2019人事院勧告に対する声明
本日、人事院は2019年度国家公務員の給与に関する勧告・報告と、働き方改革をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行った。
給与に関する勧告では、月例給0.09%、387円、一時金0.05月分を、それぞれ引き上げる内容となっている。
月例給、一時金ともに6年連続での引き上げ勧告となったが、これは人事院勧告制度発足以来初のことであり、民間労組を含めてすべての労働組合が奮闘した結果であり、賃上げの流れを継続させていかなければならない。しかしながら、月例給の上げ幅が極めて小さいことや、一時金も含めた配分については不満の残る内容と言わざるを得ない。
月例給の配分は、行政職俸給表(一)の大卒程度の初任給を1,500円、高卒程度の初任給を2,000円それぞれ引き上げ、30歳台半ばまでの職員が在職する号俸について引き上げるとしており、これは、この間民間における初任給や若年層の給与引き上げが進んでいることから、一定理解するものであり、微少な官民格差にもかかわらず俸給表の改定が行われたことは評価できる。しかし、これまで指摘しているように、給与制度総合的見直しによる中高年層の給与抑制についてまったく配慮されておらず、極めて不満な内容である。月例給の官民格差についてはすべての世代に配慮した配分とすべきである。
また、一時金についても、その増加分すべてを、これまでどおり勤勉手当に配分することは、育児・介護を行う職員や非常勤職員への配慮に欠くものと言わざるを得ないばかりか、再任用職員については改定を見送るなど、問題のある内容である。
再任用職員の一時金引き上げを見送ったことは、同一労働同一賃金の観点から、また、経験豊富なベテラン職員の処遇を軽んじていると捉えられかねない点で問題が残る内容である。このような措置は再任用制度の制度的限界を改めて認識せざるを得ず、定年年齢の引き上げは差し迫った重要な課題であり、国は直ちに定年の引き上げを行うよう強く求めるものである。
住居手当の見直しについては、基礎控除額を4,000引き上げ16,000円とするとともに、その原資を用いて手当の上限を1,000円引き上げ28,000にするとしている。基礎控除額引き上げに伴って手当が減額となる職員もおり遺憾であるが、手当の上限が増加した点は、交渉・協議の成果の一つであると判断するものである。
ハラスメント対策については、「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会」の議論結果も踏まえ、新たな防止策を措置するとしている。労働施策総合推進法の改正により、民間の取り組みに遅れることなく、実行あるパワハラ防止策を求めるものである。特に紛争解決機能の措置については充実したものとされなければならない。
そのほか、非常勤職員の処遇改善、長時間労働の是正、定年年齢の引き上げ等、重要な課題が山積する中で、今後の我々の取り組みが大変重要となっている。
本年の人事院勧告・報告については不満の残る内容も多いものの、人勧期の取り組みを全力で取り組んだ結果として受け止め、引き続き地方確定の取り組み、全水道政策課題、産別統一闘争など各単組の課題の前進に向け、取り組みを強化するものである。
2019年8月7日
全日本水道労働組合