今回のPSI―APRECは韓国ソウル市内で、4つの地域(東アジア、オセアニア、南アジア、東南アジア)13カ国の代表が参加して開催されました。全水道からは二階堂中央執行委員長が出席しました。
主な議題は10月に開催される世界大会に向けた準備として、行動プログラム(POA)をはじめ、決議案、規約改正などの議論のほか、各地域報告がありました。行動プログラムの草案では、特徴的な分野として気候変動、多国間協議、デジタル化分野に補強された意見が出されています。
具体的には、気候変動対策では、すべてのPSIの行動の中心に据えること、多国間システム分野では、感染症対策(ワクチン接種対応など)で企業による多国間システムへの浸透が露呈した事や、グローバルなイベントへの市民社会組織や労働組合の参加を制限する口実なったことなどが追記され、デジタル分野ではテクノロジーが民主的に制御されること、市民や労働者の自己決定権の保護と公共サービスのデータが公的管理の下で保護されることなどが補強されています。
民営化のとの闘いでは、感染拡大で公共サービスの脆弱性が白日の下に晒されたことを踏まえ、再公営化の推進や公正な経済の確立を求めています。
今回PSI―APRECが韓国で開催されたことから、韓国政府による労働組合権を標的にした組合弾圧を直ちに停止させる特別決議も採択されました。
会議の最後には、アジア開発銀行(ADB)総会が5月に韓国で開催されることから、その対応についても議論がされました。コロナ禍で一層の緊縮財政が求められる非援助国では「官民パートナーシップ」(PPP)など、民営化につながる様々な段階的アプローチを用いて、民営化圧力を高めることが危惧されています。
例えばインドの保健分野をはじめフィリピン、ベトナムなどで公共サービスの民営化がすすめられようとしており、PSI―APRECとしてもADBに対して強力な取組が必要であることが確認されました。
PSI―APRECを終えて帰国の途につきましたが、2018年の水道法改正時の運営権導入反対の取り組みを思い出しつつ、民営化との闘いはPSIや市民協働の重要性をあらためて認識するものとなりました。