共謀罪法案の「成立」に対する抗議声明

06.15

 本日参議院本会議において、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」、いわゆる共謀罪法案が、与党と一部野党数の力により可決・成立した。この法律は労働運動や市民運動の弾圧強化につながるものであり強く抗議する。

 いわゆる共謀罪法案については、これまで世論の強い反対により国会で三度廃案になっている。しかし、これまで廃案になったものと同一の趣旨を盛り込んだ法案を、政府は「テロ等準備罪」なる呼称でその本質を隠し、国会審議ではあたかも国際組織犯罪防止条約批准のために必要であるかのような詭弁を弄した

 審議を進めれば進めるほどに不安や疑問は増し、委員会での政府側答弁は、有権者をはじめ市民が法案の内容を理解するにはあまりにも不十分なものと言わざるを得ず衆議院でも十分な審議が尽くされたとは到底言い難い状況であった。にもかかわらず政府は519、衆議院法務委員会での審議を一方的に打ち切り、わずか30時間ほどの審議時間をもって採決を強行、523日には衆議院本会議で採決された。

 さらに、参議院においては法務委員会での審議時間わずか18時間足らずという極めて未熟な審議と、かつ参議院本会議での「中間報告なるものをもって委員会採決を一方的に省略し、参議院本会議で可決成立した。

 法案の問題点とともに、その成立経過にも重大な問題があると言わざるを得ない。森友学園問題や加計学園疑惑の追及を避けんがために会期延長を行わず、国会法で規程されている「中間報告」なるものを正当な理由無く行使し、すべてを数の理論で決定する安倍政権の暴挙を、私たちは絶対に許すものではない

 今国会で上程されている水道法改正案についても、他の法案が先んじて議論され法案の趣旨説明すら行われていない。水道事業軽々に扱わんとする安倍政権の軽薄さが表れている

 2013年の国家安全保障会議発足、特定秘密保護法の成立、2014年の武器輸出三原則の見直し集団的自衛権行使容認の閣議決定、2015年の日米防衛協力指針の改定安全保障関連法の成立、そして今回の共謀罪法案の強行可決と、安倍政権の暴走はとどまるところを知らない。米国との同盟強化とともに、中央統制を強める法案を矢継ぎ早に成立させてきた。

 さらにはこの間の沖縄への新たな基地建設や、次々と行われる原発の再稼働、安倍首相による自民党総裁としての憲法9条改正発言など、多くの市民・労働者の声を顧みない政治を進めている。

 全水道は、市民・労働者の声を排除し、横暴の限りを尽くして自らの保身に走る安倍政権の退陣と野党共闘による自民一強政治の打破をめざし、政治闘争を中心に労働者市民の力で異常な国政の転換を求めるそして「共謀罪」に萎縮することなく、引き続き全力で様々な課題の前進に向けて取り組むものである。

 

2017615

全日本水道労働組合

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