週刊ダイヤモンド2019年1月19日号掲載の記事について

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週刊ダイヤモンド2019年1月19日号掲載の記事について(談話)

1.表記雑誌は第197回臨時国会で成立した、改正水道法に盛り込まれた公共施設等運営権方式の導入を中心にしながら、人口減少社会の中で水道料金の値上げが危惧されるとして危機を煽り、あたかも公共施設等運営権方式がコスト削減に寄与し、財政難に苦しむ水道事業体の救いになるかのような印象を与えるものである。

  あわせて、我々全水道が「組合員の仕事が奪われる」と危機感なるものを募らせ、立憲民主党とタッグを組んで反対運動を行ったなどと、一方的に全水道を「反対派」などとして、わが組織の役員の個人名まで列挙して賛成派と反対派の対立構造を印象付けようとする卑劣な内容となっている。

 

2.立憲民主党並びに森山浩之衆議院議員と全水道との関係について、全水道は立憲民主党を支持政党の一つとしているが、改正水道法については立憲民主党のみならず国民民主党、社会民主党、日本共産党も公共施設等運営権方式の導入に反対しており、「全水道と立憲民主党がタッグを組んだ」なる表現については誤りである。全水道は支持政党以外にも問題意識を共有する政党と共闘している。

  森山浩行衆議院議員については、全水道の組織内議員となる以前から水環境並びに水循環のあるべき姿を真剣に考え活動する議員として、民主党時には水循環基本法成立のために尽力された。森山議員は全水道組織内議員として水道事業基盤強化の重要性を理解され、その上で市民の水を守る立場から公共施設等運営権方式に反対している。

 

3.記事では水道事業について「水道事業の案件は行政から高く受注できる甘い汁」などという具体的根拠に基づかない誤った表現がされているが、現在では工事案件などでも入札または落札に至らない「入札不調」案件が増えており、耐震化工事などが進まない一つの要因となるなど、水道事業に係る案件は決して「甘い汁」などではない。

  また、「水道事業体で働く公務員の数は業務量や収入額に対して多過ぎる」などとする表現に至っては、何らの学術的あるいは統計的根拠に基づいたものでなく、もはや使い古された公務員バッシングのための陳腐な語句でしかない。さらには全水道が既得権益を守ろうとして法案に反対した旨の表現があるが、事実と相違がある。全水道は健全な水循環と、それをもって安全な水を安定的に供給・処理することを求めており、そのために市民の水道を支える職員の処遇改善を訴えてきた。

  そもそも公務員に既得権益なるものは存在せず、むしろ公共施設等運営権方式の導入により既得権益を得る者がこの方式を推進しているのは明白である。

 

4.改正水道法の国会審議では、先の通常国会で成立した改正PFI法とともに改正法案の立て付けに重大な疑惑が存在している。内閣府民間資金活用事業推進室には、公共施設等運営権方式の導入によってそのビジネスチャンスが増加するとみられる巨大水企業・ヴェオリア社日本法人からの出向職員が在籍していることや、内閣府大臣補佐官の突然の辞任と、その補佐官を中心とした欧州出張における利害関係者からの便宜供与など、多くの疑惑にまみれている。こうした既得権者による水の商品化から市民の水を守るため、持続可能な水道事業・下水道事業を追求していく。

  なお、全水道は考え方の違いで二極対立を煽り、一方を敵視する旧態依然とした古き手法に与しない。すべての人々に関わる『水』の問題について異なる意見を排除せず、常に対話を望むものであることを申し添える。

2019年1月16日

全日本水道労働組合 書記長 村上 彰一

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