全水道09春闘討論集会
春闘構を提起し、09年春闘のスタートへ
春闘方針の確立へ活発に討議
 1月23日・24日に、都内で全水道2009春闘討論集会を全国より83単組204人の組合員の参加で開催。集会は一日目を全体集会、二日目を課題別T、Uに別れて行い、また、民間部会が春闘交流会を開催した。今集会では、09春闘構想(案)を提起、組合委員の活発な討論を受け確認し、各地本での討論集会でさらなる討論の後、2月18日に開催する第124回中央委員会で春闘方針として確認することとなる。(委員長挨拶、質疑応答、講演の各要旨を2―3めんに記載)

 一日目は、ウィメンズプラザ東京で行い、臼田副委員長の開会あいさつ、座長に西川書記次長を選出し始められた。委員長挨拶にたった佐藤委員長は諸情勢にふれ「今日と明日の討論集会への積極的な参加と、各地本・単組におかれましては、本討論集会後に討論集会、労研集会が予定されております。春闘方針として決定する2月18日に開催する中央委員会に向けて、しっかりとした意志統一と態勢づくりを」と要請した。
 つぎに、アンドリュー・デウィット立教大学教授より「世界金融危機と環境エネルギー革命」と題して講演が行われた。
 続いて、小山正樹JAM副書記長より「産業再編下の労働運動―転換点に闘う09春闘」と題した講演を受けた。
 休憩をはさみ、久保田書記長から春闘構想が提起され、質疑応答の後、確認。闘う春闘のスタートに向け春闘構想を確立。一日目を終了した。
 二日目は、全水道会館で、課題別集会T、課題別集会Uに別れて行った。また、今春闘討論集会に参加した民間部会単組代表が、全水道民間部会春闘交流会を開催。

課題別集会T
 春闘討論集会二日目の課題別集会Tは、全水道会館でおこない、座長に岡崎副委員長を選出し、本部提起「公営企業労働と賃金(賃金の社会的合意から地公標準賃金へ)」と題して、西川書記次長が提起した。
 つぎに、関根秀一郎・派遣ユニオン書記長を講師に「ワーキングプアの逆襲―立ち上がる日雇い派遣労働者」と題した講演を受けた。
 休憩をはさみ、学習会として「2009年春季生活闘争・連合白書について」と題して村元隆・連合労働条件局局長から、09年春闘の闘いを連合白書を資料に説明を受け、学習した。

課題別集会U
 春闘討論集会二日目の課題別集会Uは、全水道会館でおこない、座長に臼田副委員長を選出した。本部提起「地域の労働条件支える公務公共の労働条件」と題して、久保田書記長が提起した。
 つぎに、「官から民へ〜揺れる“委託の現場”〜」(NHKクローズアップ現代’08・4・7放映)を上映。公共の委託の現場実態、問題点などを学習した。
 つづいて、内藤隆・全水道顧問弁護士より「労働協約と労使協議」と題して講演を受けた。公務員制度改革による労働基本権問題に対し、弁護士の立場から問題点などが説明された。

民間部会春闘交流会
 24日、春闘討論集会に参加した民間部会単組の代表者で春闘交流会をおこない、全水道本部から、佐藤委員長、岡書記次長が参加した。
 春闘交流会は、佐藤委員長からの本部あいさつ、住田部会長からの代表あいさつ出席した各単組の代表者から、それぞれ自己紹介がされ、はじまった。
 春闘交流会では各単組の組織の実態、今単組で抱えている特徴的な課題などが報告され、討論し参加者全体で問題を確認、共有化した。
公務労協第10回代表者会議
2009春季生活闘争方針を確立
公務員連絡会、地公部会も春季生活闘争方針を確立
 公務労協の第10回代表者会議が、27日に都内で開催された。代表者会議では、(1)すべての公共サービス労働者の生活の維持・確保、賃金水準の改善と格差の是正をはかること、(2)良質な公共サービスの実現に向け、そのあり方を再構築すること、(3)公務員制度の抜本改革と公務における労使・労働関係の改革を推進すること、Cこれらの取組みを通じて組織の強化・拡大をはかることを柱に、組織の総力をあげて取り組むこと、の4方針を柱に据えた2009春季生活闘争方針が決定された。
 代表者会議は冒頭挨拶にたった中村議長(日教組委員長)から「春闘では、労働者への配分が余りにも少なすぎる現状に対して、正規も非正規も賃金を上げなければならない。また、時代の転換に当たって、現場の勤務条件が向上し、担保されるような社会に変えていく主体として力を合わせて取り組んでいこう」と、09春季生活闘争に全力を挙げることが呼びかけられた。
 続いて、連合の逢見副事務局長から激励のあいさつがおこなわれた。
 つぎに2009春季生活闘争方針が提案され満場の拍手で採決された。吉澤事務局長は「公務員制度改革、地方分権改革、行政改革という3つの工程表が重なる逆風となっており、公務労協にとってこの春は正念場のたたかいになる。わが国経済を内需依存型に変えるためには、公共サービスの再確立が重要だ。この春の取組みがターニングポイントになるのでしっかり対応していく」との立場で方針案を提案、特に公共サービスキャンペーンの重要性を強調した。
 なお、公務労協は代表者会議に先立って、第42回労働基本権確立・公務員改革対策本部会議を開催し、公務員制度改革工程表への取組みや労使関係制度検討委員会対策を強化するとの方針を確認した。
 また、代表者会議の前段に地方公務員部会の代表者会議が、後段には公務員連絡会の代表者会議が行われ、それぞれ春季生活闘争方針を協議・決定し、2009春闘を闘う態勢を確立した。
全水道09春闘討論集会講演レポート(要旨)
09春闘討論集会委員挨拶(要旨)
社会的役割をはたし、労働運動の再構築を
中央執行委員長 佐藤幸雄
 全水道09春闘討論集会開催にあたり、執行委員会を代表してご挨拶申し上げます。
 八戸水労の仲間には、元旦から導水管の破損事故に対し、復旧工事に御苦労され、大変お疲れ様でした。今日、事業体共通の課題として、水質問題、老朽化施設の更新・維持管理をはじめ多くの課題を抱える中、公営原則を堅持し安心・安全の事業を推進しなければなりません。

勤労国民の現状、雇用問題について
 アメリカ発の世界同時不況による企業収益の落ち込みを理由に、採用の内定取り消し、派遣・期間工を中心とする非正規労働者解雇問題など、生活・雇用・社会保障などの社会システムが機能していません。
 特に派遣を中心とする非正規雇用労働者の相次ぐ解雇は、企業収益の落ち込みを理由にしていますが、派遣法改悪による延長された雇用期間が切れる事から、矢継ぎ早の派遣切りを行っています。春闘対策として横並びを否定している企業が、横並びで競い合うように派遣・期間工の解雇を行って、この3月には10万人にも達しようとしています。
 私が昨年暮れに、京品ホテル闘争支援署名と檄布を届けた際、ホテルの仲間は「派遣切りが相次ぐ中で、私たちの問題は大型解雇のモデルケースであり、各地で苦しんでいる人たちのためにも負けるわけにはいかない」と訴えていました。また年末年始の日比谷公園派遣村、さらには全国各地でも民間や非正規労働者に対する支援の取り組みが行われました。
 一方で、自治体・水道事業体には50万人以上の臨時・非常勤職員、事業に従事する民間労働者の仲間も数多く働いており、私たちは、雇用を守り均等待遇・処遇改善をしっかり取り組み、派遣切り阻止、雇用確保のために闘っている仲間に対する支援・連帯の闘いにつながることを確認してその役割を果たさなければなりません。

政治課題について
 昨年のアメリカ発の金融恐慌、世界同時不況によって新自由主義の崩壊が言われています。新自由主義の破綻から終焉が現実味を帯びてきている現状にあるなか、昨年の定期大会で確認した闘う方針の基、国内における取り組みを強化し、新自由主義を終演させなければなりません。
 海賊対策を口実に海上自衛隊をソマリアに派兵するための法案を今国会に提出する動きにあり、これは現行自衛隊法の拡大解釈であり許すことは出来ません。麻生首相は海外派兵態勢の強化や米軍再編の加速など、海外で戦争する国を目的とする「防衛計画の大綱」を見直す作業に着手しました。
 私たちは9月までには行われる総選挙闘争で麻生政権を退場させると共に、雇用・社会保障をはじめ勤労国民の生命と暮らしを守り、そして護憲、平和を守る為にも勤労国民を基盤にした政権樹立を図らなければなりません。

春闘に向けて
 09春闘は連合が方針を決定し現在、官民問わず闘う態勢作りが行われています。連合は、今春闘を「効率と競争優先から公正と連帯を重んじる社会へ」の変革を目指す第一歩として、労働組合としての役割と責任を発揮して、賃上げこそ景気対策の第一の柱であることを確認し合い、危機こそチャンスである!を合い言葉に闘いをスタートしています。
 連合結成以来、組織率低下、非正規雇用労働者の増大、賃下げスパイラル等々、問題点が明らかになっているなかで、総労働の闘いである春闘を通じて組合員の期待に応えると共に、現状を受け止めて労働組合の社会的な役割を果たして、労働運動の再構築を図らなければなりません。
 全水道は結成して58年目を迎える中で、課題は山積していますが、諸先輩によって結成・継承されてきた組織と運動を「09春闘」を闘いのスタートとしてまなじりを決して闘い抜き、更なる飛躍をさせる為にも労働組合をしっかりと職場に根付かせ、日々の活動を通じて組合員の期待に応えられるよう、参加された皆さんと決意し合うものです。

中央討論集会の運営について
 労働運動を取り巻く情況、各地本・単組における厳しい組合活動規制などにより、ここ数年間の本部機関会議への参加情況は、減少傾向にあります。私は参加単組数の減少をより深刻に受け止め、より多くの単組が出席できるような環境作りと、参加できない単組へのアフターケアについて当該地本とも協力して対策を講じたいと考えています。今後、皆さんの意見を頂きながら実りある討論集会、機関会議を目指していきますので、ご理解とご協力を。
全水道09春闘討論集会質疑応答(概要)
東北地本 瓜生忠夫
 春闘構想9ページに会津若松についての記述があるが、現状について報告したい。繰り上げ償還に伴う補償金免除の関係で会津若松水労も制度に乗っかりたいとの背景があり、昨年の2月局内に健全化検討委員会が組合を含めて組織された。
 この検討委員会は委託化ありきで、部門としては浄水部門、排水部門、料金部門についてどのような委託ができるのか検討しろと組織された。色々な議論があったが、結果的には委託化を進めようと報告書が出され、9月に議会に報告され明らかになった。
 一方、経営審議会について、市長は今回の経営合理化に対して、経営審議会にどう思うか諮問し、昨年11月の末に経営審議会としては概ね良好だと、是非進めるべきだと方向が出された。また、会津若松市議会では、政策決定システムをどのようにすればいいのか議論があり、通常は当局の提案に対して議会で決定するが、市民の意見はどのように反映されるのかとなり、新たな条例を作り市民の意見をどう反映するのかというシステムを条例可決した。
 それを政策検討委員会というが、最初の議題として水道の大規模な民間委託化について議論することになった。これは議員全員が参加し、様々な勉強をし、市民の意見を聞く事になっている。昨年の暮れに太田教授を呼び、今回の委託化の基本論点を整理する勉強会を行い、5つの基本論点が出された。技術継承をどうするのか等について会派の皆さんはどう思うのかと問題提起がされた。問題提起に対する会派の回答は書面にして、広報に流し、市民全員に行き渡るようにするとしている。それを踏まえ再度、市内6カ所で市民と対話をする段取りになっている。
 会津若松水労としてはこの間、労使交渉の中でもやり取りをしているが、のらりくらりと中々歯がゆい労使交渉であった。地区の労農市民会議の名前を借りながら7月の段階では久保田書記長に来ていただき、その中の学習会に取り組んだ。さらに11月末には、佐久間知子さんにおいでいただき、海外の民営化事情を参考に民営化がもたらすものは何なのか、市民を含めて学習してきた。今回2月14日に太田先生をお招きし、市民を前に今回の基本論点を含め内容を直接聞いてもらう取り組みをしている。そして3月の段階で、議員、政策検討委員会としてどのような判断をするのかという局面にある。

本部答弁 久保田書記長
 本部としても大変厳しい攻撃と受け止めている。当該地本・単組の要請もあり対応してきた。組合、職場の皆さんは浄水場合理化のさいに、大変古い設備で本当に安全に運営できるのかということも含め自信と確信を持っている。職場段階のしっかりとした意思統一を背景に、労使交渉、団体交渉をしっかりやって、会津若松の水道のあり方を決めていく、一方的な民間委託化拡大を許さないと進めているので、引き続き本部も要請に基づき支援・協力をしていきたい。
 当該単組におかれては、県支部・地本も十分支援し、当該単組の一層の奮闘をお願いしたい。





沖縄水労 新垣 悟
 沖縄においても特例措置カットの提案がされてきた。6月から交渉を重ね、分会オルグと組合員の意見を聞きながら組合の方針を決定し、月例3%、一時金2%カットの提案について、局の経営健全化に伴って、職員は結果として187%の達成率を上げているにもかかわらず、給与カットは到底受け入れられない。我々全水道沖縄としては撤回を求めている。知事部局においては4月から実施されており、提案理由として出されているが、我々としては局の経営健全化に伴っての結果を出していると、白紙撤回を求めている。
 この不況に伴い今後さらに給与の減額が、さらなる提案が出されると考えているが、本部としてはどのように考えているか。
 もう一点、この不況に伴い、派遣切りなどの非正規雇用者の雇用問題で、各市町村で非常勤の採用があると思うが、非常勤ではなく正規雇用につながる政策をどのように考えているのか。人員増を求めているが、これを良い機会に雇用につなげていければと思うがどう考えているか。

本部答弁 久保田書記長
 沖縄水労の賃金カット提案についてはこれまでも報告をうけ、懸命に闘っていると本部も受け止めている。引き続き労使の団体交渉で、当該労使関係の中で、報告されたことを軸に取り組みを進めていただきたい。
 今後非常に心配される、金融危機というこの大不況の中、政府財政も厳しいが、地方財政の厳しいところにさらに直撃していく。賃金カット、特例条例によるカットに留まらず、国家公務員、地方公務員を貫いて賃下げ圧力はさらに強まる。国の人勧の閣議決定に対し、政府としてさらに人事院に実態調査をし、水準を下げる努力を要請する政治介入を行っている。さらには、新たな高齢雇用が求められている中で、65歳までの雇用をどうするのかと、制度を作る名目で公務員労働者の、当面は国家公務員のステージで検討されているが、体系と水準を切り下げていく準備をしている。その上で、地方の財政はただでさえ厳しい中、さらに厳しさを増していく。特例条例カットはさらに強まると取り組み・対応をしなければならない。
 労働者の解雇で、自治体の緊急雇用が進んでいるが、非常勤・臨時だ。
 自治体の緊急避難的な臨時・非常勤採用、その対応については、全水道だけでなく、地方自治体全体に関わるので自治労とも対応・協議するべく地公部会で要請して議論・対応を深めようとしている。
 正規職員採用については、自治体全般だけではなく全水道に関わる業務でどうするかは、我々で議論し方向性を決めることはできる。09春季産別統一要求の中で技術基盤が崩壊しているなか、この間も大事なこととして職員配置や一般部局との移動は技術基盤を破壊するので、一方的にするなと要求してきたが、さらに一歩進んで、職員配置、増員をさせていくことが必要。統一要求の中でどう掲げるか、そういう問題意識で本部として考えたい。賃金専門委員会、戦術委員会で十分議論して、掲げるだけではなく、そこで事業基盤、運営基盤の確立をし、業務確立を行い、安定した労働条件を確立して役割を果たし、私達もしっかり働いていける、生活ができるために、産別として問題意識を持って提起をさせていただいた。引き続き議論し、要求にどう反映させるか、対応していきたい。
世界金融危機と環境・エネルギー革命
アンドリュー・デウィット立教大学教授
失われたブッシュ時代
 1月12日付ワシントン・ポスト紙は「ブッシュ大統領は米国経済にとってほとんど進歩のない8年間だったとみなす経済学者が、イデオロギー的派閥に関わりなく増えている」と指摘、「失われた10年」である。
 「構造改革」と競争力や成長の鍵とされた富裕者減税、規制緩和、民営化が、経済統治モデルとしてどれほど廃れたかは注目される。
 経済への打撃は凄まじい。昨年、全世界の株式市場から30兆米ドルが消え失せ、OECDは今年中に世界中で2500万の職が失われると警告、不良債券などによる米国金融機関の資本損失は3・6兆米ドルに膨らむ。ドイツ財務省は同国金融セクター全体が所有する不良債券の合計を1兆ユーロと推定。オバマ大統領の就任日にもシティグループの株価は2ケタ下落した。

ネズミ講と金融工学バブル
 金融危機と混乱は何か。ウォール街の金融工学と500億米ドルもの資金を巻き込んだメードフの“ネズミ講スキャンダル”がその混乱の典型だ。証券取引委員会はこのメードフに、規制緩和について助言を求め続けてきた。しかし10年前に「ゴールドマンサックス社(最高経営責任者はポールソン前財務長官)がメードフのファンドを調査し、大手投資銀行などは強い疑いを持ちメードフのファンドに投資しなかったが、それ以外には何もしなかった。
 メードフの怪しい投資スキームに匹敵するのがウォール街の金融工学だ。ウォール街は証券化資産を構築するのに住宅ローンや他のローンを取り上げ、それらを売買可能な資産に変換し、その上これをはるかに超え、それら資産間の売買や売買に保険をかけること自体を投資に変えた。リスクを分散させる工夫のはずの金融工学が、巨大な投資と“破壊的なあぶく”を生んだ。
 不良債券問題では、英国で買取り銀行の設立が検討されている。米国でも同種の組織を設立する話はあるが、買取り銀行がどうやって不良債券の価値を評価するのかが難題だ。英米・欧州金融機関の国有化は進行中だが、金融危機の根本的な解決がなければ、政治にも悪影響を及ぼすだろう。

グリーンと討議民主主義へ
 これからどう変化していくか。米国政治の重心軸が、FIRE経済(金融、保険、不動産部門)や石油経済、イデオロギー政治の時代から、クリーンなエネルギー、理性的な政治の時代へ移行するスピードは増していく。“過剰消費経済の復活”と“新しい成長産業の促進”のどちらを政策の焦点とするか、選択を迫られるだろう。
 オバマ政権の経済プログラムの中心はグリーン技術や新しい経済の構築に必要なインフラへの投資からなる環境ニューディールだ。景気対策プランではグリーンの分が15%(1260億ドル/8250億ドル)とされる。過去の経済インフラ支出の焦点が道路や橋の建設工事にあったことと対照的だ。
 オバマ政権には草の根からの、インターネットを使った討議民主主義・「多様性」へのリーダーシップも期待されている。大統領選挙の投票日当日にオバマを支持した有権者の4分の1はコンピュータネットワークを通じてオバマとつながり、有権者同士もそのメカニズムを通じつながっていた。このネットワークと政治的・知的動員のインフラは生きている。1月15日、オバマのインターネット放送は、ネットワークが「アメリカのため組織する」という名で、民主党全国委員会の一部になると公表した。
 しかし討議民主主義についてオバマへの期待は大きすぎるかもしれない。草の根の支持基盤が積極的に活動しオバマ政権に対し圧力をかけなければ、“普通の政治”に戻る可能性は高い。それでも(崩壊し国営化されている)金融機関や(負の外部性の多い)化石燃料業界と産業構造の変化は起こる。しかし下からの圧力が弱い場合は、産業転換のペースは遅くなるだろう。組織化された有権者が、政治的に消費者ではなく「市民」として活動しなければオバマらはワシントンのエリート・ロビー団体に取り込まれてしまうかもしれない。

大規模で前向きな変化を
 今後を予想してみよう。悲観的なシナリオとしては、金融危機とそれに端を発する経済危機の悪化の悪循環が続いて、オバマのグリーン革命は棚上げされ、いつも通りの日常」型内需中心景気対策の復活が懸念される。国際的な協力は殆どないまま金融、財政の難題に拍車がかかり、化石燃料の消費によるハイパーインフレ(供給破壊などの結果)、水資源などをめぐる争いの顕在化もあり得る。しかし楽観的なシナリオもある。今年はたしかに、よりひどい経済的・政治的な混乱が予想される。だがこれらの混乱は“大規模で前向きな変化の可能性を高める”そういう希望でもある。
産業再編下の労働運動
転換点に闘う09春闘
JAM副書記長 小山政樹
 JAMは99年に金属機械と全金連合が統合し結成しました。従業員規模で300人以下の企業が85%と中小企業が多い組織です。09春闘は金融危機と世界同時不況の中で輸出産業を中心にこの10月〜12月に一気に雇用状況が悪化したことで厳しい状況にあります。リストラが吹き荒れた01年に匹敵します。
 しかしその内容は、雇用調整策が01年に比較して倍増し、かつ7年前は正規従業員の希望退職が主でしたが、今回は非正規労働者の雇い止め等から始まっています。いうまでもなく04年3月から製造業への派遣労働が解禁されたことが背景です。輸出産業の機械受注が11月に16・2%と急減すると同時に雇用も落ち込むこととなっています。派遣労働は資材等の購買契約と同様の扱いであり、労働者のジャストインタイム方式が職場で現実化しています。
 そういう中でJAMは(1)賃金要求、(2)政策・制度、(3)雇用対策を三本柱とした要求を掲げました。賃金要求は、物価上昇・各種是正分としてベア4500円です。根拠は平均賃金38歳30万円の物価上昇1・5%分です。成果型賃金制度等が導入され、「賃金は会社の利益配分」との風潮がありますが、賃金は生活を維持するためのものであり、物価上昇分をはじめ、要求を要求として立てることは当然です。そうでなければ、交渉にならないばかりか、合理化提案など交渉の土俵を作られてしまいかねません。
 派遣切りの中での賃上げはとんでもないとの批判もありました。しかし要求を自粛したら派遣労働者の雇用を本当に守ることができるのでしょうか。製造現場の派遣労働はアパートと工場をマイクロバスで往復、深夜労働、単純・長時間労働というすさまじい実態ですが、直接的な雇用関係にはなく団体交渉事項にすることは至難な事も事実です。小泉時代に国が法制化したものであり、国が責任をもって住居、生活を保障する。その上で「ものづくり教育」等、技能・技術教育で労働の質を高め政府や自治体が仕事の場を作り上げていくことこそが筋道です。
 同時に労働組合も雇用の質が大きく劣化した中で、率先して雇用の質を高め産業のあり方も変えていく。賃金要求も社会性をもつ月例給を重視し闘うことが重要と考えています。ワークシェアリング論も提起される向きにありますが、この状況では賃下げ圧力にしかなりません。製造現場の年間労働時間は1960時間程度ですが、5〜10年の視点をもって大幅に時間短縮をし、働く者の雇用環境、労働の質を高めていくことに結びつかなければ意味はないと考えています。
 職場は新年度の生産計画すら立たない中で、組合員は不安を抱えています。したがって雇用対策はしっかり行い、賃上げ要求も出し、同時に次の新しい社会が連合が掲げるように「労働を中心とした福祉型社会」でなければならないことを訴え、この大変な時を新たな時代へのチャンスと考え闘う決意です。
ワーキングプアの逆襲
立ち上がる日雇い派遣労働者
派遣ユニオン書記長 関根秀一
 昨年末から話題になっている派遣村は、11月、12月に一斉に派遣労働者が切られる事態が生じたことから急遽開設を決めたものです。派遣労働者は仕事を切られるだけでなく、住まいも奪われて命が危機に晒されてしまう。派遣労働者の皆さんを闇に紛れて死なせてはならない、いま何が起きているかを可視化することができないかを考え、派遣村を作った次第です。
 10月末から「派遣切り」という言葉が一斉に使われ出しました。製造業を中心に派遣労働者が一斉に解雇され出しました。私どもの派遣ユニオンは派遣切りホットラインを11月末に全国で開設した。予想を上回り、2日間で427件の相談が寄せられ、特に本部の4台の電話は鳴りっぱなしの状態でありました。
 相談される方は製造業が多く、年代では40代、30代、50代の順です。内容は解雇、そして契約の途中に切られる人が圧倒的でした。様々な年齢層の人が、月収30万円(実際には額面で17〜8万円)というデタラメな求人広告で集められ、寮(4〜5万の家賃を支払う)をあてがわれ3〜6ヶ月更新で働くことになります。40〜50代の人は帰るべき家のない人がほとんどでした。野宿生活に追い込まれ、死に至る事態を何とか避けるために、日比谷公園に派遣村は作られました。予想を遙かに超える人が集まって来ました。
 派遣村開設を決めたのは12月19日、実行委員会を作り炊き出しを教わりに東京・山谷に行ったりばたばたと準備した。派遣村は想定以上に社会にアピールすることができた。派遣切り、解雇がいかに労働者を悲惨な状況に追い込んでいるか、これを社会に知らしめる役割を充分果たしたと考えています。
 今後、国に対し今回と同じようなシェルター、総合相談窓口を作れと要求して行きたい。いま派遣村の人たちは生活保護を受けながら自立への道を探っています。住み込み、前払いの仕事があれば生活保護の必要はないが、そういう仕事はほとんどないのが実情です。住むところと当面の生活費がなければ自立はできない、派遣切りをさせないのが労働組合の運動であり、その認識を新たにしている。
 登録型の派遣労働者は雇用の調整弁として、いかに不安定な生活を余儀なくされているかを浮き彫りにしました。仕事のある時だけ雇用契約を結ぶというものは止めさせて行かなければなりません。フルキャスト、グッドウイルの闘いを通して、運動は前進しています。間接雇用を禁止するために労働法の改正をめざす共に、当面、労働者派遣法の改正を実現するため皆さんと一緒に闘って行きたい。ありがとうございました。
第45回全国女性集会
一層の女性参画をめざし地本・単組と連携し取り組む
青年女性部副部長 森山 かおり
 全水道青年女性部は、1月30日〜31日、石川県・金沢エクセルホテル東急で『第45回全国女性集会』を開催し、全国各単組から84人が参加し行いました。
 一日目は、本木寛青年女性部長より主催者挨拶、佐藤幸雄全水道中央執行委員長より本部挨拶、塚本敏夫北信越地本書記長、中越透金沢水労執行委員長より来賓挨拶を受け、直江利恵女性部長による基調提起・集会説明、本部青年女性部の運営による『女性参画』をテーマとしたワークショップを行いました。
 ワークショップは、組合活動への積極的な女性参画をめざすために、「しょうがいとなりうる様々な要因を取り除いて、生活や働く環境をより良いものへと変えていくための行動に女性自身が参加していく」ことを課題に、事例を題材にしたグループ討議を行いました。また、今集会に先立ち、全水道本部、地本女性部長を担っていただいた諸先輩方を対象にアンケートを実施し、諸先輩方の体験談、女性参画に関する思いやアドバイスを基に、活発な意見交換を行いました。各グループからの討議内容の発表をうけ、問題解決のための方策や、今後私たちが取り組まなければならない諸課題について、全体で確認し一日目を終了しました。
 二日目は、『メンタルヘルス』『ワーク・ライフ・バランス』『水環境』『ジェンダー・フリー』の4分科会に別れ、学習しました。
 分科会は、内容・学習方法等の企画から本部女性委員が中心になって担当しました。短い準備期間の中、女性委員自らが学習し、担当者間で連絡を取り合いながら資料作成や運営準備を進め、工夫やアイデアの詰まった分科会をそれぞれ作り上げ、当日は、参加者からの発言を引き出しながら、意見交換・討議を行いました。各分科会からの報告・グループ発表をうけ全体で共有化した後、直江女性部長が集会まとめを行い、閉会しました。
 今回の集会は、参加者が地本・単組にとらわれず、全国の仲間と自由な意見交換をしやすく行えたと思います。また、参加者の約4割が男性となり、女性も男性もともに考え、お互いに理解し合う上で良い機会となったのではないでしょうか。今後も、男性参加に取り組みつつ、女性集会の開催趣旨である「女性組合員の交流」「女性組合員のための学習機会」を踏まえて、一層の女性参画をめざして地本・単組と連携して取り組んでいきます。
 最後になりますが、今回の全国女性集会の受け入れを快く引き受けていただいた北信越地本、とりわけ開催単組である金沢水労の皆様には、準備段階から運営にわたってサポートしていただきました。また、アンケートに回答いただいた諸先輩方を始め、ご協力いただいたすべての方に、この場をお借りして改めて感謝御礼申し上げます。ありがとうございました。
世界人権宣言60年
平和なくして人権なし
憲法理念の実現をめざす第45回大会開催
 1月31日〜2月2日にかけて、香川県・高松市のアルファあなぶき大ホールで「世界人権宣言60年 平和なくして人権なし 憲法理念の実現をめざす第45回大会(護憲大会)」が、全国より2500人の参加のもと行われた。全水道からは、各地の平和運動センターに結集し、22単組から55人が参加した。
 一日目は開会総会が行われ、子どもたちの和太鼓集団「夢幻の会」によるオープニングで始まり、江橋崇実行委員長が主催者あいさつを行った。つづいて根本博愛香川県実行委員長の地元あいさつ、龍井葉二連合非正規労働センター総合局長、近藤昭一民主党衆議院議員、福島みずほ社会民主党党首の連帯あいさつをはじめ、各級議員や地元代表の紹介とあいさつが行われた。福山真劫事務局長の基調提案などが行われた。
 講演とシンポジウムでは、「カジノ資本主義の崩壊と平和・人権・環境の確立」と題して、政治評論家の森田実さんの講演、シンポジウムでは森田さんと龍井連合非正規労働センター総合局長をパネリストにコーディネータ役の江橋崇平和フォーラム代表が討論した。 
 二日目は、「非核・平和・安全保障」「教育と子どもの権利」「歴史認識と戦後補償」「人権確立」「地球環境」「民主政治・地方自治」「憲法」の7分科会、フィールドワーク「小豆島二十四の瞳めぐり」、午後には「格差社会と男女共同参画」「アウシュビッツ・南京からまなぶもの報告会・パネル展」「平和コンサート」「映画『アメリカばんざい』」の4ひろば、全国基地問題ネットワークの学習交流集会、特別分科会「運動交流」が行われた。
 三日目は閉会総会が行われ、特別提起として「原子力空母母港化阻止のたたかいの総括と今後」「日朝国交正常化に向けたとりくみ」「脱原発・エネルギー政策転換のとりくみ」「地域護憲の活性化」「歴史認識と教科書問題」について報告が行われた。
 つぎに、福山事務局長から大会のまとめが行われ、大会アピールが採択された。最後に奥田社民党香川県連代表から「次期大会は長野で行われる。うどんの地からそばの地へと平和運動の流れをつなごう」と述べ、大会は閉幕した。
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京品ホテル闘争レポート
 自主営業を続けていた京品ホテルで、経営者側が起こした裁判の結果、不当にもホテル明け渡しの仮処分が東京地裁より出された。25日には、1000人の警官を動員し強制排除された。だが、闘いはホテル内から外に移っただけでまだ終わってはいない。全水道は、今後も連帯・支援しともに闘っていく。

強制撤去阻止闘争
 全水道09春闘討論集会の当日、全国ユニオンより京品ホテル強制撤去阻止闘争への支援要請があり、24日・25日の徹夜動員体制を全水道本部2人、東京・横浜・川崎水労より各1人の5人体制を確立。弾圧対策として連絡本部を設置、闘争体制に入った。
 阻止行動では、組合側は、徹夜組、始発組をあわせて300人の体制。警察は、1000人を動員し、強制排除へと移る。組合側も善戦したが、前夜からの徹夜での行動により徐々に疲れがでて押され始め、前列が倒れ、突破を許し排除される。
 総括集会では東京ユニオン京品ホテル支部長の金本さんが涙ながらに「こんな悔しい思いのまま終わらない。必ずこの職場へ戻ってくる」との決意表明と魂からの叫びに、ホテル社長の放漫経営とリーマンブラザース破綻に始まったこの労働者の闘いは、これで終わることなく闘い抜かれることを確信した。

京品ホテル前抗議集会
 強制排除から3日経った28日、京品ホテル前にて抗議集会が開かれ、全水道は本部と関東地本、東京水労を中心に参加した。
 集会は、鴨・全国ユニオン会長から挨拶がされ、つぎに、各産別の代表から連帯の挨拶が行われ、全水道からは佐藤委員長が、「当初より署名などで支援し、25日にはスクラムにも参加した。私たちの多くの職場で非正規雇用が蔓延している。これらの雇用環境の改善に自ら取り組んでいくことが連帯」と述べた。
 最後に、金本・東京ユニオン京品ホテル支部長より決意表明を受けて、団結ガンバローで終了した。

闘争100日突破! 連帯集会
 1月28日、総評会館会議室で、「闘争100日突破!連帯集会」が開催され、労働組合や市民団体などの仲間250人が集まった。全水道は本部を中心に参加した。
 集会は、鴨・全国ユニオン会長の主催者あいさつで開始、つぎに、参加した労働組合の代表から決意表明を受けた。全水道からは西川書記次長が25日のスクラムに参加したことなどについてふれ連帯の意を示した。
 また、今集会には、自主営業を続けてきた従業員から、強制排除を受けながらも今後も闘争を続けると一人ずつ決意が述べられ、最後に金本・東京ユニオン京品ホテル支部長が、「京品支部組合員は、これからもみなさんの力を借りながら、最後まで闘っていきます。」と支援に対するお礼と今後の活動に向けた決意、訴えがされた。
 最後に、渡部・東京ユニオン委員長が団結ガンバローを三唱し集会は終了した。
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