全水道2021中央政策集会を開催
全水道2021中央政策集会を開催
全水道は6月4日、隔年で開催している中央政策集会を日本教育会館で、会場への来場者10人とWebでの参加者40アクセスを受け、開催した。
古矢副委員長の開会挨拶・司会進行で開始し、主催者を代表して挨拶に立った二階堂中央執行委員長は、①PSI世界大会で明らかにされた水道民営化の現状や取り組み、②改正された水道法によるコンセッションによる水道民営化の問題、③水循環基本法の改正案、等について触れ「本日の集会が、全水道政策闘争の強化、発展に向けて実りのあるものとなること、これからも全国の職場組合員、単組、地本とともに政策闘争を展開していく」と決意を述べた。
集会では、同日に行われた公務労協の「公務労協2021公共サービスキャンペーン中央集会」のWeb視聴を行い、清水議長の主催者挨拶、講演として井出栄作・慶應義塾大学教授より「ベーシックサービス-当たり前に生きられる社会をめざして」と題した講演、北村亘・大阪大学大学院法学研究科教授より「スリムすぎる日本の行政を再構築するために」と題した講演をそれぞれ視聴した。
続いて、加藤裕之東京大学特任准教授を講師としてお招きし「下水道から起こすサスティナブルな地域作り~水道イノベーションに期待~」と題した講演を受けた。
講演の後、辻谷書記次長が基調提起を行い、参加者全体で確認し、最後に二階堂委員長の音頭で団結ガンバローを三唱し終了した。
全水道2021中央政策集会中央執行委員長挨拶 中央政策集会にWEBまたは会場で参加頂いている皆様ありがとうございます。 昨年からの新型コロナ感染症によるパンデミックは、収束の兆しどころか感染力の強い変異株により、都市部から地方へと感染が拡大しています。この間、水道、下水道、ガス事業で昼夜を問わず奮闘されている組合員、事業関係者の皆様に心からの感謝を申し上げます。 本日の全水道中央政策集会は、感染症対策として会場内の換気及び座席のソーシャルディスタンスを十分に確保し、開催しています。また、WEB参加頂いている皆様、WEB環境について、音声、画像などリハーサルを行ってきましたが、途中、映像など問題が生じた場合に遠慮なく、システム内チャットで担当者に申し出てください。 さて、新型コロナウィルス感染症は、昨年から世界規模で感染拡大し続け、国内で累積感染者73万人、死亡者1万3千人超、世界規模では1億6千万人超、死亡者3百50万人超となりました。一方、対策として急がれるワクチン接種も先進諸国に比べ途上国ではワクチンの確保が遅れ、日本でもワクチン接種の遅れにより国民不安を招くなど対策の遅れのよる政治の責任が問われています。 このコロナ禍で全水道は、市民生活に欠かすことの出来ない事業としての水道、下水道、ガス事業を現場の仲間とともに奮闘してきました。 昨年段階、コロナ禍にあって各自治体で水道・下水道事業において料金・使用料減免が実施されてきました。減免措置をめぐり全水道は、減免措置に関わる財政措置を国費で補填するよう、組織内議員をはじめ政府に対して求めてきました。その結果は、地方創世臨時交付金の中で地方自治体が措置できるものとなりました。 引き続き、運動を停滞させることなく政策課題の解決をすすめていきます。 5月26日27日両日、ジュネーブ現地時間でPSI世界執行委員会がWEB開催されました。世界的規模でコロナ禍のもと市民生活を支える公共のあり方が問われています。新自由主義的グローバル化政策を推し進めてきた国々では、人の生命より経済的利益を優先させた結果が白日の下にさらされ、格差や貧困の拡大、民主的権利や人権が脅かされ、人々の生活に深刻な影を落としていることが各国から報告されていました。 一方、水道民営化についても、各地域の現状や取組も報告されました。 いくつか報告しますが、 1.アフリカ地域水戦略会合に対して、市民社会団体(CSOs)が水の民営化に反対するバーチャル会合を開催して民営化反対の運動を展開している 2.ナイジェリアでは、市民の反対を押し切って、国会が水資源開発法案を可決した。この法案には、水道民営化促進が含まれていることらか、市民社会は法案の民営化推進部分を破棄するよう求めている。 3.フィリピンでは、民営化を終止させるため、市民社会を巻き込んだ運動が展開されている。 4.ブラジルの水道民営化は、パンデミックの最中にボルソナロ政権が民営化法案を可決した。この民営化に対して、カナダの公的年金基金CPPIBが、ブラジルの水道民営化に投資していたことが明らかになった。 このように、世界では民営化の闘いが繰り広げられています。 日本では、2018年に可決成立した改正水道法のもと、コンセッション方式導入に向け宮城県が検討をすすめています。2018年の改正水道法の議論では、全水道も水道現場を代表して、国会での意見陳述、厚生労働省の設置する審議会での意見反映など積極的な運動を展開し、法案には付帯決議を採択させるなど取組をすすめてきましたが、「運営権の設定」については削除されることなく法案採決を強行することとなりました。 コンセッションは、水道事業を持続するための「最終的な責任とリスク」を、事業運営を行う民間企業=運営権者が負わずに済む、という経営方式です。 宮城県のコンセッション方式導入に対する闘いは、東北地本、宮城県支部が地元地方議員や市民団体とコンセッション方式の問題点を指摘し運動を展開してきましたが、県は6月県議会に運営権設定の議案を提出する方針を明らかにしています。 しかし、近隣自治体や住民からは水質は?災害時は?など県への説明を求める声があがっており、県民への十分な説明や理解が浸透していないのが現状です。 引き続き、地本、県支部、単組ともに市民協働の視点を大切に闘っていきます。 全水道は、1998年頃から「水基本法」の制定を政府や市民に対して広く訴えてきました。振り返ってみますと、1990年代以降、水源二法が成立し、環境基本法による環境基本計画においても「健全な水循環の構築」が示されていました。その後、政治の紆余曲折を経て2014年3月に議員立法として「水循環基本法」が成立しました。 全水道は水循環基本法制定から水循環の重要性を政策方針として明らかにし、議連の下に設置されたフォローアップ委員会に辻谷次長を幹事長代行として参加し、積極的な意見反映につとめてきました。 この水循環基本法をめぐり、今国会では地下水に関する健全な水循環の維持回復のための改正案が提出されています。法案は議員立法として超党派による法案であることから、今国会での可決成立の見込みです。 この改正案のポイントは ①責務に関する規定の整備 国及び地方公共団体の責務において、水循環に関する施策に「地下水の適正な保全及び利用に関する施策」が含まれることを明らかにするとともに、事業者及び国民の責務に当該施策への協力が含まれることを明らかにすること。 ②地下水の適正な保全及び利用に関する規定の追加 基本的施策に、地下水マネジメント(地下水に関する課題についての共通認識の醸成や、地下水の利用や挙動等の実態把握とその分析、可視化、水量と水質の保全、涵養、採取等に関する地域における合意やその内容を実施するマネジメント)の考え方を参考に、必要な措置を講ずべき旨の努力義務の規定を追加すること。 詳細は、法成立後に機関紙や闘争情報などでお知らせ致します。 全水道は今年結成70周年を迎えますが、その歴史は政策闘争の歴史でもあります。市民生活に欠かすことの出来ない、水道、下水道、ガス事業は持続可能な事業として発展し続けること、また、市民との協働した事業でなければなりません。 政策闘争の前進に向け、持続可能な事業として運営されるため、新規採用や人事交流・配置のあり方、研修の充実など、職場段階から積極的に労使協議をすすめ、危機管理体制の再構築、人員確保・育成、技術継承など事業基盤の確立に向けた具体的な取組を単組段階からお願いします。 本日の中央政策集会が、全水道政策闘争の強化、発展に向けて実りある集会と開催されますこと、これからも全国の職場組合員、単組、地本の仲間とともに政策闘争を展開していく決意を明らかにして、挨拶とさせて頂きます。 |