全水道 2022年8月1日「水の日」に際して

08.01

全水道 2022年8月1日「水の日」に際して

 毎年8月1日は「水の日」として、我々全水道が「水道の公共性」や「水行政の一元化」などを長年、法整備の中で求め、その成果である水循環基本法によって定められている。

いま政府内では、内閣感染症危機管理庁を創設するため、厚生労働省の所掌事務を再編し、水道行政を他省庁に移管する前提の議論が進んでいる。

1957年に成立した水道法において「清浄・豊富・低廉」という3つの目的が制定されたことは、我々の先輩諸氏の訴えが結実した大きな成果であり、これを守ることが全水道運動における大きな不変の柱である。その後、水道法は3度大きな改正が行われたが、その都度我々は「水の公共性」を訴え続け、市民の生命(いのち)の水を守る取り組みを社会に問い続けてきた。2018年に成立した改正水道法は、残念ながら審議打ち切り・全会一致とはならず、政府は水道の民営化へと舵を切りだした。いまや「清浄・豊富・低廉」という水道の基盤が大きく揺らぐ事態となっている。

新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、「清浄にして豊富低廉」な水道の存在が多くの命を守り、あらためて衛生行政における水道の位置と任務が明確にされた。公衆衛生に果たす役割こそ水道の生来の任務であり、「清浄にして豊富低廉」は公衆衛生の源流である。

しかし、いま厚生労働省が所管する水道行政の移管が検討されているという。その移管が「水行政の一元化」から退行するどころか、水道行政の細分化・分離化が進み、水道事業の安定と持続性を損なうことにならないか、コロナ渦中での水道行政の他省庁への移管の検討に強い危機感を持つものである。

 一方、いまなお沖縄をはじめとする全国各地で有機フッ素化合物(PFAS)による水質汚染により、水・水道の安全性が危機にさらされている。我々は厚生科学審議会生活環境水道部会で指摘したように、PFAS規制は水質管理目標設定項目ではなく、水道水質基準としての強化が必要であると強く主張している。この水質汚染の危機に対して、当該地域の地下水や河川など水環境の保全や、水道水質の検査体制を確立するための国庫支出金の支出をはじめ、各地方公共団体・事業体へ浸透するさまざまな制度見直しが求められている。そのためにも、拙速で安易な移管の検討ではなく、現状を把握した水関連行政一元化の議論こそが必要である。

 「水の日」にあたり、私たちは強い懸念を抱かざるを得ない。水関連行政の一元化と強化を目的としない水道行政の安易な移管や統合は、水道の安全と水道事業の安定を脅かし、衛生行政としての水道の歩みが途絶えてしまうという懸念を払拭できない。これは市民生活を危機にさらすことになりかねない。水道行政を強化し、社会的基盤としての水道を守り発展させてゆくためには、水循環基本法の基本理念に掲げる水の公共性を十分に考慮した検討が不可欠である。厚生労働省の所掌事務再編・水道行政の移管に際しては「衛生」の文字通りに、生命(いのち)の水を守るための幅広い視点での検討が行われることを切に望むものである。

 

2022年8月1

全日本水道労働組合

※全文は先に開かれた全水道第76回定期全国大会で確認されたものです。

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