水道法の一部を改正する法律案の継続審議に対する全水道見解

06.28

 「水道法の一部を改正する法律案」(以下、改正案)は、37日に第193回国会に提出されたものの、国会での政府・予党の共謀罪法案の強引な採決、安倍首相に対する森友・加計学園疑惑などで審議が遅れ、618日に会期延長もなく国会は閉会、このため改正案は、審議入りしないまま615日に継続審議扱いとなり、秋の臨時国会へ引き継がれることとなった。

 全水道はこの改正案に対し、水道事業の「基盤強化」を求めつつ、「公共施設運営権方式」(以下、コンセッション方式)を導入する仕組みについて問題を指摘、国会での徹底審議を求めてきた。臨時国会での審議にむけて、引き続き同様の姿勢で取り組んでいかなければならない。

 今回の改正案で厚生労働省は、改正理由を「人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、所要の措置を講ずる」こととしていた。

 全水道はこれまで、一昨年の「水道事業基盤強化方策検討会」や、昨年の「水道事業の維持・向上に関する専門委員会」など、厚生労働省に設置された有識者会議に永井中央執行委員長が出席し会議の各場面で、水道事業における人材育成や人員増、地域で水道事業体が連携する「公公連携」・広域化の推進をはじめ、水道労働者の立場から事業基盤強化の必要性を訴え、水道政策の行く末に影響力を発揮・注視してきた。

 また126日には、改正案の閣議決定と国会上程が見込まれるところから、厚生労働省に対して「水道法改正と水道事業の持続性確保向けた要請書」を手交し、「法改正は公共サービスとしての水道事業を継承・発展させるものでなければならない」として、清浄・豊富・低廉の理念の堅持を踏まえた法改正と、コンセッション方式導入に反対するなどの要請を行ってきた。改正案が「水道の基盤強化」を目的としつつ、一方で、コンセッション方式導入を選択することは「基盤強化」の「仕組み」であるよりも、むしろ事業の基盤を損なう危険があることについても警鐘を鳴らしてきた。

 37日、改正案が閣議決定され国会に提出、当初は比較的早い時期での審議が見込まれ、予算委員会などでも若干の関連質疑が行われてきた。しかし厚生労働委員会での審議は、他の法案審議が優先されたため、審議開始がずれ込み、また共謀罪法案の審議、さらに森友・加計学園問題が安陪首相に関わる疑惑として国会で追及されたことから、審議開始の目途が立たないまま国会会期の終了が迫るにいたった。通常であれば国会会期の延長が行われるところだが、安倍政権は疑惑の追及を避けるために共謀罪「成立」を強行、会期を延長することなく強引に幕引きをはかった。

 この間、全水道では国会における改正案の徹底審議をはかるため、水道事業の現状と法案の問題点、とくにコンセッション方式への懸念について野党各政党・国会議員に説明を行い、また自治労とも連携して付帯決議についての検討を進めてきた。また市民集会への参加やマスコミ対応なども積極的に行い、水道事業の重要性と基盤強化の必要性、コンセッション方式の危険性を広く訴えてきた。

 改正案は秋の臨時国会へ継続審議とされたが、全水道はこの間の、水道事業の重要性を社会的に喚起する取り組みや、国会対策などの取り組みをさらに強化していく。

 「水道法の一部を改正する法律案」の審議を通じて、市民・国民が水道事業に対する認識を深く持ち、事業の現状を知り、その地域の水道事業の将来にしっかりと関与できる枠組みの構築を強化することとする。

 

2017628

全日本水道労働組合

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