第28回労研全国集会
北の大地 北海道・札幌で開催
戦線の再構築で大きな一歩をふみ出そう!
 全水道は、5月21日から23日に、北海道札幌市の共済ホールをメイン会場に「第28回労働運動研究全国集会」を開催し、3日間で全国より406人の組合員が参加した。公務労働を取り巻く環境が厳しさを増すなかで、多くの課題を設定し討論を深めあった。全体集会では、反戦反核問題、総選挙を控えた政治課題、公務員の権利問題などを共通課題と設定し認識を深めあった。

 初日は、全体集会を行い、岡崎副委員長の開会あいさつにつづいて、座長に古矢さん(函館水労)岩崎さん(東京水労)を選出し始まった。主催者を代表して佐藤委員長は、労研活動の経過、意義、諸情勢についてふれ、学習・討論・交流を通じて有意義な3日間を過ごし、密度の濃い成果をお土産として持ち帰ることが出来るよう、お互いに努力しあいたい」と述べ、労研全国集会の成功へむけて真摯な参加を訴えた。
 つぎに、開催地本を代表し、永井北海道地本委員長から歓迎のあいさつがされ、来賓として連合北海道、民主党北海道、社民党北海道からそれぞれ連帯のあいさつを受けた。
 つづいて、岡中央労研対策委員会事務局長から、労研集会の「基調提起」がされ、幌延現地監視委員会特別監視員の本田正氏から「幌延核関連施設建設問題」と題した特別報告が行われ、運動の経過、幌延を巡る情勢、等が報告された。
 山口二郎北海道大学教授を迎え行われた記念講演では、「日本の政治のパラダイム転換―政権交代をいかに実現するか」と題し、今回の民主党代表選をめぐる状況や代表辞任に至った経過、今日の経済状態を作り出した原因などについて解説が行われ、集会の初日を終了した。


 二日目は、共済ホールで、労働講座として「公務員制度改革をめぐって〜労働基本権回復のために〜」と題して、毛塚勝利中央大学法学部教授をむかえ、現行の公務員制度の問題点、労使関係システムの原理と法の理論的課題などそれぞれの問題点について解説が行われた。
 その後、「賃金」「権利・労働基本権」「組織・政治」「政策・反合―水道分散会、下水道分散会」「民間部会」「青年女性」の6分科会、2分散会に分かれ、それぞれの会場で設定されたテーマについて、学習・討論を行い、議論を深めた。





 最終日は、共済ホールで、全体総括集会を行い、岡事務局長から「来るべき衆議院選挙に勝利し政権交代を実現して、労働者を中心とした福祉型社会の確立に向けた取り組みを強化することとあわせ、水・エネルギー関連労働者の総結集とライフライン事業の基盤確立に向けた取り組みの強化などそれぞれの運動の成果を職場に持ち帰り活かしていただきたい」との総括提起を受け、臼田副委員長の閉会あいさつ、永井北海道地本委員長、高橋北海道地本書記長をはじめとする地元実行委員へのねぎらいの後、佐藤委員長の音頭で団結ガンバローを三唱し、終了した。
水制度国民会議
労働組合の社会的責任として『水基本法』を提起
 水制度国民会議(理事長=松井三郎京都大学名誉教授)は5月26日、参議院議員会館で、第8回水循環基本法研究会を開催した。この日の討論課題は、「全水道の考え方及び財政政策の提案」。この中で国民から寄せられた意見として全水道としての報告の要請があったことから西川書記次長が報告・意見表明を行った。
 同国民会議は昨年4月、水を総合的に管理する基本法の制定や行政組織の一本化等の「水制度改革」を求め国会議員、学識者、NPO代表、民間有志など約90人で発足。研究会は部内に基本法の討議・研究を目的に超党派の有志国会議員17名、民間有識者17名の委員により昨年9月2日に第一回研究会が開催されたもの。
 西川書記次長は、「水は循環資源であり、その中に水道・下水道事業も存在する」「ライフラインである水道・下水道事業を、経済性・効率性のみを重視し運営しようとする傾向が強まる中で、事業を危うくすることは見逃せないと考え、働く私たちの労働の尊厳の向上と、労働組合の社会的責任として、この水基本法を提起した」と現場を預かる労働者の視点に立ち、全水道の水基本法策定の経緯、「水は人権・水は公共財・住民参加」等を柱とする法案の骨格について説明。また、気候変動に伴う水環境の変化や世界の水道事業民営化の動きが持続可能な社会の基盤を脅かしており、日本でも民間委託化に伴う水質事故が相次ぐなど、安全・安定・持続可能な水道事業の確立のためには、公営原則の堅持と技術継承が重要課題であることを指摘、さらには「下水道から見た水基本法」について問題提起をしながら、5月に全会派が合意し成立した「公共サービス基本法」を受け、「水基本法」の制定が求められると訴えた。
 さらに関連して研究会の稻場事務局長(大阪経済大学教授)が、日本水道協会がまとめた「水道の安全保障検討会報告」を紹介し、特例法など広域化推進への具体策、公・民の役割の明確化の必要性等、事業の改革に向けた問題提起もあり、出席した厚生労働省、国土交通省、日本水道協会との間で、事業の実態や施策内容等について意見交換を行った。これを受け、同研究会は9月以降、「水循環基本法」制定という共通目標の実現に向け、ワーキンググループを設置、具体化のため検討作業を行うこととしている。
中央執行委員長挨拶(概要)
諸課題に対する意思統一、総決起の場として
中央執行委員長 佐藤 幸雄
 第28回労研全国集会を開催するにあたり、労研対策委員会を代表して一言御挨拶申し上げます。
 開催にあたって、夏季一時金闘争を始め、大変に忙しいところを受け入れ準備に御苦労を頂いた永井委員長をはじめとする北海道地本の仲間の皆さんに感謝申し上げます。とりわけ、病気の身でありながら会場の手配をはじめ事前の準備を頂きながらも、昨年12月2日に逝去された藤井清孝北海道地本前書記長には心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 2009年がスタートして5ヵ月が経とうとしていますが今日、根拠のない100年に一度の世界同時不況を口実に多くの国民は老若男女を問わず犠牲とガマンを強いられています。
 これは長期に及ぶ自民党政権とアメリカ政府からの圧力の下で強行された小さな政府、規制緩和、自由化、市場重視という小泉構造改革によって招いたものであります。
 かつて一億総中流といわれた日本が、社会の劣化によって、安心・安全、人間関係や絆が失われる事態に至っています。昔は職場の仲間や隣近所によるお金、モノの貸し借りなど困ったときの助け合いによって、社会の中に埋め込まれた自主的なセーフティネットの役割が機能していました。しかし自己責任が社会を席巻することによって自己解決しかないとさらに追い込まれています。こんな時だからこそ働く仲間、友人、そして自然環境との連帯が求められていると思います。
 今まさに労働組合の社会的役割を果たす絶好のチャンスであり、具体的行動によって信頼を勝ち取らなければなりません。
 連合は本年、結成20年を迎えますが、これまでの運動をしっかりと総括し、今後の日本労働運動の道筋を示すことが求められており、全水道もその一翼を担うために「いい汗」をかきたいと思います。
 公務労協は弱肉強食の競争社会ではなく、生活の安心・安全が確保されるよう、良質な公共サービスキャンペーンに取り組んできました。人々のニーズに合い、必要とする誰もが利用できる公共サービスの実現をめざして“公共サービス基本法”制定の取り組みを進めてきた結果、今国会で成立させることが出来ました。
 全水道は、ライフラインに欠くことの出来ない水道・下水道・ガス事業という公務公共サービスに携わる労働組合として、国民生活に安心と安全を取り戻し、誰もが生きがいをもてる社会の実現、そのためにセーフティネットとしての公共サービスの再構築を行うために努力しあいたいと考えています。
 とりわけ外需依存という安易な経済政策の下で、派遣をはじめ非正規労働者の解雇が相次ぎ、税収の落ち込みによる地方財政の悪化は公務員賃金削減にとどまらず、公務公共サービスの切り捨てなどにより、住民生活とともに地域経済の疲弊は加速して閉塞感が広がっています。
 全水道は生活と雇用・職場を守るとともに、地方財政の確立と住民の目線で安全・安心・安定した水道事業推進のために邁進しなければなりません。
 麻生首相は政権にしがみつくためにバラマキ大盤振る舞いの財政出動に躍起になっています。4ヵ月以内に行われる総選挙において、諸悪の根源である自民党政治と、なりふり構わず政権にしがみついてバラマキ政策を押しつけている公明党による自公政権を打倒しなければなりません。
 そのために全水道各単組は、まなじりを決して総選挙を戦い抜いて新生民主党と社民党の勝利で勤労国民を基盤とする政権の樹立を実現し、政治・経済・社会のあらゆる危機から脱出しなければなりません。
 最後になりますが、今次労研全国集会では、一人一人が積極的に学習・討論・交流を深め理論武装して、しっかりとエネルギーを蓄え、当面の最大の取り組みである総選挙選挙闘争、そして人勧期から確定期へと続く賃金闘争をはじめ、水道・下水道・ガス事業の公営堅持を柱とする全水道政策闘争など、山積する課題への重層的な取り組みが急がれております。ぜひとも諸課題に対する意思統一と、総決起の場として成功させることが出来ますよう要請します。
 そして、労研集会の成果を職場で注目している組合員の期待に応えるためにも積極的な参加をお願い申し上げて挨拶とします。
記念講念
日本政治のパラダイム転換
政権交代をいかに実現するか
北海道大学法学部教授 山口 二郎
 いま国民は政権交代を望んでいる。民主党新党党首で世論調査は民主党支持率が自民党より高く、政権交代はツメの段階だ。時代は我々が掲げてきた理念−人権と平等−の方向にある。アメリカ型経済モデルは破綻し、貪欲、不平等、貧困が社会を破壊する新自由主義からの全面的な転換期だ。
 日本では小泉時代は人権・平等が後景に退いた。しかし昨年来の失業・貧困の顕在化に、日比谷公園「派遣村」のように政治へ異議申し立てする新しい社会運動・連帯がはじまっている。



日本が於かれた危機
 いまや反面教師とされる日本の90年代の経済対策は「少なすぎ、遅すぎ」「効果なく赤字を増やしただけ」。大蔵(財務)省は見かけ上の財政健全主義のもと年度途中の補正による景気対策を続け、場当たり的な予算配分と予算消化の自己目的化に終始。その間の補正予算による追加経済対策は累計140兆円。しかし高速道路も整備新幹線もつることなく経済は悪化した。
 我々がめざすべき安全・安心な社会、人間の尊厳が大事にされる社会とは何か。様々なリスクの個人化・自己責任で個人の生活が押しつぶされる社会ではなく、リスクの社会化でリスクを“世の中全体の問題”として取り組むことだ。
 80年代まで集権的官僚支配と自民党支配の中では“匙加減”になる補助金などの利益配分的、裁量的政策による格差是正に重点が置かれてきた。90年代以降グローバル化の進展と規制緩和、裁量型政策・行政の腐敗の中に小泉構造改革が登場したが、裁量型政策にメスを入れるのではなくリスクの個人化に大きく舵がきられ「総中流社会」は崩壊した。2005年の自民党勝利は政治的トリック。歳出抑制と公共事業削減に自治体財政の逼迫、医療・教育など公共サービスは劣化。労働分配率は下がり非正規労働が拡大し国内市場は収縮、経済社会は疲弊・消耗した。輸出依存の経済社会構造はなにも変えていない。日本の経済危機の理由がある。構造改革はいわば「プロクラステスのベット」。国家財政というベットに国民を縛り付けそこからはみ出た身体を切り刻んだ。医療予算削減、生活保護の受給制限など政策の目標が支出削減であるかのように目的と手段が転倒した。

新しい価値への民意を示す
 政策転換へめざすべき新しい価値が明らかにされなければならない。それは教育、医療、地域の雇用など社会の持続可能性の回復に必要な投資を十分に行い、人々の将来展望を開くことだ。
 なぜ政権交代が必要か。新自由主義から社会民主主義へという根本的な政策転換は政権交代によってのみ可能だ。民意をはっきり示し権力を預けるリーダーシップを国民が形成する。それは国民を騙し討ちした2005年選挙のリベンジでもある。医療・教育、介護を市場の「商品」として自己責任で購入する社会か、無料・廉価で公共サービスとして社会全体の負担で利用する社会か。国民の手で福祉国家を実現していくために、我々は闘っていく。
労働講座
公務員制度改革と労働基本権
〜あらたな労働関係システムのありかた〜
中央大学法学部教授 毛塚 勝利
 現在の公務労働法制は、戦後の制度がそのまま続いている。団結権の制限、協約締結権の制限、争議権の全面禁止を撤廃することが70年代までの労働運動のテーマであった。「全農林事件」「全逓名古屋事件」の最高裁判決が合理的なものなのか、憲法28条に謳う労働基本権が公務員も含めて保障されているとされているが、最高裁判決で覆り今日に至っている。最高裁の判決にみられる労働基本権制限がどこまでリアリティを持っているか、公務員の労働基本権についての不透明性が依然としてある。
 これまで労働協約は議会制民主主義、国民などの関係で、協約締結当事者が曖昧な面があった。昨今の公務員制度を巡る動きでは、21世紀に入り労使関係のあり方を見直し、労働協約締結制度を非現業も含む公務員に認めてもいいのでは、という論議が与党も含めでている。これは人事院勧告制度をなくしていくことに連動している課題である。
 労使関係システムの原理であるが、産業民主主義の類型として(1)交渉制民主主義(憲法28条)(2)代表制民主主義(3)ステークホルダー民主主義、に分類して考察した。ステークホルダー民主主義であるが、民間では企業の性格が変わってきていて、経営者がアウトソーシングされ、伝統的な経営者との交渉ではなく、「他者」との交渉となる。
 公務員の労使関係制度をいかに作り上げていくかが今日の課題だ。公務の透明性を高め、公務のあり方に寄与することをめざさなければならない。
 「団交研」(「公務・公共部門の団体交渉制度の在り方に関する研究会」)では、公務員の団結権については、一部例外を除き、労働組合の組織原則の自由を認める。交渉・協約制度については、賃金・労働時間の実体的労働条件は協約で決める(基本協約)などの枠組みを論議してきた。また、職員代表制をめぐる課題では、「職員組合」「従業員組合」以外は発言できない、というルールの確立が必要であるという論議、モニタリング・システムの設計にかかわる課題では、争議権はなくともモニタリングで労働条件の改善が図られるのではないか、などを論議してきた。
 残された課題としては(1)現行公務員法規定の再整理(2)国公、地公現業職員の労使関係システム、をどうするかなどがある。公務員の労働条件確保の文言を公務員法の中に残していく、現業、非現業を分けて考え、団交でやるべきことを再整理していく、など今後の課題である。
特別報告
幌延核関連施設建設問題
幌延現地監視委員会特別監視員 本田 正
 幌延の高レベル放射性廃棄物、地層処分計画は、原発に伴う放射性廃液をガラス固化体にし、地下300Mに埋めるというものです。乳牛が人口の3・5倍という酪農の町が今日の事態に至ったのは、エネルギー政策の転換を背景に、電源三法交付金に地域振興策として、82年に低レベル放射性廃棄物の保管施設の誘致が表面化したことが発端です。
 その後、84年に計画を公表、85年に動燃事務所が設置され、調査が強行されました。以降、11・23幌延デーとして毎年1,000名規模の全道集会が取り組まれています。
 「貯蔵工学センター計画」自体はその後、研究と処分をセットにした検討内容の発覚、推進派議員のリコールや道議会の反対決議可決等で凍結状態に陥ることになりました。道民の力、党派を超えた運動の中で勝利は可能、権力は民意を簡単に踏みにじるもの、ということが教訓点です。
 計画凍結以降、打開策として98年、科学技術庁が「新地層研究計画」を提案。00年、高レベル放射線廃棄物を持ち込ませないとする全国初の条例の制定、旧動燃、道、幌延町の三者による核持ち込み禁止、情報公開、環境保全協定締結という経過で、01年に「幌延新地層研究計画」がスタートしています。
 しかし、建設工事に伴う自然由来の砒素、ホウ素等の検出、さらには地下研究施設直下にM7・6級の活断層が発覚し、施設そのものの安全性が問われる状況にあります。
 一方、自治体への処分場公募が一切進展しないことに危機感を持ったエネルギー庁が、公募から国による市町村への調査申し入れを可能とする方針に転換、住民へのPRのための仮設設備が建設されました。また、全国エネキャラバンと称し北海道新聞への全面広告等が行われ、公募により設置されたフランスのビューレ地下研究所で、選定調査が実施されたことが宣伝され、今年の3月に放射性廃棄物小委員会が海外の地下研究施設を参考に、最終処分地の精密調査地区の選定を15年頃と言い出しています。先のPR設備の計画年度とも符号する不可解な動きの中に今あります。
 道には確かに条例はありますが、自民党は「技術が確立されたら話は変わる」との主張です。全国の処分場誘致の動きはこれまで全て消えていますが、今後も続きます。幌延の闘いを教訓に、地層処分を止める、水環境を守る運動へと共に発展させていきたいと考えています。
公務労協
公共サービス基本法の実質化
現場主義の取り組みを
 公務労協は、5月25日、東京・日本教育会館で「政策制度中央集会」を開催した。構成組織の仲間など全国から約150人が参加し、各構成組織において進められている政策制度要求の取組みの経験を交流した。全水道は、関東地本の仲間を中心に10人が参加した。


 集会では、中村公務労協議長が、「5月13日に成立した公共サービス基本法は、理念法であり実質化していくのが私たちの課題である」と指摘した上で、「そのため、現場で働く者が変化の兆候を感じ取り、明日を作っていく現場主義の取組みを大事にしたい」と挨拶した。そして、「労働組合が政治に影響力を持つには、社会に対してわかりやすいメッセージを送る必要がある」と今後の課題を述べた。
 事務局から、「国民の安定・安心を支える良質な公共サービス確立に向けた取組みの一環として、政策制度中央集会を通じて各構成組織の政策制度に関わる課題を公務労協全体として共有化をすすめたい」と提起をした後、自治労、日教組、国公連合、林野労組、JP労組の各構成組織から政策制度の取組みの現状と課題について報告があった。


 続いて、明治大学の牛山久仁彦教授が、「公共サービス改革とこれからの公務員」と題した講演が行われ、現場レベルでの市民・住民と協働した取組みを通じ、積極的な政策提言をすすめていくことが求められていると述べられた。
 最後に、久保田政策制度専門委員長(全水道書記長)がまとめとして、「各構成組織の政策提言を具体化するためにも、引き続き、取組みを強化したい」と述べ、集会を終了した。
全水道 5・15沖縄平和行進レポート
平和憲法改悪阻止、米軍基地再編強化反対!
行進貫徹し、反戦・平和を訴える
全水道青年女性部長 本木 寛
 復帰37年、今年で32回目を迎える5・15平和行進は、海上自衛隊のソマリア沖派兵、普天間基地の代替地である名護市辺野古への移設・新基地建設と、そのパッケージとなっているグアム移転協定に反対する中での取り組みとなりました。


 海上自衛隊のソマリア沖派兵では、「任務遂行のための武器使用」を初めて認めており、それは憲法で禁じている集団的自衛権の行使であります。また、グアム移転協定の強行は、沖縄県民の思いを踏みにじる米軍基地の再編強化、日米軍事一体化が加速化する暴挙であります。
 全水道は、13日、沖縄県男女平等参画センター・てぃるるで産別結団式を開催し、本部佐藤委員長、沖縄水労当真委員長からの激励のあいさつを受けた後、平和行進に向けた基調提案を受けました。その後、参加者全員が決意表明を行い、沖縄平和行進の貫徹、米軍基地撤去、反戦平和を確認しました。
 14日午前、ひめゆりの塔、沖縄平和祈念公園、旧海軍司令部壕を見学し、沖縄戦の悲惨さを目の当たりにしました。
 午後には、5・15平和行進全国結団式が開催され、沖縄県内、全国からの参加者で平和行進の貫徹、沖縄から全世界に反戦平和の声を発信することを打ち固めてきました。
 沖縄水労と全国参加者併せて100人を超えた全水道行進団は、辺野古の浜を出発し、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、嘉手納基地、安保の見える丘、普天間基地など、米軍基地をフェンス越しに見ながら東コースを3日間行進貫徹しました。
 最終日には、宜野湾市海浜公園屋外劇場で「復帰37年、5・15平和とくらしを守る県民大会」に、平和行進参加者と沖縄県民約3,500人が結集し、平和憲法改悪阻止、沖縄の米軍基地再編強化反対、沖縄の、日本の、アジアの、世界の平和のために闘う決意を確認しました。
 夜には産別行進団解散式を開催し、行進参加者一人ひとりから発せられた、歩いて、見て感じた思いを共有するとともに、職場―地域での反戦運動に繋げることを確認しました。
 日本政府は、戦争の過ちを再び繰り返そうと、戦争のできる国家体制作りを推し進め、米国への隷属化、在日米軍の再編強化に加担しています。また、自衛隊と米軍一体となっての合同軍事演習を行い、国内はもとよりアジアの地域・人々を痛めつけようとしています。
 私たちは、反戦・平和を実現するべく憲法9条を守り、平和憲法をいかす取り組みを興していかなければなりません。併せて、生活と権利を護り、労働者・国民が安心した社会を切り拓くうねりを職場―地域から築き、今日の閉塞感を打破していきましょう。
 最後に、行進参加者は勿論のこと、沖縄平和行進に際し、職場からサポートして頂いた組合員、役員の皆様に感謝申し上げます。
第28回労研全国集会分科会報告
理論と実践の全水道めざし学習・討論!
第1分科会〈賃金〉
 第1分科会は、44単組56人が参加し、2テーマを設定、第1テーマ「現業職員、地方公営企業職員への賃金引き下げ攻撃の背景と現状について」と第2テーマ「臨時・非常勤等の均等待遇の実現に向けて」の構成で行った。
 講演では、「人事評価と賃金制度について考える」と題して法政大学大学院藤村教授の話を聞き、質疑では部下を見ない管理職に対する交渉のアドバイスを求めるなどの意見が出た。
 第1テーマでは、久保田書記長から現業賃金引き下げ攻撃の背景と現状についての提起があり、攻撃に晒されている東京(真部氏)と岐阜(宇野氏)から、それぞれ状況報告が行われた。
 第2テーマでは、四国地本森宗書記長より臨時・非常勤等の均等待遇の実現に向けての提起を行った。
 分科会を総じて久保田書記長は「扱った大小それぞれの課題は、私たちにとってどれも非常に重要」としながら、昨今の私たちの賃金を取り巻く厳しい状況を、参加者全体で共有し、分科会を終了した。
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理論と実践の全水道めざし学習・討論!
第2分科会〈権利・労働基本権〉
 第2分科会は40単組61人が参加し、権利・労働基本権に係わる3テーマを設定し開催した。
 第1テーマでは内藤全水道顧問弁護士を招き、「労働基本法一部改正と労働者派遣法を巡る課題と問題点」と題し、講演が行われ、「労働法制には骨幹となる柱がない中で、規制緩和政策と相いまみえて、日々変わっているが労働環境が破壊される事態を招いてはならない」と述べた。
 第2テーマでは、低賃金に限界を感じ労働組合に加盟したトラック運転手が”フツー”の労働条件を獲得していく課程を通して、労働組合の重要性を学んだ。
 第3テーマとして、地方公営企業職員の権利の確認と運動への活用の現状と題し、京都、横浜、中国地本から組合活動に係わる現状などについて報告を行った。各テーマを通じて、参加者からは時間内組合活動に関わる様々な現状が報告され、共有化を図った。
 最後にまとめとして内藤弁護士より「これまで労働二権を有して協約締結闘争を進めてきた全水道は、これからも公務員の労働関係の先陣を切って行ってもらいたい」との発言を全体で確認し、分科会を閉会した。
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理論と実践の全水道めざし学習・討論!
第3分科会〈組織・政治〉
 第3分科会は、40単組59人の参加で開催した。2テーマを設定し、第1テーマは「組織」で3つの提起をした。「中小の水道職場(公営企業職場)における闘いの強化」と題し、組織問題について、実態と強化の課題に向けた提起となった。
 続いて、「再任用と非正規雇用労働者の組織化」について提起があり、組織人員の減少に際して水道業務の周辺の労働者の組織化が急務の課題であると確認した。
 また、「大阪市水道局に対する府労委闘争の収束について」では、この間の大阪の労使での問題について最終的に労使関係の改善を目指すことで「労使関係に関する基本協約」の締結をし、関係の改善を目指すこととなった。
 第2テーマは、「政治」とし福山平和フォーラム・原水禁事務局長から「憲法・日米安保・平和基本法と平和フォーラム」と題して、講演をいただいた。私たちの目指すべき平和な世の中を作るため、平和憲法の制定が望まれていることを確認しあった。また、本部岡崎副委員長から、「新自由主義政策の転換を進める全水道の対抗戦略の再確立に向けて」と題して提起があり、来るべき総選挙闘争に勝ち抜くために闘うことを誓い合い終了した。
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理論と実践の全水道めざし学習・討論!
第4分科会〈政策・反合〉
 第4分科会(政策・反合)は52単組95人の参加で、第1テーマ「水基本法制定に向けて」、第2テーマは講師に堀内AMネット事務局長を迎え「第5回世界水フォーラムと水をめぐる世界情勢」について学習した。その後、「水道」「下水道」の分散会に別れ、それぞれ学習・討論を行った。

◎水道分散会
 水道分散会は、第1課題「新たな水道広域化施策について」、第2課題「各都市における業務委託の現状と対応について」の2本を設定し、46単組69人の参加のもと討論を行なった。
 第1課題は、広域化にあたっての留意点の提起があり、大阪の府市統合・神奈川の広域化の事例報告があった。
 第2課題は、全水道として取り組んだ「2008年政策・業務実態調査」結果を03年結果と比較整理した内容の中間報告があり、続いて「各都市における業務委託の現状と対応について」と題して、各都市における業務委託化の状況と公営原則防衛の為の考え方として水道事業において「知識」と「技術」という「能力」を持ち続け、震災等の危機管理にも対応出来る直営完結体制を維持する必要があると提起があった。
 会場からは「釧路」「高知」「会津若松」「佐世保」の厳しい業務委託の実例が報告され、最後に、報告・討議内容を各単組に持ち帰り、水の公共性を基盤に、事業の民営化・業務委託化に反対する取り組みを強化する事を全体で確認し分散会を終えた。

◎下水道分散会
 第4分科会・下水道分散会は16単組26人が参加して、3テーマを設定し開催した。
 第1のテーマである全水道「09下水道政策要求について」は、現在の情勢に合わせて今回見直しを行い、政府に対して要求書の提出を行うことを考えている。との提起の後、各要求項目について議論を行った。
 次に第2のテーマである「水基本法・下水道の視点から」は、午前中の補足の説明を受け、議論を行った。
 最後に第3のテーマである「水道・下水道統合問題にかかわる課題と対応について」では、統合による合理化攻撃、手当の違いや組織化についてなど様々な問題が報告された。
 まとめとして、09下水道政策要求書については、概略について参加者全員で確認し、預けられた項目については、後日参加者全員で確認することとした。
 水基本法については、労研で終わることなく、単組に持ち帰り検討を深めることを確認した。
 水道・下水道の統合については、政策・業務実態調査集計にあるように、多くの単組で統合が行われている、もしくは行われる予定であることから、今回のレポートを受け統合における問題点を認識し、全体で確認して、分散会を終了した。
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理論と実践の全水道めざし学習・討論!
第5分科会〈民間部会〉
 第5分科会は、「共済ビル・竹の間」で11単組、21人の参加で行った。
 まず、本部佐藤委員長から「民間部会の課題と取り組み」という標題で、「民間部会は、民間会社、第三セクター、私人委託など職場、業務、身分など千差万別であり、同一業種であっても労働条件には大きな違いがある。このため、民間部会は各単組の実態把握に努め、そこから要求・運動を見いだす努力が必要である」と提起された。
 続いて、さいたま市水道委託者労働組合より「検針及び収納事務等委託契約問題の取り組み経過・結果と今後の課題」という標題で、68歳から65歳への契約年齢の引き下げ攻撃に対する単組・県支部・地本と連携した取り組み報告がされた。
 最後に「組織実態調査表」に基づき、賃金・諸手当の状況、組織活動、団体交渉の実態等の各単組報告がされた。参加者からは、退職者不補充が現実の課題として重くのしかかっているために、労働強化、事業委託化が行われ、事業継続も危ぶまれている等の意見が出され、やはり、局労組との連携も含め、お互いに問題を共有化することが重要であることを確認し終了した。
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理論と実践の全水道めざし学習・討論!
第6分科会〈青年女性〉
 第6分科会は30単組56人が参加し、青年女性部運動と組織化についてテーマを設定し開催した。
 ここ数年の新規採用者の凍結などによる若年層職員の減少、また「組合離れ」が進む中、若年層の組合加入率は低下し、青年女性部の運営や存続自体が危ぶまれる単組もみられる。このような状況を打開していくため、組織強化を中心とした課題を検討し、組合員に伝えることで、今後の青年女性運動に反映できるよう、3テーマを設定しグループ討議を行った。
 青年女性部の存在意義や必要性について、課題の解決に向け取り組むとともに今後の青年女性運動に反映させていくため、職場、組合員へどう伝えていくかが大変重要であることを全体で共有し、分科会を終了した。
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