2023年1月30日(月)15:00~17:00まで「中央環境審議会 水環境・土壌農薬部会(第6回) 第19回大気・騒音振動部会」がWEB方式で合同開催された。合同部会には二階堂中央執行委員長が出席した。
今回の合同部会では以下の議題について審議された。
<議題>
今回の中央環境審議会水環境・土壌農薬部会は、今後の水・大気環境行政の在り方について議論をすすめるため、大気・騒音振動部会と合同開催となりました。具体的には、水大気環境関連行政の見直し(※共通課題)に向け、水・大気の環境管理の一層効率的な実施等のため、2024年度に環境省水・大気環境局の再編を行い、環境管理課の新設等を行う予定となっていることや、2024年度より次の第六次環境基本計画の策定に向けた議論が行われる予定であり、当該環境基本計画における水・大気環境政策に係る議論へのインプットを統合的に行っていくことが効果的なことと考えられることを踏まえ、それぞれの部会での議論を踏まえつつ、大気・騒音振動部会及び水環境・土壌農薬部会を合同で開催し、両部会の担当に共通する課題(※)を中心に、今後の水・大気環境行政の在り方について議論しました。
※共通する課題
① 良好な環境の創出
② 媒体横断的な課題への対処
③ デジタル技術を活用した環境管理
合同部会での議題は多岐に亘り、この報告ですべて明らかにすることは困難な資料と内容であることから、全水道本部として各課題に対して意見を提出したところについて報告致します。
なお、合同部会全体の議題や各委員の意見については、環境省ホームページを参照してください。
① 良好な環境の創出
<今後の施策として>
水環境保全もって対策しなければならない水質・環境汚染が問題となり、そのために設定された基準が遵守されない・できない事例がみられる(水道水質にかかわる基準など)。また水道水源での農薬・化学物質、特にPFASによる水質汚染など、水質汚染が土壌汚染となり、また土壌汚染が水質汚染へと連関する問題となっている。総合的な環境施策の推進するためにも、現状認識と、環境施策の統合が必要であるという課題を明確に打ち出すべきである。
公害対策基本法をはじめとした各種公害法制が制定・施行されてから半世紀以上が過ぎ、かつての激甚な環境汚染は全国的に改善されつつある。しかし、水、土壌、大気に係る環境基準は一部で未達成であり、複合的に顕れる環境汚染も問題となっている。
② 媒体横断的な課題への対処
<今後の施策として>
PFAS等による汚染については、沖縄県で水(表流水・地下水)・土壌汚問題が頻発し、また全国の米軍基地・自衛隊基地周辺でも同様の汚染問題がたびたび報道されている。米国はじめ各国の環境施策に於いても毒性評価や規制が強化される動向にある。我が国においても問題がより顕在化し一層の強制強化を望む社会的な要請が強まると思われる。
国内外において、媒体を問わず、プラスチック汚染やPFOS・PFAS汚染に対する関心と不安が高まっている。
③ デジタル技術を活用した環境管理
<今後の施策として>
デジタル技術による水・土壌・大気等に係る環境状況・モニタリング結果などのデータベース共有・活用で環境行政の統合化を駆動していく、という施策を明確にする必要がある。汚染の予防や発生源の特定(および原因者の責任追及)が困難とされている汚染事例には、近年のPFAS汚染がある。
現状で立ち入り調査などが制限されいるため予防や特定が困難な事例であるならば、代替として少なくともデジタル技術を活用した日常的なモニタリング体制の整備が求められることになる。
情報公開・市民参加の推進は、国際的にもSDGsを支える環境民主主義の柱とされている。日本においては、環境施策の策定に関わる市民参加制度が不十分と指摘されているところであり、パブリックコメントなどについても周知の不徹底など形骸化しているとの批判もある。「良好な環境の創出」は市民参加なしではありえないとする政策基調を明確にすべきである。
以上について意見を出していますが、審議会では議論が環境行政全般についての議論となったことから、部会の最後に水道行政の移管に伴う環境省の対応について、閣議決定以降、部会で丁寧な報告と審議を要請して部会は終了しました。
全水道は、健全な水循環と水道水源の安全確保等の観点から、審議会等を通じて積極的に取り組みをすすめていきます。