全水道第73回定期全国大会 呉市で開催

07.26

全水道第73回定期全国大会 呉市で開催

 7月26日、全水道は広島県・呉市、呉阪急ホテルで第73回定期全国大会を代議員・傍聴合わせて256人が全国より結集し開催した。
 須田副委員長の開会あいさつで開始し、主催者を代表して二階堂中央執行委員長が挨拶した。二階堂委員長は挨拶の中で、①政治課題、②水政策闘争、③組織強化、について触れ「平和と民主主義、人権確立、脱原発、働くことを軸とする安心社会を実現するため、今後も奮闘していく」と決意を述べた。
 来賓として、呉市上下水道事業管理者・増本寛治さん、公務労協副事務局長・加藤達夫さん、立憲民主党国会対策委員長代理・武内則男衆議院議員、社会民主党副党首・福島みずほ参議院議員、森山浩行衆議院議員等に激励と連帯のあいさつを受けた。
 続いて、村上書記長より第一号議案「2018年度の主な取り組みの総括と2019年度運動方針」(案)が提起された。
 議案提起を受け、一日目は休会とした。

二階堂中央執行委員長 挨拶全文


第73回定期全国大会に参加をされた、代議員、傍聴者の皆さん大変ご苦労様です。日頃から、市民生活に欠かすことの出来ない、水道、下水道、ガス事業を24時間、昼夜を問わず、守り続けている組合員の皆様に深く感謝いたします。
また、本日は大変ご多忙の中、多くのご来賓の皆様方にご臨席を賜りました、組織を代表して心より御礼申し上げます。

さて、今年の大会は地方都市での開催年にあたり、この広島呉市での開催となりました。代議員、傍聴者あわせて300名を超える仲間が参加を頂きました。また、本日まで中国地本、地元呉水労の仲間の皆様にご準備頂き、本日を迎えることができました。参加者と中央執行委員会を代表して心からの感謝を申し上げます。

この呉市では、今でも記憶に新しい1年前の西日本豪雨災害が発生しました。この豪雨により、西日本を中心に多くの地域で河川の氾濫や浸水害、土砂災害が発生し、200人が亡くなられる甚大な災害となりました。「平成最悪の水害」と報道され、1982年に300人近い死者・行方不明者を出した長崎大水害(昭和57年7月豪雨)以降、最悪の被害となりました。あらためて、被災された皆様に心からお見舞い申し上げ、一日も早い復旧・復興をお祈り致します。
西日本豪雨災害で全水道は全国支援カンパを行い多くの仲間の皆様から心温まるカンパを頂き、被災地本、単組に届けてきたところであります。
水道事業においても浄水場など施設は甚大な被害をうけ、被災事業体はもとより、近隣事業体からの応急給水、全国的な支援体制となり、多くの仲間が尽力されたことは、報道や全水道機関誌などで周知のとおりです。
私たちは、こうした災害時に“市民の命の水を守る”強い決意と社会的な使命、役割を達成するため奮闘してきました。
私も、呉市をはじめ、尾道市、三原市を訪問、四国では宇和島市に入ってきました。甚大な被害を前にしてあらためて、危機管理体制の再構築、人員確保・育成、技術継承など事業基盤が確立されること、全水道政策闘争の強化、労使協議を通じて、安心、安全な水道事業の基盤強化に向けて今後も奮闘していかなければなりません。

次に、政治課題など3点にわたりお話をさせて頂きます。
なお、人勧期闘争については後ほどの公務労協 加藤副事務局長のご挨拶の中で詳しく触れて頂けますので割愛します。

一点目は、政治課題についてです。
日本の政治は、第二次安倍政権発足から長期政権となり、8月には戦後最長といわれた、佐藤栄作元首相を抜いて歴代2位、そして11月には憲政史上最長と言われた、桂太郎元首相を抜いて、歴代1位となる安倍政権は、安倍一強体制のもとで、データねつ造・偽装、統計不正、官僚の忖度が行政の公正性をゆがめたとされる森友・加計問題など不正問題の解明も進まず、民主主義の根幹が揺るぎかねない事態となっています。先の通常国会においても国民の生活不安、将来不安を招く「老後2,000万円問題」は社会保障制度を責任放棄する対応など、国民に自己責任として押しつけています。
また、沖縄県民投票の民意を無視した辺野古新基地建設の強行や原発再稼働、社会保障の改悪や労働者の過労死が増加、格差の拡大、貧困の連鎖が深刻化する中で、国会議員による人権軽視、戦争発言など議員の劣化を表すような問題発言や問題行動が止まりません。
「2020年改憲」を公言する安倍首相は、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、「戦争法」(安全保障関連法)、共謀罪法の施行をはじめ、平和国家を変質させる法律を数の力で押し通してきました。
2019年度の防衛予算案は2018年度当初比1.3%増の5兆2574億円となり、5年連続で過去最高を更新しています。
安倍政権の最大の狙いは、憲法改悪であり「戦争法」の合憲化を図って「戦争できる国」を完成させるものにほかなりません。
私たちは、憲法の普遍的価値である基本的人権の尊重、国民主権、平和主義の三原則を基本にそれらを支える理念である立憲主義を堅持するため、引き続き広範な運動を展開していかなければなりません。
こうした中、7月21日投開票で行われた第25回参議院通常選挙で全水道は、アベ政治の暴走に終止符を打ち、平和憲法の改悪を阻止する極めて重要な機会として、全国各地で推薦する候補者、全国比例候補者全員の勝利をめざし闘ってきました。
選挙結果はすでにご案内のとおり、比例区では、全水道が推薦した、岸、もりや、水岡、吉田4氏が当選を果たし、各選挙区においても立憲民主党は改選前議席を上回る議席を獲得しました。また、改憲勢力の3分2を割り込むことができましたが、与党の議席数は非改選数をあわせて参議院で過半数となりました。
選挙後、安倍政権は改憲意欲をあらためて明らかにし解散総選挙も視野に入れていることから、全水道は組織内議員 武内、森山衆議院議員への対応など今後の動向に注視し、政治闘争と大衆闘争を結合し、改憲阻止に向けた取り組みを一層強化していかなければなりません。

2点目は、水政策闘争です。
昨年末に可決・成立した改正水道法をめぐる経過は、後ほど議案提起の中で詳細について提起させて頂きますが、可決成立後の基本方針やガイドライン等の策定経過について若干触れさせて頂きます。 
省令として示される予定の基本方針は、これまで専門員委員会が4回開催されました。委員会での方針策定に際し全水道は「①人材確保、人材育成などの課題②水道の基盤強化に関する基本的な事項では、関係者の役割として住民の基本的権利を充足させる責任や、水道関係者間における連携で水循環基本法の理念③“水道が地域の共有財産であること”について地方公営企業の目的として地方自治の発展に資する」とした事項を基本方針に盛り込むことができました。
一方、コンセッション導入を前提とした「水道施設運営権の設定に係る許可に関するガイドライン」「水道事業における官民連携に関する手引き(改訂案)」では、検討会でのヒヤリングで意見を述べる中で、今回の水道法改正で多くの国民が高い関心をもっていること、その上でコンセッション導入に関わるガイドライン案策定や官民連携の手引き改訂案の検討会において、PFI法の拡大解釈により水道法の規定が歪められることがないよう慎重な検討を求めてきました。
しかし、ガイドライン、官民連携の手引き改定では、事業報酬のあり方、総括原価方式、災害対策など多くの問題が解決されないまままとめられ、7月22日から基本方針、ガイドライン、官民連携手引きなどパブリックコメントが開始されました。
本日のパブコメに関する決議を提起し、後日各地本、単組に対応通知を出してまいりますので、広範な取り組みをお願い致します。
また、連合が進める改正水道法への取り組みも10月以降地方連合を中心に開始されることから同様にご協力をお願い致します。

一方で、内閣府が7月に明らかにした「PPP、PFI推進アクションプラン」における水道事業のコンセッション導入目標値として示されていた、6事業について記載がなくなるなど、これまでの運動の成果として示されているのも事実です。詳細は後の村上書記長の方針提起でお話させて頂きます。
また、下水道事業では、国土交通省は、下水道事業について、「広域化・共同化に関する計画策定の検討着手や公営企業会計の適用の検討着手を要件化しており、これらの取り組みを着実に進め、PPP/PFI活用の促進につなげる(2018年度から)」としています。
国は、コンセッション事業の活用拡大に躍起になっており、その目線の先には利用者や市民は存在していないかのようです。
下水道事業は、市民の生活衛生・環境を守り健康増進や保健という目的の重要な事業であり、「新たなビジネス機会を拡大」などという不埒な目的に該当させるような事業ではありません。
今後は、水道・下水道事業の統合がこれまで以上に増えることも想定されることから、下水道政策の不十分さを反省し、政策闘争の取り組みと強化を図らなければなりません。
 
3点目は組織強化についてです。
全水道は昨年の大会以降、組織強化としての目標を掲げる一方、各地方本部、単組、本部としっかりと連携がはかれるよう、地本執行委員会への積極的な参加や、中小単組との積極的な意見交換などを行うなど、地道な組織強化の取り組みを目指してきました。
本日の大会では議事冒頭の報告事項で、第一環境徳島労働組合の全水道加盟を報告させて頂きます、また、全水道一人組合員についても8名の方が加入頂いています。こうした地道な取り組みと一人一人の組合員を大切にしながら、全水道組織強化の取り組みをすすめていきます。
労働組合の活動の原点は、職場活動であり、世話役活動、支え合いなど基本的な組合活動の基礎となっていることは言うまでもありません。これまで乗り越えてきた困難な時代、そして70周年に向けて新たな全水道運動を築けるよう、組合員、単組、地本、本部が力を合わせて奮闘してまいります。
最後に、全水道は平和と民主主義、人権確立、脱原発、働くことを軸とする安心社会を実現するため、今後も奮闘していく決意を申し上げ、本定期大会が代議員の活発な討論のもと、運動方針が確立されることをお願いし、中央執行委員会を代表して、決意と挨拶に代えさせて頂きます。

 

 

 

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