全水道が水道料金・下水道使用料の減免・国費負担を求めて要請行動

05.01

全水道が水道料金・下水道使用料の減免・国費負担を求めて要請行動

 新型コロナウイルス感染症が、世界的規模で感染拡大し、国内においても感染が拡大しています。

 国内外を問わず、感染をされた方、お亡くなりになられた方々に心からのお見舞いと哀悼の意を表します。私たちは、全ての人々の生命と健康、安全を守り、感染症が早期に終息されることを心から願います。

 新型コロナ感染症拡大の下で「緊急事態宣言」が全国規模となり、住民の生活不安が続く中、各自治体・事業体では生活支援、事業者支援策として、水道、下水道事業の使用料金の猶予措置に続き減免措置が講じられています。

 こうした事態に対し全水道は、水道、下水道料金減免は①生活不安に対し、地方公営企業としての水道・下水道事業の経営目的である「公共の福祉の増進」を行うものであること、衛生保持をはじめとした水道・下水道への需要の高まりに対し、人々の「生存の権利」を保障するものであること、②「清浄にして豊富低廉」な水を供給する水道、「公共水域の水質の保全」を目的とする下水道の重要性が再認識された上で、料金とこれまでの減免措置に対する基本的考え方を以下の通り整理しました。

 

1.料金とこれまでの減免措置の基本的な考え方

(1)料金についての基本的な考え方(地方公営企業)

・総括原価方式による水準設定

・逓増料金制による料金体系に設定

⇒地方公営企業においては、経営目的から営利性を排除 地方公営企業法第21条

(2)現行で措置されている料金・使用料の減免措置(漏水・工事対応など除く)

・生活保護世帯、高齢者世帯(下水道料金)、社会福祉施設を対象とした減免=「福祉減免制度」

・風水害・地震等の自然災害被災者・世帯を対象とした減免

・事業所保護などに政策的観点による特定事業を対象とした減免(下水道使用料)

・各自治体の水道条例などで

(3)減免措置の理念的根拠=地方公営企業の「本来の目的である公共の福祉の増進」

地方公営業法第3条・経営の基本原則)「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉の増進をするように運営されなければならない」

 

2.新型コロナ感染症拡大防止にかかる水道料金・下水道使用料の減免措置について

(1)政府による「生活不安に対応するための緊急措置」として「公共料金の支払猶予」(3月18日)

・新型コロナ感染症拡大防止にかかる、市民の外出自粛、や事業の自粛・休業が要請されたことによる経済活動停滞、収入所得が減少

・すでに政府の「生活不安に対応するための緊急措置」が決定され、3月18日に関係各省庁より公共料金の支払猶予を求める通知が発出

水道料金・下水道使用料については、「支払が困難な事情にあるものに対しては、その置かれた状況に配慮し、支払いの猶予等、迅速かつ柔軟な対応を要請する」旨が通知された。また、水道ではあらためて「料金未払いによる機械的な給水停止を回避するなどの柔軟な対応」が求められた

(2)新型コロナ感染症拡大防止にかかる「緊急事態宣言」が全国化(4月16日)に対応する「公共の福祉の増進」が求められている

・緊急事態宣言の全国化で外出自粛や事業の自粛・休業に伴う収入所得の減少などの影響も全国に拡大

・「緊急事態」による収入所得の減少と市民生活の困難化に対応し、「公共料金の支払猶予」にとどまらない、地方公営企業の本来の目的である「公共の福祉の増進」の発揮が各地域で求められている。

⇒現行の水道料金・下水道使用料減免措置に加えて、今回の新型コロナ感染症拡大防止にかかる新たな減免措置を全国化する必要がある。

 

3.今回の新型コロナ感染症拡大防止にかかる新たな減免措置を全国化するために

(1)「清浄にして豊富低廉な水」供給や「公共水域の水質の保全」による衛生環境の確立・衛生保持の重要性が高まっている

(2)現行の減免措置に加えて新型コロナ感染症拡大防止にかかる減免措置が必要

(3)国費による減免措置が必要

 

 以上のことを踏まえ、政党要請を行いました。

<立憲民主党への要請>

 立憲民主党へは27日衆議院会議室において、本部役員が新型コロナウイルス感染症で減収となった事業者や家庭の下水道料金減免の実施と、それに伴う水道事業特別会計の赤字への自治体一般会計からの繰り入れに対する国の財政支援を求める緊急要請を行いました。立憲民主党からは政府・与野党連絡協議会に出席している逢坂誠二政務調査会長と新型コロナウイルスの党対策本部事務局長の岡島一正災害対策局長、団体交流局長の西村智奈美衆院議員が応対しました。全水道の組織内議員である武内則男衆院議員、森山浩行衆院議員も同席しました。

 全水道の要請に対して、逢坂政調会長は「事業をされている皆さんや家計において、固定費をどれだけ下げられるかが大事なポイント。家賃についてはいま今法案を準備している」と現在の取り組みが報告されました。要請にある自治体への措置の内容について「全国の自治体が減免を行ったら特別交付税ではとても追いつかない。今回の補正予算案で地方創生臨時給付金は1兆円あるが、1490億円の厚労省の給付金に対する自治体の1/2負担が同額盛り込まれており、自由になるのは8500億円しかない。最初から10/10給付にすれば余計な申請事務も減らせるのにおかしなことをしている。私たちは1兆円では少ないとして、年間の地方交付税の1/3の5兆円ぐらいまで必要だと4兆円の積み増しを提案している」と組み替え案が説明されました。二階堂委員長は「すでに当初一般会計から補填するつもりでいた自治体が、給付金の額を見てこれでは無理だと断念し、水道事業会計に押し付けようとする動きが出ている。給付金の上積みが必要だ」と危機感を表明しました。

<国民民主党への要請>

 国民民主党へは28日国民民主党本部において、本部三役が要請を行いました。国民民主党からは、平野博文幹事長、泉健太政調会長、大島敦副代表、小宮山泰子総務副会長が出席しました。

 全水道の要請に対して、平野幹事長は「現在の一次補正予算では、到底国民の生活を支援することは出来ない。二次補正も含め国民生活と自治体を支援するため全力で取り組んでいく」と述べられ、泉健太政務調査会長からは「収入が断たれた方々にとって公共料金まで厳しく取り立てられては社会的に見方がいなくなる。ただ免ずればよいというわけではなく、自治体に対して国の支援がしっかりなされなければならない」と述べ、国が地方への交付金を1兆円増額すると打ち出していることについて触れ、「全く足りない。本日から始まった予算委員会で地方への交付金を増やすべきだとしっかり主張してまいりたい」と述べられました。

<社民党への要請>

 社会民主党へは30日福島瑞穂党首の議員控室において、本部三役が要請を行いました。福島党首からは「国民生活は危機的な状況を迎えている。野党四党で第二次補正を求めていく。また、水道、下水道料金の減免については要請に基づき、関係省庁ならびに国会で国民生活を支援するため、様々な政策とともに実現に向け全力を尽くす」と述べられました。

 

 全水道は全国で昼夜を問わず奮闘されている、水道事業、下水道事業に従事するあらゆる労働者の皆様に心からの敬意を表するとともに、新型型コロナ感染症拡大防止において、自然災害にも匹敵する「コロナ禍」というべき事態であることに鑑み、多くの国民が外出自粛や衛生保持、医療態勢の確立が迫られる中「清浄にして豊富低廉な水」の供給や「公共水域の水質の保全」をはじめとする衛生保持・衛生環境の確立に対する需要と重要性を認識し、地方公営企業の「公共と役割」が発揮されるよう引き続き取り組みをすすめていきます。

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