米国への同時多発テロをめぐる事態に対する見解
2001年9月21日
全日本水道労働組合
中央執行委員会
1.いかなるテロにも反対します。
9月11日、米国において同時多発テロが発生し、六千人を超える規模の犠牲者がでる事態となりました。私達全水道は被害を受けられた方々とご遺族に対し、心より哀悼の意を表します。同時に、いかなる理由があろうとも、残忍な無差別テロは決して許されるものではなく、いかなるテロにも反対する態度を明確にします。
2.いかなる報復戦争にも反対します。
一方こうした事態を受けて、米国は容疑者とその支援・援助組織、国家に対する軍事的な報復を主張し「ニュ−WAR」と位置づけ、すでにその行動に入っています。しかし暴力と報復の連鎖は、更なるテロを生み、果てしない武力の応酬になりかねません。従って根本的な原因究明の道筋を放棄する、いかなる報復戦争にも反対する態度を明確にします。
3.進行する事態の背景・原因の究明と根本的な解決の道筋を目指すべきです。
そもそも今回のテロ行為をもたらした背景には、イスラム社会と米国をはじめとする大国主義の、世界を舞台にした永きにわたる抗争があります。パレスチナ・イスラエル問題をはじめ、眼には眼、力には力、テロにはテロ、戦争には戦争という悪循環の延長上に今回の悲惨な事態が発生していることを想起し、その根本的な解決の道筋をいかにつくりだしてゆくべきかが問われています。過去の反省に基づく平和憲法を持つ日本の私達こそが、今そのことを大きく世界に発信しなければならない時にあります。
4.日本政府の対応姿勢に抗議します。
しかし小泉政権は、そうした道筋についての努力を示すどころか、早々と米国の報復攻撃への支援策のみを打ち出しています。その骨子は@米軍等の報復軍事行動を後方支援し、A国内米軍施設の防衛と警備のため「自衛隊の派遣と投入をする」ことなどの、7項目を当面の措置としているところです。しかしこれらは周辺事態法を「拡大解釈」したものであり、明らかに憲法違反であるといわざるを得ません。
私達はこのような後方支援と称する自衛隊の海外派兵と集団的自衛権の行使の実質化に反対し、事件を利用する政治的な策動に対し、満身の怒りを込めて抗議をします。
5.全水道の態度と立場。
さらにG8首脳共同声明が出されましたが、この局面における日本政府の果たすべき役割とは、報復軍事行動を支援し、これ以上多くの民衆の犠牲を強いることではなく、冷静な事態対処と根本的解決に向けた諸施策を提案し主張することにあると考えます。従って私達全水道はその立場を鮮明にし、予定される臨時国会における審議に注目し、態度と立場を同じくする広範な人々と共に様々な取り組みを強化してゆくこととします。