の当選はもとより、推薦するすべての候補者の当選を勝ち取るため、単組、地本、本部が一丸となって取組をすすめていきます。
また、立憲民主党が野党再編を求めた、社民党、国民民主党との合併問題は、すでにマスコミ報道されているとおりでありますが、この間、全水道としても非公式にこの問題について情報提供をうけてきました。この問題は政党間の問題であるというこれまでの認識のもと、全水道政治闘争との関わりもあることから、本中央委員会前段で急遽、各地本、六都の基本政策、戦術委員の方々とこれまでの経過についてお話しましたが、国民民主党との合併については事実上見送りとなり、社民党については合併となるよう、2月23日の党大会に向けて地方組織を中心に論議がすすめられている状況です。全水道はこれらの推移を検証しながら、政治闘争の強化をはかってまいります。
三点目に政策課題です。
2019年に施行された改正水道法は、その目的であるはずの水道の基盤強化とは裏腹に、事業の運営そのものを民間企業に丸投げできるコンセッション方式が盛り込まれ、大きな議論を呼んできました。
その後状況はこれまでも機関紙などでお知らせしてきているとおりですが、今回の水道法改正において、運営権設定が盛り込まれたところについては、官民連携のあり方さえも歪め、地域の公共水道を単なる金儲の仕組みとすることに断固反対するものです。
政府が推進する都道府県主導による水道広域化においても、過日発生した和歌山市における断水騒ぎを見ても明らかなように、県庁所在地の水道がこのような事態であるならば、広域化を優先することが水道の基盤強化策であるかどうかは、大いに熟慮しなければなりません。
水環境と衛生的な生活を守っている下水道事業においても課題が山積しています。水道事業と同様に、施設は老朽化が進み、現場では労働者の削減も続いてきました。人口減少が見込まれ、財政基盤をはじめ事業基盤全般に課題を抱えています。
水道・下水道事業は、地域の水循環の一環にあって生活や産業、社会活動を支える基盤事業であり、公共性が極めて高い事業であります。水道・下水道事業を、「財政・技術・自治」に支えられた地方公営企業として持続させ、持続可能な水道・下水道を構築していかなければなりません。
最後に、これまでも繰り返し申し上げてきましたが、全水道の組織強化は、職場に原点があることは言うまでもありません。同時に水道、下水道、ガス事業に携わる関連労働者の組織化など、さらなる団結強化も求められています。
職場組合員の皆様一人一人を大切に、そして支え合える組織として、単組、地本と一丸となり奮闘していくことを決意として申し上げ、中央執行委員会を代表して挨拶に代えさせて頂きます。