全水道が第76回定期全国大会を開催

08.23

 全水道は、7月29日から30日に、東京・田町交通ビルで第76回定期全国大会を開催した。本大会は、新型コロナウイルス第7波の影響もあり、来場とWEB参加によるハイブリッド形式による開催となった。来場とWEBによる代議員132人が結集し、2022年度を闘う方針が確認された。また、政府内で内閣感染症危機管理庁の創設のため厚労省の所掌事務を再編し、水道行政を他省庁に移管する前提の議論が進んでいることから特別決議を確認した。

 大会は、辻谷書記次長の開会挨拶で開始し、議長団に平手代議員(横浜水労)と塚本代議員(大阪水労)を選出し、大会書記長に菖蒲谷書記次長を選出した。

 主催者を代表して挨拶に立った二階堂中央執行委員長は、平和、政治、水政策等について触れ「運動の原点は、職場にあり、このコロナ禍で一層の仲間の支え合いが重要になっている。産別結集するすべての仲間とともに、さらなる団結強化をすすめていく」と決意を述べた。

 続いて、来場頂いた来賓からの激励の挨拶、来賓紹介、メッセージ披露が行われ、資格審査委員長からの報告を受け、議長団による成立宣言、議事運営委員長による議事日程の報告が行われた。

 議事では、村上書記長が第一号議案「2021年度主な取り組みの総括と2022年度運動方針」を提起し、初日の日程を終え休会とした。

 二日目は、前日提起のあった第一号議案の質疑応答から行われ、続いて、第二号議案「2021年度一般会計・特別会計決算報告並びに監査報告」が提起され、監査報告、質疑の後確認され、第三号議案「2022年度予算」も提起の後、質疑を経て確認された。

 その後、第五号議案「2022人勧期闘争勝利!大幅賃上げ実現!解雇の金銭解決制度反対!すべての公共サービス従事者の処遇改善に向けて闘う決議」、第六号議案「水政策の前進で『みんなで考えるより良い水道、下水道』を実践する決議」第七号議案「憲法改悪反対、沖縄辺野古新基地建設反対!権力の横暴を許さず、国民の命と生活、民主主義を守り発展させる決議」を確認し、政府内で内閣感染症危機管理庁の創設のため厚労省の所掌事務を再編し、水道行政を他省庁に移管する前提の議論が進んでいることから特別決議として「水道行政の省庁移管に対して慎重な検討を求める特別決議」を確認した。

 その後、大会宣言、大会スローガンを確認し、議長団降壇の挨拶、閉会挨拶を受け、二階堂中央執行委員長の音頭で団結ガンバローを三唱して、大会を終了した。

第76回定期全国大会 中央執行委員長挨拶概要

 第76回定期全国大会に参加された代議員、傍聴者の皆さんお疲れ様です。本日は、来賓として、連合から石上副事務局長、公務労協から森永事務局長、立憲民主党から逢坂代表代行にご臨席頂いています。組織を代表してお礼申し上げます。

 2年半にわたるコロナ禍において、市民生活を支えるインフラ事業としての水道、下水道、公営ガス事業の現場を昼夜を問わず市民の命と生活を支えるために奮闘している職場組合員をはじめとするすべての人に深く敬意を表し、職場、地域で全水道運動にご尽力頂いていることにも重ねて感謝申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は「第7波」へ突入し、連日多くの感染者が出ていますが、変異株の置き換わりが進み「BA5」が感染者のほとんどを占め、「BA2.75」への置き換わりも進むと言われています。感染スピードもこれまでの1.3倍以上の早さで爆発的に感染が拡大し、発熱外来、医療救急体制、保健所業務など医療現場では多忙を極めています。過去2年を振り返れば夏の流行は8月にピークを迎えますが、第7波はピークアウトまで3~4週間かかる可能性があり、新規感染者数も2~3倍では済まないとも指摘されています。

 これまで何度も専門家や研究者が指摘してきたにもかかわらず、政府の対応は後手に回り、第6波までの知見や昨年夏の季節性等も考慮すれば、接種や医療体制確保など自治体と連携した体制を取ることも十分に可能でしたし、これからでも国民生活に不安を生じさせない体制を早急に確立することが求められます。

 現在、中央最低賃金審議会で大詰めの審議を迎えていますが、労使双方の隔たりが大きく、25日に行われた審議は8時間を超える審議が行われたものの次回への持ち越しとなっています。

 日本の賃金水準はOECDが公表したデータで2020年に日本は35カ国中22位で主要7カ国中下から2番目でした。平均年収も1991年を100とした場合、バブル崩壊以降30年間ほとんど給料が上がっていません。

 一方、雇用・労働政策の規制緩和が1985年派遣法の改正に始まり、非正規労働者が急増、リーマショック、コロナ禍と危機のたびに苦境に追いやられ、貧困と隣り合わせの働き方が顕在化し、貧困の連鎖は止まらず、加えて物価高により生活はより一層厳しくなっています。

 新自由主義など成長優先の政策を転換し、格差是正や公的政策見直しなど所得の再分配や富裕層や高収益大企業への課税を強化し、平和で働くことを軸とする安心社会の実現へ転換を進めていかなければなりません。

 2月22日に始まったロシアのウクライナ侵攻は5ヶ月が経過し、日を追うごとに攻撃が厳しくなり、ジュネーブ条約で戦争犯罪とされる民間人やインフラへの攻撃も無差別に行っており、死者が1万人を超えそのうち3割が民間人と報道されています。

 それぞれの国の主権は武力で脅かされてはなりません。国際社会が和平に向けて役割を果たし、日本政府は「平和のうちに生存する権利」を宣言した日本国憲法に基づき、軍事侵攻を即時中止するようロシアに強く求めることが必要です。

 沖縄復帰50年となった本年、短縮した日程で3年ぶりに5・15沖縄平和行進が行われ、全水道は沖縄水労と青年女性部を中心に約40人で行動に参加し、事前に沖縄水労などの協力を頂きながら学習を深めてきました。

 私たちの生命と暮らしを守るためには、平和憲法の理念に立ち返り、日米間の「秘密協定」や議事録すら公開されない日米合同委員会への批判を強めながら、日米安全保障条約のあり方を問い直し、抜本的見直しを追求していかなくてはなりません。

 7月11日に行われた第26回参議院議員通常選挙では、全水道が比例代表として推薦した鬼木誠さん、古賀千景さんが当選を勝ち取り、選挙区候補として各地本・県支部・単組から推薦のあった36名中13名が当選となりました。全員の当選とはなりませんでしたが、全水道組合員とその家族、繋がる人々の奮闘と協力によるものであり改めて感謝申し上げます。

 自公政権が多数の議席を獲得し、衆議院の解散がなければ次回参議院選まで国政選挙は行われず、憲法審や与党にとって「黄金の3年間」になると言われています。衆参の数の力と改憲勢力による憲法改悪、防衛費増額や原発再稼働、解雇の金銭解決制度導入なども懸念されていますが、政治の一強状態は、財務省の文書改ざん問題に見られるように民主主義の破壊と行政の私物化へと繋がります。投票率の低下が指摘される中、民主主義、政治を市民・有権者に取り戻すために一人ひとりが政治に向き合うことが重要となっています。

 民主主義社会では、個人も組織・団体も一定の役割と責任を果たすことが求められることは当然であり、政治活動は労働組合が自らの社会責任を果たす活動の一つです。組合に結集する組合員は、組合員一人ひとりは、組合員であると同時に国民であり、地方自治体・地域社会の一員です。組織の一員として市民の一人として、社会的責任を果たすためにも、政治について関心を持って頂くことが重要です。

 参議院選挙期間中の7月8日、選挙遊説中の元首相が銃殺されました。言論の自由を暴力で封殺することは絶対に許されることではありません。

 国連はSDG’sの中でも「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」として「ゴール6」を設定し、2030年までの解決を目標としています。日本では蛇口をひねれば清浄・豊富・低廉な水を手に入れることができるので、ゴール6を達成しているかのように思われますが、持続可能性という側面から水道・下水道事業を当てはめ考えると行き過ぎた人員削減の結果としての人材不足、人口減少、節水意識の薄さ、過疎による給水密度の低さ、料金収入の停滞や低迷、財政の緊縮、老朽化対策・施設更新の遅れなど問題が山積しています。昨年、和歌山市での水管橋崩落など水道・下水道事業は様々な要因によって事業基盤が損なわれ、持続可能とはいえない状況です。

 開発途上国の水不足地域では、水汲みに多くの時間を費やすことにより働くことができない、水のないところでは農業など生産活動もできない、そして貧困であるが故に簡単な水インフラも得ることができないという負のスパイラルに陥っています。

 インフラ整備が行われ、すべての人が自宅で安全な水を得られるようになると、女性や子どもが水汲みから解放され、年間7700万日以上の時間を節約することができ、過酷な労働から解放されて健康になるだけではなく、その時間を教育や収入を得るために使えると報告されています。

 水道、下水道という衛生に関わるインフラ事業はあって当たり前ではありません、私たちが毎日安心して生活できるのもインフラのおかげで、水と衛生のインフラの整っていないところでの生活はそれだけ苦しいものになっています。コロナ禍で公共サービス、インフラの重要性が改めて認識されてきています。全水道は、職場・単組・地本と連携し政策闘争の強化をはかっていきます。

 定年年齢の段階的引上について、これまでWEBでの学習会を2度開催し、多くの単組、役員の皆さんに参加頂き、60歳超職員の月例給が現行再任用フルタイムの月例給を下回るなどの問題が明らかになっており、各自治体の進捗状況もそれぞれ異なっています。いずれにしても国の制度が固まっており、自治体の裁量による幅が少ない面も否めませんが、情報を共有しながら交渉を促進するものです。

 全水道本部としては総務省に対し、定年引上期間中の新規採用の継続及び増員の確保と財政措置を求めることとします。

 コロナ禍で、デジタル化、非接触型社会、働き方も変わりましたが、変わったことで良かったことは受け入れ、変えてはいけないことは、労働組合として守り発展させていかなければなりません。

 パンデミック下で気づいた人間社会の分断、人の繋がりの大切さ、労働組合の活動など、基本的なことの重要性をしっかりと受け止め、同時に労働組合活動、組織強化に向けた取組など新たな運動のあり方も模索していかなければなりません。

 また、組織強化に向けては、非組合員の組合員化、若年層、新採用職員の組合加入について、単組、地本、本部とともに積極的な取り組みをお願い致します。

 これまでも繰り返し申し上げてきましたが、運動の原点は、職場にあることは言うまでもありません。このコロナ禍で一層の仲間の支え合いが重要になっています。産別結集するすべて仲間とともに、さらなる団結強化をすすめていきます。

 全水道は、職場、単組、地本と一丸となり奮闘していく決意を申し上げ、本日の定期大会において活発な討論をお願いし、中央執行委員会を代表して挨拶に代えさせて頂きます。

全水道中央執行委員長 二階堂 健男

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