生命(いのち)の水を守り、地域の水を守る決議

10.09

生命(いのち)の水を守り、地域の水を守る決議

 

 私たちが生きている水の惑星「地球」は、いまその活動の中において、気候変動をはじめとする様々な変化をもって、地震、豪雨など、私たちの暮らしに大きなインパクトを与えている。自然をコントロールする人類の挑戦は儚くも前進あるのみであるが、自然との共生や環境に対する意識を深めた「人間の振る舞い」がいま問われている。

 事業の運営権を売却および譲渡することを可能にする水道法改正案は、先の第196回通常国会にて武内・森山両組織内議員の奮闘の成果もあったが、数の力、与党の横暴による衆議院通過となった。その後時間切れで閉会・継続審議となり、今月後半に予定されている臨時国会で参議院での審議が予定されている。水道法改正案は自公政権の数の力によって可決・成立する公算となっている。

 私たちは水道法改正案が、第196回通常国会でこれも強行的に成立された改正PFI法と連動して、いかに地域の自治や水を脅かすものかを訴え、私たちの意図が挿入された付帯決議の議論など、最後まで広範で充実した審議を求めることとする。

 今後、水道法改正案が成立した後は、改正PFI法にあるインセンティブ目当て、もしくは地方自治の放棄も厭わない勉強不足の首長や事業管理者が、安易に運営権の売却や譲渡に乗り出してくる可能性が大きくなる。現に大阪市や浜松市さらには宮城県などが、安倍政権に従順な「手柄」欲しさに、本当の地域水道の意味を理解せず、運営権いわゆるコンセッションという選択肢を選ぶ事態が生まれている。

 これまでは、国会内での取り組みがメインであったが、今後は地域における「住民自治」や「地域水道」を守る局地戦を展開することになり、各単組それぞれがその地域住民と連帯し、知恵を絞った対抗軸の構築に専心しなければならない。

 公共サービスにおいて、もはや時代遅れともいうべきVFM(バリューフォーマネー)に固執し、それさえ果たして可能かどうか見えない「事業費の削減」を前提としたコンセッションは、金利や提案経費などのPFI固定経費を考えれば、「100%市民のためにならない」と断言できる。

 コンセッションを進めたい方々は、災害時の課題を棚に上げ、諸外国での失敗事例に耳を貸さず、再公営化コストを度外視に「いざというときは市が認可を取り消す」と再公営化保証で市民を安心させる。その一方で「現状の公営では値上げは不可避」と言いながら、運営権者の値上げを制する具体的な方策はいまだ明らかに出来ない。このような手法はまさに、「国民を欺くもの」以外の何物でもなく、「公共=みんなのもの」という当たり前の考え方を根底から変えるものである。

 私たち全水道は、英国をはじめとする世界の再公営化潮流は、日本版コンセッションが世界の破綻したPFI構造と同根である問題意識とともに、外資参入におけるISDS問題なども内包する危険なコンセッションに対して、国・地方を貫いて大きく警鐘を鳴らし闘うものとする。

 

以上、決議する。

2018年10月5日

全日本水道労働組合

第146回中央委員会

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