2023年3月23日(木)、第24回厚生科学審議会生活環境水道部会(以下 部会)がWEB会議方式で開催されました。全水道からは二階堂中央執行委員長が出席しました。
部会の主な議題は、(1)水道行政の移管について、(2)水道行政の最近の動向等について、(3)労働安全衛生法施行令等の改正に伴う建築物衛生法施行規則の改正について、(4)建築物衛生行政の最近の動向等が議題となりました。
(1)水道行政の移管については、今通常国会に「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律 案」が上程され、水道行政の60年ぶりの機構改革となり、現在の厚労省から国交省、環境省へ移管される概要が説明され、国交省へは水道整備・管理行政で環境省へ移管する事務以外、環境省へは水道に関する水質基準の策定 水質・衛生に関する事務について厚労省より説明がありました。
部会では、二階堂中央執行委員長から「公衆衛生の危機に対する省庁再編による水道の分割移管、施設整備の水道・下水道一体所掌にあっては、水道法・下水道法の目的である『公衆衛生の向上』の増進が当然に期待される。国土交通省に移管され『社会資本整備重点計画法』や『公共土木施設災害復旧事業国庫負担法』の対象となることで、防災・減災、強靭化など災害復旧対応はじめ水道以外の社会資本と一体となった効率的、計画的な整備の促進が期待される。全国の水道や下水道施設・管路の老朽化による事故もあり、近年多発する災害時への対応強化や復旧の迅速化に必要は働く現場からも訴えられている。水道・下水道一体所掌で整備や災害復旧が迅速化され十分な予算を獲得できるようになることは期待しているが、一体所掌でかえって総体の予算減額を『効率化』と称して減額されるようなことはあってはならない。水道法上で明確になっていない水源林保全を含めた流域の水源管理の重要性に関心が集まり施策が進展することを期待している。もっと言えば、『自然・環境保全と水問題を一体でとらえ、水源(森林)から蛇口まで、排水口から海洋まで』の一体的な水道・下水道行政が推進されることを期待する」と述べたほか、環境省への事務移管については「水質規制や対策の強化、検査体制の充実を訴えてきたが、水道水質の保全が水環境・土壌保全や化学物質規制としっかりリンクして、水質管理行政の『機能強化』につながることを期待する」と意見を述べた。
また、(2)水道行政の最近の動向では、PFASについては、水質基準逐次改正検討会で、位置づけ、目標値の検討を行うことが報告された事に対し、「水道法第5条の二第1項 水道の基盤を強化するための基本的な方針 安全な水道の確保において、事故等による不測の水道原水の水質変化により水源汚染が発生し、給水停止等の対応が取られる事案も存在しており、水道水の安全性を確保するための取組が重要であると示されていることを前提に水質基準の格上げに留まらず、規制値の強化に向けて今後の検討が進められるべきである」と述べた。
そのほかの議題については、「会議資料は厚生労働省ホームページ(URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127756.html)」を参照してください。
今回の戦後の水行政を画するはずの水道行政の所掌問題が、国民から見て、不可視で、遠い施策になってしまう、あるいは水循環基本法がめざす「国民共有の財産」である水に関わる行政の一元化がないがしろにされ、この理念に照らしあわせた広範な議論もないまま移管が進むならば、それ自体がむしろ水道行政の後退になりかねない。法案審議に当たっては、2018年の水道法改正の論議では議論がつくされていなかったなどの議論を含めて、水道事業・下水道事業をどのように持続可能なものにするか、なぜ移管が必要なのかの議論や説明、水行政の将来展望すなわち一元化や統合を今後どのように見通すのか、さらに防災、減災をはじめ害対応や復旧に何が必要とされ、一体所掌でどのように改善されるのか、水道・下水道の現場からのヒアリングなどを含めて十分な議論が必要であり、引き続き国会審議を注視しつつ現場の声を広く社会に拡げるため活動を展開していきます。