全水道第155回中央委員会

02.21

 全水道は、1月27日、都内で第155回中央委員会をWebとの併用で行い、76人の中央委員・傍聴者(中央委員60人)の来場とWeb参加者をあわせて約120人の参加を得て開催した。中央委員会では、2023春季闘争方針を全体で確認し、2023春闘を闘う体制を確立した。

 中央委員会は、古矢副委員長の開会挨拶で開始し、議長団に近畿東海地本より神戸水労・高橋中央委員と九州地本より宮崎水労・髙畠中央委員を選出した。

 主催者を代表し挨拶にたった二階堂中央執行委員長は、2023春闘の情勢、ロシアによるウクライナ侵攻にたいする批判、政治を取り巻く情勢、水政策、コロナ禍での組合活動、について触れ「2023年も全水道は労働運動の原点に立ち返り、組織基盤を強化する年になるよう、単組、地本と一丸となり奮闘していく」と決意を述べた。

 議事では、村上書記長が報告事項を説明し、続いて第一号議案「2022賃金確定・秋季産別闘争総括」、第二号議案「全水道2023春季闘争方針」を一括提起し、会場やWeb参加者からの質問・意見等を受け、質疑応答の後、全体で確認された。

 第三号議案「2022年度一般会計・特別会計中間決算報告及び会計監査報告並びに2022年度補正予算」から第五号議案「全水道第77回定期全国大会の招集」を承認し、第7号議案「物価上昇を上回る大幅賃上げと労働者の処遇改善で持続可能な地域公共サービスを実現する決議」、第8号議案「新たな水行政の一元化を展望し、水政策の前進を求める決議」、第9号議案「憲法改悪反対、辺野古新基地建設反対国民の命と生活、民主主義を発展させる決議」を全体で確認、最後に二階堂中央執行委員長の音頭で団結ガンバローを三唱し、中央委員会を終了した。

第155回中央委員会中央執行委員長挨拶

 第155回中央委員会に会場でWEBでご出席頂いた、多くの皆様一月も終わりになりますが、新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

 年末年始に各職場で勤務をはじめ、24日から襲来した10年ぶりの大寒波では、各地で凍結による水道管の漏水なども報告されているなか、昼夜を問わず職場で奮闘されている組合員の皆様に心からの敬意を表します。

 さて、パンデミック(新型コロナ感染の大流行)から3年が経過しようとしています。私たちはコロナ禍という歴史の真っ只中にいると言っても過言ではなく、人々の価値観と社会のありようをあらためて見つめ直す機会でもあります。

 新型コロナウイルス感染症の拡大によってもたらされた分断が、新しい協調を生み出していく機会と捉え、労働組合も活動していかなければなりません。人と向き合い仲間と支え合うことを大切に、2023年も職場や単組、地本、本部とさらに連携をはかり、全水道運動を発展・継承していきます。

 ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経過しようとしています。子供を含む市民の犠牲は増え、故郷を追われた避難民は厳しい生活を余儀なくされています。国際社会の平和と秩序を脅かすもので、断じて容認できるものではありません。

 それぞれの国の主権は武力で脅かされてはなりません。国際社会が和平に向けて役割を果たし、日本政府は「平和のうちに生存する権利」を宣言した日本国憲法に基づき、軍事侵攻を即時中止するようロシアに強く求めることが必要です。

 2023春闘は、原油価格の高騰、半導体の不足、新型コロナウイルスによるサプライチェーン(供給網)の混乱などが指摘されていましたが、日本では、これに急激な円安が加わり、さらにウクライナ情勢が不安定化したことから、穀物価格とさらなる資源価格の高騰が物価に追い打ちとなり、賃金が物価上昇に追いつかない状況が続いています。日本の賃金水準は、1997年時点の水準を回復していません。バブル経済以降積み重なってきた、不安定雇用の拡大や貧困や格差の拡大など分配構造のゆがみを是正していかなければなりません。

 2023春闘も人勧期~賃金確定闘争に向けた通年闘争の重要な闘いとなります。各地域での取組をよろしくお願い致します。

 1月23日第65回通常国会がスタートしました。

 昨年12月に岸田首相は防衛力強化に向けた新たな「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を閣議決定しました。反撃能力保有を明記し、5年間の防衛費総額は約43兆円で、集団的自衛権行使容認に続く安保政策の歴史的転換となり、平和憲法の理念を踏みにじり到底許されるものでありません。

 日本の市民社会は、相対的貧困率の高さ失業や物価高騰に苦しんでいます。そのような市民生活の困窮に目を向けず、莫大な予算を防衛費に投入し、国の安全保障が国民の責任かのような発言を行い、所得税増、あろうことか東日本大震災の復興特別所得税にまで手をつけようとしている。これによって国民生活が圧迫されるのは火を見るより明らかだ。東アジアに軍事的緊張を高める「安保3文書」の改定を見送り、増税方針を撤回することを求め、立憲民主党などと連携し闘いを推し進めていきます。

 立憲民主党と日本維新の会は、先の臨時国会の成果を踏まえ、次期通常国会において情報共有のための協議体を設け、個別政策における連携を行うことが明らかになりました。

 維新の会と立憲民主党との連携、共闘について、疑問を抱いている方も多くいると思います。立憲民主党にその真意について確認しましたので、報告します。

 いまの国会勢力図では、野党がバラバラ、結局与党の数の力で厳しい現状があります。数の力には、大きな塊となることが重要で、少なくとも野党第一党と第二党がひとつになることが重要であります。ただし、党の基本政策(安全保障やエネルギー政策)などを見直すことでなく、防衛費の増税反対など課題を絞って国会対策にあたると説明がありました。また、身を切る改革についても、公務員の人件費などに波及するものでなく、あくまで政治が身を切る改革をすすめる旨であることが説明されました。

 何れにしても、この通常国会は防衛増税や日本の安全保障、エネルギー政策、少子化対策、財政問題、水道法改正など重要な論点がある国会となることから組織内議員とも連携して対応にあたっていきます。

 次に、水道政策についてですが、

 有機フッ素化合物(PFAS)の水源と土壌の汚染や健康への影響などの問題は、多くが在日米軍基地由来と思われますが、専門家や市民らがその影響を調べるほど、沖縄県のみならず日本全土でのPFAS汚染の拡がりが明らかになっています。

 今後のPFAS汚染対策において水質基準を厳しく設定するにあたっても、各地域の水道事業者がこれに対応できなければ絵に描いた餅となることもあり得ます。自治体としても、すでに汚染されている地域住民の健康影響調査や、水源や土壌への対策が問われることになります。事業体の水質検査体制の整備や技術の確立、地域における健康影響調査の実施、水道産業における汚染処理対策の促進が求められることになります。

 厚生労働省水道課の業務を国土交通省と環境省に移管することや、国交省水管理・国土保全局において下水道行政と一体で運営、水道水質基準の策定等は環境省が所管し、移管先は水・大気環境局とされるようです。2024年4月の移管をめざすとして、今通常国会に関連法案が提出されます。

 新型ウイルスという未知の領域たる対応として、国民の公衆衛生を守るという観点から所掌の見直し自体は一定の理解をします。しかし、この見直しの決定にあたって水道事業の基盤強化の観点からの検討が十分になされたとはいえず、このことについて、現場で働く者で組織する全水道として、今後の水道行政の展開に懸念を持つところです。

 今般の省庁移管についても9月29日、全水道本部執行部は立憲民主党に対し、「所管省庁の移行については本来『水道事業をどう持続可能なものにするか』ということが議論の根底にあるべきだが、行政の形だけが見直されようとしていることについては大変に危惧している。水事業を一元管理する行政機関の設置を含め十分な議論をして欲しい」として、政策要請を行なっています。

 水道行政の分割移管については、関連法案に審議にかかる国会対応はじめ、水道・下水道事業の基盤強化、「水の行政一元化」の進める観点から引き続きの国会対応をすすめていきます。

 下水道政策についても、水道事業が国交省に一元化されることから下水道事業政策を取り組む強化することが求められています。

 今年は、統一地方選挙が行われます、道府県と政令指定都市の首長と議員の選挙は4月9日に、それ以外の市区町村の首長と議員の選挙は4月23日に行われる見通しとなりました。地方選挙は地方の独自性や自主性、つまり地方自治の原点を問い直す選挙です。水道・下水道など市町村経営を原則とする地方公営企業と地方議会の関わりは重要です。

 全水道組織内議員と各地域、単組の推薦するすべての議員の当選を勝ち取るため、組合員とご家族の皆様の積極的な行動をお願い申し上げます。

 最後に、全水道共済見積もりキャンペーンについてご協力のお願いです。昨年末からご案内させて頂いている、マイカー共済等の見積もりキャンペーンについてですが、多くの組合員の皆様に取り組み頂いているところですが、本年も取組が継続しています。引き続きの取組のご協力をお願い申し上げます。

 結びに、2023年も全水道は労働運動の原点に立ち返り、組織基盤を強化する年になるよう、単組、地本と一丸となり奮闘してまいります。

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