2005年9月10日(土曜日) 895号
共済事業の制度変更問題
契約更改契機に、加入促進活動を!

副執行委員長 臼田 秀司
 全水道共済は、05年度事業計画の重点課題に、全ての事業で「空白単組」をなくすこと、及び重点事業に「マイカー共済」と「団体生命共済」を設定し、加入促進活動を進めることにしています。
 マイカー共済は、昨年10月全労済に事業統合し、この統合メリットを活かして(1)共済掛金を平均9・6%引き下げ、(2)運転者年齢35歳以上限定と新車割引の新設、(3)人身傷害(自動車事故見舞金)の充実等を実施しました。更に、抜本改正を07年実施目標に。割引・特約の充実、補償内容の拡大・サービスの充実等「一部改定」を06年2月と8月に分け実施することにしています。従って、当面の目標であります1万台達成に向け、積極的な加入をお願いしたいと思います。
 また、団体生命共済は、「加入する組合員相互の助け合いが制度の基本」でありますが、全水道は若年層の加入が少なく加入平均年齢が上昇し、現行のランク別掛金制度(23円)では、制度が維持できない現状にあります。このため06年の次期契約更改時から、3グループによる「群団別掛金制度」に変更して推進することとなります。全水道の組織実情に即しながら長期に亘って制度的な安定を実現し、併せて、再雇用・再任用等多様化する雇用形態の変化の中で、組合員のニーズに応え、80歳までの半生涯保障を実現していくものでもあります。
 今回の制度変更に伴って、46歳以上の年齢群では掛金が38円(61歳以上は100円)となり、従来よりも掛金が上がることや、取り巻く環境(組合員・可処分所得の減少、福利厚生事業への攻撃、時間内組合活動の制限等々)から、取り組みは大変厳しいとは思いますが、全水道の掛金設定にあたっては、「目標件数の達成に努力する」という全労済との確認を前提にしていますので、特段のご理解とご協力をお願いします。
 特に、組織で取り組みを行っていない単組=「空白単組」をなくしていくこと、45歳以下の組合員は19円(現行23円)に掛金が引き下げになりますので、民間生保から掛金の安い団体生命共済への切り替えを含めて、未加入組合員の新規加入を積極的にお願いいたします。
2005年9月25日(日曜日) 896号
佐賀闘争をうけて
本気で実質的民営化反対の闘いを

書記次長 久保田 和尊
 佐賀市水道当局は9月13日の団体交渉で水道事業への指定管理者制度の導入を断念すると表明しました。併せて、この団体交渉では今後の労使交渉の基盤も作り上げました。水道事業の実質的な民営化を排除した上で、「事業の改革」については水道法の趣旨にそって検討するというものであり、それを労使協議のテーブルに載せ、さらに労使の合意に基づく実施を約束させました。まさにターニングポイントとなる労使確認であったといえます。
 これはもちろん、当該の佐賀水労をはじめ九州地本が地本拠点闘争として闘いを推進した結果であり、また全国の仲間の支えによって獲得した成果に他なりません。本部も2月の第116回中央委員会において、行革推進会議が地公法28条による解雇や水道事業の民営化・水道法の形骸化を答申するような場合には、本部拠点闘争に指定して総力で闘うことを確認してきました。さらに、労働組合の闘いにとどまらず「市民の会」を結成して、利用者である市民に対して徹底して事実を宣伝し続けて「佐賀水道のグランドデザインづくり」を呼びかけたこと、市民シンポジウム開催などの取り組みが有効であったといえます。
 佐賀市木下市長は行革推進の手段として行革推進会議を利用し、あらかじめ用意された結論を答申させて実施に移してきました。今回、水道事業を理解せず民間開放のみを推進する民間コンサルタントの案をそのまま答申しましたが、最重点事項である「指定管理者制度の適用」を事業体自らが否定したのです。水道事業には指定管理者制度はなじまないことを事業体が明確にしたと同時に、諮問機関を利用した地方行革の推進という手法にも一石を投じました。この意味で、今回の成果は全国的な意義を有していると評価されます。
 また、広島水労では取り組みの結果、水道事業を指定管理者制度の対象から除外する市議会の決定を獲得しています。本部も指定管理者制度の全国動向について現在集約中です。
 しかし、総選挙結果を背景に、市場原理主義の小泉構造改革に拍車がかかり、この秋には新地方行革指針の徹底や「市場化テスト法案」が待ち受けています。私たちは今回の佐賀の闘いを全体で教訓化し、水道法の形骸化を許さず、水道事業の実質的民営化を阻止する闘いを、利用者市民と本気になって作り上げ、そのことにより質の良い公共サービスの提供=「安全で安心な水の安定供給の継続」に努力していかなければなりません。
2005年10月10日(月曜日) 897号
連合第9回大会を受けて
政治反動許さず、労組の社会的役割の発揮を

書記次長 岡崎 徹
 日本社会が「大きな曲がり角」に至っている現在、今次総選挙の獲得目標は、連立政権4年有余にわたる全ての「反動的な政策」を争点とし、「小泉政権の打倒」と「政権交代」を実現することにありました。選挙結果は自民党・公明党を合わせた連立与党では衆議院定数の3分の2を超える議席確保となったことから、今後「景気・経済」「財政再建」「年金・社会保障制度」をはじめ、「イラク派兵」「国際貢献」「安保・自衛隊」「憲法9条・改憲策動」などを巡る反動政策が一層強化されることが予測されます。
 一方、連合の「国の基本政策」をめぐる組織論議が活発となっています。とりわけ「安保・自衛隊」「憲法論議」が焦点となっていることから、全水道(意見書は全水道新聞にて既報)をはじめ14産別から意見書が出され、その多くは全水道意見に共通した懸念を示しているところです。連合としては現状において継続論議の扱いとしていますが、予測される小泉政権の「危険な政治姿勢」との関係からも、この課題は極めて重要となっています。引き続き志を同じくする他産別と共に、労働組合として「あたりまえの政治姿勢」確立を目指してゆかねばなりません。
 ところで連合は、10月5日第9回定期大会を開催し、前述の政治課題をはじめ春闘、政策・制度要求など、多岐に渡る論議を重ね方針確立をしました。今次大会で退任する笹森会長は、「中小零細の地場企業・非典型労働者の組織化。福祉型社会の実現と税制・社会保障の抜本的改革の実行」を強調し、さらに「連合評価委員会報告の『労使協調路線に浸り緊張感が足りない』『連合組合員は恵まれた層であることを自覚し、弱者のために活動すべき』という厳しい指摘を受けとめ、『組合が変わる 社会を変える』スローガンを本気で実体化させる取り組みを強化しよう!」と永年の経験から発する連合運動の克服すべき道筋について提言されました。連合運動をめぐる様々な意見が示される中にあって、笹森会長退任挨拶は「労働組合の社会的役割」を問い直す基本軸に触れた発言として重く受けとめておかねばなりません。
 ともすれば政・官・財こぞって、場合によっては労働界の一部までもが、「市場原理を共通基盤」とした「改革派」を競い合う傾向が顕著な中にあって、「反動化政策」「二極化・格差社会」を許さず、働く者を主体にした「差別のない、平和で持続可能な社会の建設」を目指す労働運動の活性化が、いま改めて大きな課題となっています。
2005年10月25日(火曜日) 898号
水サイクルの回復をめざして
人の「営み」を問い直そう

副委員長 和田 滋
 全水道が『水サイクルの回復をめざして』を発刊したのが1990年、その後『改訂版』を98年に発刊しました。90年発刊の前文(水道、下水道、ガス政策を提言するに当たって)の中で、次のように記述されています。「自然の水サイクルとは、雨が大地に振り注ぎ、それが森林や土壌の相互作用によって保水され、川や地下水となって海に流れ込み、これがまた水蒸気となって再び雨になる。この大自然の流れのなかで、生物や植物がそれぞれの生態系を形づくっているということです。この過程での、自然との共存を阻害する人間社会が、生物が共存できないほどに水を収奪し、汚し続けてきました。そしてそれはいま、人間の生活そのものを脅かす状況にまで進んでいます」。
 今日、どのような状況になっているのでしょうか。
 現在、水環境をテーマに開催される集会やシンポジウムでは必ず、「水循環」が提起され、「循環型社会の構築」も触れられます。つまり、今も同じ課題で取り組んでいる、むしろ深刻化している状況になっていると言えると思われます。
 また、紙面で報告しました「きれいな水といのちを守る合成洗剤追放全国連絡会」でも運動の基調のなかで、同様のことを提起しています。全国連は、市民・住民の皆様と市民団体および労働組合が共通の目的を持って運動を進めており、そのことから、家庭における身近な取り組みも行っています。
 特に、この間、「人の営みを問い直そう」と訴えています。自分の生活を振り返って見ると、何気なく行っていることが、実は、環境に大きな負担をかけていることが多くあります。例えば、洗濯をする場合、洗剤(もちろん石けんです)を入れていますが、必ず必要なのでしょうか。水だけではダメなのでしょうか。私は単身赴任であり当然ひとり住まいで、自分で洗濯をしています。まとめて洗っても少量であり、大きな汚れもありませんので、普段は水だけで洗って、数回に1回は洗剤を使用しています。これで十分です。そして、水の使用量もできるだけ押さえています。このように一寸した工夫が、下水の負担を軽減する、そして水循環を容易にすることにつながります。
 このように考えますと、少し意識することにより大切な水を守る、自然環境を守る、その運動に加わることが出来ます。改めて「水サイクルの回復をめざして」を読むことと合わせて、廻りを見渡して工夫すること。まさに「理論と実践の全水道」。ぜひ、組合員の皆様もお願い致します。
2005年11月10日(木曜日) 899号
地方確定闘争
労使交渉での解決を基本に

書記次長 久保田和尊
 地方確定闘争については、11月7日から18日を集中交渉ゾーンに設定し、給与制度見直し反対の基本方針を堅持しつつ、今年度の水準問題を中心課題として取り組みを進めています。しかし一方、政令指定都市の勧告とは異なり、都道府県段階では42の人事委員会が給与制度見直しについて勧告を行いました。この様な中で公務員連絡会・地公部会は、2005地方確定推進・地方財政確立を求めて11月9日に中央行動に取り組み、中央集会をはじめ、議員要請、政党要請、地方6団体要請、総務省公務員部長交渉を展開しました。
 全水道は10月の第117回中央委員会で確定・産別闘争方針について、@集中交渉ゾーンでは地公共闘を強化して、水準調整等の課題に集中して交渉を進める。A給与制度見直しについては、都道府県人勧の動向により見直し協議が避けられない状況となった場合、06年度制度化の強制に反対し、労使の自主的交渉を軸に、見直しの条件整備を先行するよう対応を図る。B産別闘争については、11月後半から12月中旬までの闘いとする、ことなどを決定しました。あわせて、「全水道は労働二権を有する労働組合であることを踏まえて賃金闘争体制を構築し、市労連共闘などにおいても積極的な役割を果たす」ことを確認しました。
 全水道は11月25日に戦術委員会を開催し、集中交渉ゾーンでの闘いの集約と、給与制度見直しへの具体的な対応などについて協議します。基本方針を堅持しながらも給与制度見直しが「避けて通れない状況」となった場合でも、労使の交渉・協議と合意により解決を図ることがあくまで基本であり、人勧期や閣議決定期の闘いの到達点を十分踏まえて協議の前提条件をつくっていかなければなりません。
 本年の都道府県の人事委員会勧告では、@国のブロック別官民比較結果や人事委員会機能強化による地場民賃重視(調査項目の変更)によって北海道、東北、山陰などでは厳しいマイナス勧告が示されているA公民較差と水準勧告の乖離の根拠でもある国公準拠が今後の大きな課題となる、などが特徴点となっていますが、地方自治体の財政危機が深刻化する中で独自の賃金削減が半数にも上っています。
 地公部会は、中央行動と集中交渉ゾーンの取り組みを踏まえて、構成組織ごとの問題意識を整理して具体的な対応を決定するとしており、全水道も戦術委員会等で意見集約しながら、賃金・労働条件は労使の自主的交渉により決着を図るという原則に則り、一方的な見直しを許さぬよう対応を進めます。
2005年11月25日(金曜日) 900号
全水道会館と公益法人制度改革
06年に向け検討急ぎ対応強化

副委員長 臼田 秀司
 財団法人全水道会館は、去る11月第37期理事会と評議員会を開催して、第36期(2004年度)の事業並びに決算報告の承認と、第37期(2005年度)事業計画及び予算案等が確認・決定されました。特徴的課題としては、会館建築以来20年を経過している中で、会館外壁調査・補修工事など、多額の修繕・補修費用の確保が求められていること。組合員・家族のための宿泊施設の利用状況が極めて悪いため、廃止を含めて三年を目途に今後の在り方について検討せざるをえないこと。公益法人制度改革が進行する今日、全水道会館の在り方について、検討を急ぎ対応を強化しなければならない等であります。
 特に、公益法人制度改革については、2006年1月の通常国会に「改正案」が提出されようとしています。その中身は、現行の法人を「公益性のある法人」と「公益性のない法人」に区別し、税制上の優遇措置を「公益性のある法人」のみに当てはめようとするものです。しかも「公益性を判断する委員会」は民間有識者で構成するとし、その判断要件は、法人の目的、事業及び規律の面から、出来る限り「裁量の余地の少ない明確なもの」とするとしています。
 (1)目的は、「積極的に不特定多数の利益の実現」を図ること。(2)事業は、「公益的事業の規模は法人の事業の過半を占めること」。(3)規律は、「同一親族等が理事及び評議員に占める割合を制限し、解散した法人の残余財産の帰属者を他の類似の公益目的の法人や国・地方公共団体等の一定の範囲に限定、過大な資金等が留保されないこと」とされています。
 新たな制度への移行については、(1)十分な準備及び移行期間、組織変更等の簡易・円滑な転換手続きを設ける。(2)公益性の判断要件を踏まえた一定の基準に適合すると判断された法人は、公益性を有する「非営利法人」に簡易な手続きで移行。(3)基準に適合しない法人または非営利法人への移行を望まない法人については、公平かつ合理的な基準及び手続きで一般の非営利法人へ移行することを検討する。」となっています。
 このようなことから判断すれば、全水道会館の現状では、税の優遇を受ける「公益性のある非営利法人」に移行することは極めて困難な状況にあります。
 従って、全水道としては、来年早々に「改正案」が具体化することから、理事会等で研究・検討を進め、今後の全水道会館の在り方について、一定の方向性を明確にする努力を重ねていきます。
2005年12月10・25日(日曜日) 901号
‘06年経労委報告について
企業残って労働者生活は破壊へ

書記次長 久保田 和尊
 「経営者よ 正しく 強かれ」―12月13日に発表された日本経団連の06年経営労働政策委員会報告の副題である。グローバル化時代の日本の多国籍企業の利害に立脚した経営労働政策方針であり社会のありようまで言及していることに変わりはないが、昨年の副題「労使はいまこそさらなる改革を進めよう」とは趣が異なる観がある。
 この副題は、原材料の高騰や米中の経済動向を懸念材料としつつも日本経済は堅調な推移をたどるとの情勢認識、日本経済の回復は民間企業の努力によるものとの自負に裏打ちされたものだろう。「正しさ」の中で「志」がうたわれ、「強さ」において『気概』が持ち出されている。しかし、昨年の報告でも「志」が「倫理」と共に多発する企業不祥事への対応の件で強調されていた。本年も、多発する企業不祥事への対策にページを割かざるを得ないのである。自らまいた種の帰結とは全く思い至らず、その解決を精神訓話に求める姿に「知的後退」が垣間見える。
 「日本社会をハードクラッシュさせることなく長期低迷を乗り切ることができた」「グローバル化の負の側面として新たな格差を生み出し、世界各地で格差と貧困を一因とする紛争が多発している」といい、現代は歴史上の激変期にあり、今後展望すべき社会は「人間の顔をした市場経済」であり「多様な選択肢をもった経済社会」であるという。格差拡大の中で雇用破壊・賃金破壊・将来不安にさらされている労働者・勤労国民の生活はハードクラッシュではないのか。正規雇用は望むべくもなく非正規雇用の道を選ばざるを得ない若者に「多様な選択肢」とまだ強弁するのか。
 経労委報告は、その身勝手で傍若無人さ、無責任さに毎度のことではあるが辟易させられる(原因や責任に触れた途端に恥ずかしくて報告も書くことができないだろうが)。
 「賃金は総額人件費の視点のみでその決定を企業内で自己完結」「400万円以上のホワイトカラーを労働時間の法的規制の対象外(労働者とみなさない)」「産別最低賃金制の廃止」「社会保障制度は『自助努力』を基本とし、企業の負担分のみ削減」「公共サービスを民間私企業の利潤追求の場へ」と、主張は、企業が残って労働者の生活を破滅させるとの意味である。また、07年問題への対応で高齢者の活用というが、リストラ合理化で技術力を持った職員を「窓際」そして「社外」へと追いやったのは企業経営者ではないのか。
 経団連の「春討」に連合は春闘方針であえて「春闘」を対置した。働くものの闘いの広場としての06春闘で、格差拡大に歯止めをかけ、全労働者の賃金と権利の前進に向け奮闘しよう。
2006年3月10日(金曜日) 906号
臨時大会開催をうけて
産別運動への信頼・愛着を礎に

書記次長 久保田 和尊
(1) 「地公三単産組織統合の取り組み」は、「2つの基本文書について組織決定を行い、地公3単産の組織統合に関する基本的方向性を確定すること」、具体的には「連合体発足に向け準備会を設置し、その発足は06年3月からとすること」について組織決定を求めたものであります。
 9名の代議員より様々な角度から発言が出されましたがその趣旨は、「全水道運動の継承と発展が3単産統合で可能なのか、また、継承・発展に向けた課題と取り組みは如何にあるべきか」に集約されると思います。発言のベースには「全水道運動への信頼や愛着」が据えられ、それを踏まえた労働運動の発展の展望が求められたものであることから、本部もそのことを十分受け止めて今後の取り組みを進めます。
 「統合の是非」については改めて機関に諮ることになりますが、当面の取り組みとしては、3単産委員長により臨時大会決定を踏まえて準備会の設置を確認します。準備会では、「新たな産別における理念」についてまず整理することが必要であり、全水道は具体的な課題の協議に入る前に骨格的な確認を行うよう求めていきます。また、全水道が考える「理念」については、本部プロジェクト等で検討した上、基本政策委員会メンバーによる対策会議に諮りながら、準備会での検討・協議に対応します。
(2) 06春闘では、公務員賃金の社会的合意が崩れるなかで、水準・配分・決定方式の再構築が課題となっています。
 昨年の地域給の導入に続き本年は官民比較方式の見直しが重要課題となっており、昨年の人事院総裁回答を踏まえて見直しを許さぬ闘いを強化しなくてはなりません。
 連合は、格差の拡大と二極化に歯止めをかけるべく、賃金引上げと共にパート共闘を立ち上げて底上げをめざしており、全水道も積極的に推進します。大切なことは、産別全水道の中で均等待遇実現に向けて取り組みを進めることであり、産別統一要求に単組・地本の要求を加えて前進をめざしています。
(3) 新自由主義の小泉構造改革と対決し、小さな政府論による公務・公共サービス解体を許さぬ闘いも極めて大切です。公務労協の対抗戦略キャンペーンに結集して研究会「中間報告」を活用し、春闘期に本格的に着手します。
 「メール問題」は後年歴史的な大失態と評価されるものかもしれませんが、ライブドアや耐震偽装問題など矛盾が噴出しています。政治の「無力」に立ち止まるのではなく、私たちが「安心・安全な社会像」を提示して運動を進めることができるのかが問われています。
 重大な岐路に立っていることを自覚し、水道・下水道・ガス事業の公営原則を守り抜く闘いを進め、対抗戦略キャンペーンに合流しましょう。
2006年3月25日(土曜日) 907号
06春闘回答をうけて
全力で官民比較方法見直し阻止へ
書記次長 久保田 和尊
(1)公務員連絡会は3月23日の委員長クラス交渉で、竹中総務大臣、佐藤人事院総裁から春季要求に対する最終回答を受け、「官民比較方法」に関する回答を除いて06春季闘争の到達点として受け止め、確認してきました。
 最重要の課題である「官民比較方法」について人事院総裁は、「引き続き比較方法のあり方の検討を進め、その検討のため100人未満50人以上の小規模企業調査を行う」と一方的に回答したことから、公務員連絡会側はその回答を「認められない」として回答の持ち帰りを拒否し、強く抗議して交渉を終了しました。
 人事院総裁回答は、昨年6月23日の人事院総裁見解を一方的に反故にして信頼関係を損なったこと、企業規模などの官民比較方法の見直しは人事院制度の根幹を揺るがすものであること、小泉政府が進める総額人件費削減という政治の圧力に人事院自らが屈して代償機関としての役割を放棄したものに他ならないこと、その影響は民間労働者の賃金や地域経済にも及ぶという重大な性格を帯びています。
 したがって、翌24日の第3次統一行動では、闘いの到達点の確認と共に、官民比較方法に関する人事院総裁の不当な回答に抗議し、人勧期の闘いで「官民比較方法の基本的な枠組みの見直し阻止」に向けて意志統一し、人事院あてに抗議・要請打電を取り組むとの行動を要請してきました。
(2)ところで、「休憩・休息時間問題」は地公の課題へと移行していることから全水道は、「労使の交渉・協議、合意」など対応の基本を明らかにしてきました。人事院は所定内勤務時間のあり方について「民間企業の所定内勤務時間の精確な動向を速やかに把握し、民間準拠の原則に基づいて検討を進める」と、公務員連絡会の要求に対して今回回答しました。
 各単組においては、この回答を踏まえて協議の実施時期について労使間で自主的に判断することも必要となっています。
(3)全水道は、昨年を0・74ポイント上回る85・12%という高率でスト権を批准して闘う態勢を構築しながら、06春闘に取り組んできました。06春闘後半の闘いでは、連合の中小共闘やパート共闘に積極的に参加して格差の縮小と均等待遇、賃金の底上げをめざして闘いを進めます。
 また、産別統一要求実現に向けて引き続き努力しなければなりませんが、民間部会の要求実現に向けては、局組合や地方本部の協力を更にお願いいたします。
 公務員制度改革・総人件費改革等を巡って開催された3月20日の第2回3大臣交渉で、労働基本権問題は新たな展開に移っています。06春闘は公務員労働者の労働基本権の回復、公務員賃金の社会的合意の再構築の今後の方向を決める重要な意義を有していることをしっかりと認識し、春闘後半期から人勧期の闘いを全力で闘い抜きましょう。
2006年4月10日(月曜日) 908号
組織の強化・拡大に向けて
共に生きていく労働組合を!
書記次長 岡崎 徹
 厚生労働省の「労働組合基礎調査結果の概要」(2005年6月現在)によれば、全体では単一労働組合数は28、279組合(前年比1、041組合減)、労働組合員数10、138千人(前年比171千人減)となり、雇用者総数(5、416万人)に占める推定組織率は18・7%(前年比0・5ポイント減)とされている。労働組合の減少数は調査開始以来もっとも大きいとされており、組織率の減少傾向に歯止めが掛かっていないことが明らかとなっている。
 一方、短時間雇用者(パート労働者等)は65万人増加し、雇用形態がパートタイム労働者にシフトしていることが明らかとなっている。しかし、そのパートタイム労働者の推定組織率は3・3%であり、しかも民間雇用労働者の52%が99人以下の企業規模で働いている実態から、そこでの推定組織率は1・2%でしかないとされている。
 こうした動向に対し連合は、従来の中小共闘に加えパート共闘を設置し、「均等待遇実現・時間給の引き上げ・組織拡大」の目標を掲げて、「二極化・格差社会の進行にクサビを打ち込もう!」と取り組みを強化している。
 その成果は、中間集約とはいえ一定の進展を示しており、特徴的には、パートから正社員への「雇用転換制度」や「65歳までの再雇用制度」実現をはじめとする労働条件の改善や2万人の組織拡大も報告されており、今後はパートを含む最低賃金の攻防結果に期待が託されている状況にある。
 全水道は、今次春闘を取り組むにあたり民間部会との協議をもとに、連合の「新設パート共闘」に参加し、「二極化・格差社会」を許さない闘いを実践してゆくこととしてきた。
 具体的には、水道・下水道・ガス事業関連労働者総体の労働条件改善を求め、正規・非正規労働者相互の共同・連帯行動を一歩一歩前進させ、事業関連労働組合としての社会的役割を果たすことを目的としてきた。
 その志は言うまでもなく、「正規職員・局労組」と「民間部会」の仲間達が構成する全水道組織・運動の現状を自ら検証し、生まれ変わり、全ての事業関連労働者と合流し「共に生きてゆく労働組合」を目指すことに他ならない。
 「自分たちの働き方と生き方」を、今一度問い直す作業は、政策闘争の中からも編み出されている。その様な「生みの苦しみ」の延長上に、「強くて頼れる事業関連労働組合」が実現できることを共通認識としたい。
 春爛漫・日本列島。全国の職場では「意気揚々の新しい仲間達」を迎える季節。「水は公共財」の理念のもと、「安心・安全・安定」の事業確立に向けた「すばらしい仕事」を選択した若者達を、全水道は心から歓迎致します。
2006年4月25日(火曜日) 909号
公共の確立にむけて
課題は生存権と憲法の視点
書記次長 久保田 和尊
(1)小泉構造改革による公務公共サービスの切捨て政策であり、公務員労働者の雇用問題を惹起させかねない「行政改革推進法案」「市場化テスト法案」は4月20日に衆議院を通過した。与野党の厳しい力関係の中で、院内外を貫く取組みが極めて重要であり、全水道は公務労協に結集して闘いを進めてきた。
 公務労協は連合と連携を深めつつ、4月25日には220万筆を集約した「公共サービスの確立を求める署名」を背景に参議院で院内集会を開催し、参議院審議における重点課題等取組みの意志統一を図った。全水道の署名集約は4月25日段階で6万5千800筆(7万5千の目標に対し88%)となっている。目標には届かなかったものの、組合員の皆さんの取組みの到達点であることを確認するとともに、多くのご努力に感謝申し上げます。
(2)公務員労働者に関する極めて重要な課題が山積する中で、連合は「公共サービス・公務員制度のあり方に関する連合の考え方」を1月の中央執行委員会にて確認し、公務労協と連携を深めて政治・国会対策に取り組むと共に、4月20日には「新しい公共と公務を創るフォーラム」など大衆的な取り組みを進めている。そして、連合は公共サービスの改革に向けて、公務関係労働組合に「どのような問題点を克服し、何を実践していくべきか」(自己改革アピール)を発するよう求めている。
(3)全水道はこの「自己改革アピール」を公務労協に提出したが、アピールには次のような論点整理が必要だと考えた。(1)労働組合として組織や運動を点検して改善・改革を図ることは一般論としても必要である。(2)公務員労働者をめぐる現状としては、公務公共サービス並びにその担い手の条件・権利についてリストラクチャーが進んでいる。(3)これに対し公務労協に結集して戦略的には「良い社会をつくるキャンペーン運動」をはじめ公務員制度改革や行革推進法など個別課題に具体的に対応を進めている。(4)この様な中で、改めて自己改革が問われる事態とは=公務公共サービスとそれを担う労働者の労働条件等、更には労働組合に対して「懐疑」が存在するのではないか。(5)問われているのは公共の再生でありどのようにかかわるのかである。(6)そして全水道の視点は↓格差拡大・二極化への対抗の産別内での具体化であり、水政策の前進とそのための業務・体制確立、自信と誇りを持って働く意志統一とそれにふさわしい労働条件・権利の確立である。(7)全水道の課題の中心は、水基本法の制定を戦略目標に、人の飲用に適する水を供給し続けることであり、公共用水域の水質保全である。この様な視点で全水道は水道事業が憲法25条の生存権に依拠した事業であることを紹介しつつ、各地本に協力頂いて集約した政策的取組みを自己改革アピールとして報告した。
2006年5月10日・25日(水・木曜日) 910号
政治反動と新自由主義
民主主義の総決算は許さない
書記次長 久保田 和尊
(1) 国民投票法案、共謀罪の新設に続き、教育基本法改悪法案が今国会に提出された。米軍再編と沖縄に代表される基地機能の強化と合わせて政治反動と右傾化の荒波が押し寄せ、9条を中心とした憲法改悪を射程に入れた「戦争のできる国づくり」の実態化が進行している。日本社会の大転換に対応した一連の政治反動であり、戦後民主主義の総決算による新たな支配体制づくりが進められている。
(2) 小泉政府はこの過程で対米追従の政治姿勢を鮮明にしている。グローバル化した世界の覇権国家である米国は、自国の利害に基づく世界新秩序の形成に向けて世界戦略を展開しているが、小泉政府は自ら積極的に役割を果たそうとしている。日米安保の飛躍的な質的転換を媒介にして、「もっとカネ」を提供し、自衛隊も差し出し、米軍と自衛隊の一体化を進めると共に、大衆課税の強化による財源の捻出や国内治安維持の強化など「米国と共に戦争のできる国」に見合う国内体制の再編を進めている。今日の米国との関係はローマ帝国の属州支配の姿に似ている。政治戦略なき軍事的追従は極めて危険であり、国民の「いのちと暮らし」を直撃する。
(3) また、新自由主義的改革との関係も考慮しておく必要がある。「競争=優勝劣敗」「自己責任」を旨とする以上、結果としてではなくむしろ目的意識的に格差が拡大され、二極化が進み、固定化される。この「競争」や「自己責任」が経済的領域だけではなく社会全体の価値基準として君臨しつつあり、社会のあり様が根本的に変えられようとしている。とりわけ国民生活に密着した領域=教育、医療、介護・福祉、税制で顕著であり、人間の感性や思考にも影を落としていると感ずることがある。自立を基礎にした友愛と連帯は育みにくくなり、孤立、差別と排除が社会の諸相で重層的に起こっている。
 少数の勝ち組が圧倒的多数の負け組をコントロールするためには、統治方式の変更も必要とされ、政策決定の集権化と既存権力の無力化、中央政府の役割の外交・防衛などへの特化が進められる。多発する国内外での紛争に対応して、国内治安と軍事力の強化が当然図られる。市民的な権利の制約・剥奪、弾圧体制の強化と共に、支配者イデオロギーの浸透が進められる。教育基本法改悪も「憲法との連続性」や「愛国心の強要」など極めて重要な問題が焦点化しているが、伝統的な改憲派の主張だけが背景にあるのではない。新自由主義的改革に対応して教育を国家の統治行為として理念的に定立し再編するという目論みが組み込まれてはいないだろうか。
 国内外に緊張をもたらし、治安維持と軍事力の強化を必然とするグローバリズムと新自由主義への対抗を一つの軸に据えて、改憲を頂点とする政治反動を許さぬ闘いを進めることが求められている。
2006年6月10日(土曜日) 911号
第60回定期全国大会の課題
産別の基盤や性格の共有化を
書記次長 久保田 和尊
(1)今年も本部定期大会の開催が近づいてきた。大状況としては、行政改革関連法案が今国会で成立し、小泉構造改革により公務員労働者の雇用問題を孕みつつ公共サービス切り捨てのレールが敷かれることとなった。一方、私たちの生活や労働をめぐっても既に大きな波が押し寄せている。
(2)給与関係では地域給導入に続き、今年度は小規模企業調査が人事院により強行されるなかで、官民比較方法の見直し阻止が焦点となっている。地公労働者は「給与決定における国公準拠の刷新と地域民間賃金による水準決定」にさらされており、また財政状況を理由とした賃金カットが多くの都市で実施されていることを考えれば生活への影響は極めて重大である。手当についても企業手当や特殊勤務手当見直しが水準に止まらず廃止として強化され、「手当の正当性」や「正当な根拠」について意志統一しながら防衛に向けて必死に取り組んでいる状況にある。また、業務の徹底した民間委託攻撃が強化される中で、政策闘争と反合闘争を結合させて防戦している。
(3)一方、権利問題や職場生活をめぐってもさまざまな攻撃がかけられている。国家公務員の「休憩・休息時間問題」を端緒として、拘束時間の延長や昼休み時間のあり方、休息時間そのものの廃止をめぐる攻防が地公段階で本格的に開始される。水道労働者は2権を有しつつも、団体交渉の範囲と対象の制約や団交内容の「公開」等の実施を図ろうとする当局側の動きがあり、労働組合の関与の排除と新たな労使関係作りの攻撃が目立ってきている。さらに、時間内組合活動への規制が強化され、単組・職場活動はもとより産別運動にも影響を与えつつある。
(4)矢継ぎ早の攻撃の前に、単組では食い止めるのが精一杯という実情にあるのではないか。前進的な結果が得られにくい中で、単組・職場の役員には組合員の厳しい眼差しが注がれていると思う。課題が多方面にわたり、その質も極めて重く、思うように結果が出せない中で、役員も組合員も元気を失いかけてはいないか。その結果、闘いへの集中力が途切れ、組合への求心力が弱まり、果ては携わる業務の重要性の自信すら揺らぎ兼ねないのでは、と心配する。
(5)これらの攻撃の背景に新自由主義的な改革があることはいうまでもない。全水道を巡る攻撃も日本社会の大転換に呼応した「改革」=改悪として進められており、私たちが抱える課題の全てがその根拠や意義が問われ、作り変えられようとしているといっても過言ではない。だとするならば、私たちは、改めて全水道が成立する根拠と基盤や性格を明らかにし共有化しなければならない。来る第60回定期全国大会が、厳しいことは事実として受け止めつつ、全水道に結集してめざすべき方向性の共有化を図るため,共に論議する場として成功するよう本部も準備を進める。
2006年6月25日(日曜日) 912号
他人事ではない「米軍再編」
「真当な政治」を取り戻すために!
書記次長 岡崎 徹
(1)「〜標準語以外ノ使用ヲ禁ズ。沖縄語ヲ以テ談話シアル者ハ間諜トミナシ処分ス!」過ぐる第二次大戦渦中の陸軍司令部命令である。「昭和の琉球処分」ともいわれる沖縄戦の様々な悲劇。その傷痕は、いまだに癒えず、人々の心身に刻み込まれている。そして今年も沖縄は、地獄絵の戦争を体験した「暑い6月」を迎えている。
 同じく6月。イラク派兵の自衛隊撤退が開始された。イラク戦争の開始から3年。かの地では、社会システムは破壊され水道・電気などのインフラも再建のメドは立っておらず、治安は益々悪化しているという。イラク保健省によれば、5月だけで遺体安置所に運ばれた市民の死者数は1、400人。今年に入って死者は6、000人を超えたとされている。戦場で傷つき、倒れる人々は決まって「罪のない一般市民」である。
(2) 軍隊は市井の人々を守らない。恐怖と憎しみの戦場では、軍(兵士)自身の防衛と敵への打撃のみが優先される。「守れない」のではなく「守らない意志を貫徹する」のである。それは沖縄戦において冷厳な事実として発揮されたし、「治安維持・難民救済」名目とはいえカンボジアPKOでも、今回のイラク派兵においても実証された。自衛隊は「厳重なるキャンプ(基地)」を根城に、まず自らの部隊の安全と安心を「守り」抜いた。何のための派兵であったのか?小泉政権は、まず彼等自衛隊員に答えなければならない。
(3) 軍の論理はロマンチックではない。しかし誤解を恐れず言えば、「自衛隊員は我々の『敵』ではない。間違った政治による『派兵』を余儀なくされた若者達であり、本来、我々の『友人・知人』であるはずだ。『公の暴力装置=帝国の軍隊』に限りない積極面を求める『確信犯』は別として、『真っ当な政治の延長上』に『引き戻さねばならない友人・知人の集団』であるはずだ。」と考えてきた。しかし気がついてみれば、政府が尤もらしく言う「日米同盟」「国際貢献」も、「不安定の弧」「米軍再編」も、その一大拠点が他ならぬ沖縄をはじめ日本列島全体であるという。いつの間にか我々自身も自衛隊も否応なく「浮沈空母」に乗り合わせてしまった現実にある。
(4) 今や「浮沈空母」と化した日本列島は、大戦渦中の「沖縄」や、戦場の「イラク」と同様の戦時下あるいは準戦時下にあるといっても過言ではない。それほど事態は深刻である。根本的な事態の転換を懸けた取り組みを要している。こうなったら9月自民党総裁選など眼中にはない。来年の統一地方選挙、参議院選挙、さらには各自治体首長選挙など、一連の選挙闘争と様々な取り組みを連動させ、とにかく「浮沈空母」の政治を転換させるしかない。基地を抱える自治体住民のみが犠牲になるのではない。まさに他人事ではない「基地撤去と米軍再編に反対」する取り組みが大きな課題となっている。
 隣にいる軍隊は決して「市井の人々(あなたです!)」を守ってはくれないものです。
2006年7月10日(月曜日) 913号
第60回定期全国大会に向けて!」
職場組合員の団結を基礎に方針を共有化し闘いを進めよう
書記次長 久保田 和尊
 7月20〜21日の二日間、横浜において全水道第60回定期全国大会が開催される。
 この1年間、賃金闘争においては地域給・給与制度見直し問題を重点課題として、春闘期から人勧・確定期、さらには越年して闘いを進めてきた。このほか、産別統一闘争、全水道政策闘争、労働基本権・公務員制度改革の闘い、平和と民主主義を守る闘いなどを、組合員と家族の期待に応えるとともに勤労国民の生活を守る立場から、中央・地方で、連合、公務労協・公務員連絡会などに結集して闘いを進めてきた。
 9月には小泉首相は退陣するといわれている。小泉構造改革の5年間で、行政の腐敗、企業の腐敗、行政改革の破綻、社会保障制度改悪と切り捨て、公共サービスの解体、金持ち優遇の税制改悪、格差拡大、社会不安の拡大、軍拡と平和への不安が繰り返されてきた。
 7月7日には06骨太方針が閣議決定された。また、行政改革推進法、市場化テスト法の具体化はこれからであり、公務員労働者の雇用問題をはらみつつ、公務・公共サービスの、民間開放・解体攻撃は今後さらに激しさを増すと想定される。水道・下水道・ガス事業も例外ではない。
 さらに、「国民投票法案」「教育基本法改悪法案」「共謀罪の新設」「防衛庁の省への昇格法案」など、改憲と「戦争のできる国」に直結する法案が前国会から継続審議となっている。小泉退陣後の政権も基本的に「小泉構造改革」を継続する政権となると見ておかなければならない。
 定期大会では、1年間の闘いの総括のうえに、人勧・確定期を中心とした賃金闘争や産別統一要求、公務員制度改革、地公三単産組織統合問題、全水道政策闘争、護憲・反戦・平和、さらには組織強化の取り組みなどを提起する。また、全水道は、これまで進めてきた反差別・人権確立の取り組みの内実が問われていることから、組合員からも地域の仲間からも反差別・人権確立を闘う労働組合として信頼を得られるよう、真剣な総括作業を継続し、取り組みに反映していかなければならない。
 組織の内外で多くの課題を抱える中で定期大会が開催される。厳しい情勢は厳しいとしっかりと理解し、しかし労働者・勤労国民の生活と権利を防衛し、安全で安心した暮らしを実現させる取り組みは労働者・労働組合自身に課せられたものであることから、ひるむことなくたゆまぬ努力を続けよう。本部・地本・県支部・単組が、職場組合員の団結を基礎に、日常の連携と活動を強め、討論のなかから方針を決定し、決定された方針を共有化して闘いを進めよう。
2006年9月10日(日曜日) 916号
06共済事業計画について
地本実務担当者会議を成功させ、共済の加入拡大を!
中央副執行委員長 臼田秀司
 全水道共済は、第56回通常総代会で確認された06年事業計画に基づき、07年セット共済契約更改とマイカー共済の加入拡大に向け、9〜10月地本実務担当者会議を開催し、取り組みを進めることとしています。
 共済事業を取り巻く環境は、生協法改正や保険商品の銀行窓口販売全面解禁など大変厳しい状況にありますが、事業計画の中心には「組合員が安心して利用できる安定した経営基盤の確立」を掲げ、加入推進活動に組織の総力を挙げて取り組むとしてきたところであります。具体的には、(1)事業計画は1年1年が勝負との認識の下で単年度計画として設定する。(2)労働組合の協力を得ながら加入推進活動に特段努力する。(3)重点課題を団体生命共済とマイカー共済に据え、目標の実現に全力を挙げることにしてきました。また、総代会以降、各地本の協力を頂きながら、労研全体集会や分科会テーマにも共済を取り上げて頂き、労働者共済生協活動の意義や全水道共済の現状を訴えながら、加入推進に向けた取り組みの強化をお願いしてきました。
 06年地本実務担当者会議は、07年契約更改にあたっての大きな制度変更や事務取扱の変更もないことから、「保障設計運動」についての学習会的要素を盛り込んで、今後の各地本・単組の加入推進に役立てて頂きたく設定したものであります。
 「保障設計運動」は、「組合員自らが共済(保険)商品の概要と保障内容に関する知識を高め、保障の点検を行う中から『最適な保障』を実現する一連の活動」です。最近のように公的社会保障制度の見直しが進められ、その不足分を自助・共助で補填しなければならない状況の下では、ライフプランに合わせた最適な保障の設計が求められています。特に、賃上げによる大幅な収入増が見込めない状況の下で、保障内容を見直すことによって、保険料をできるだけ軽減し、可処分所得を拡大していくことが大切になっています。そのような意味からも、「相互扶助の精神」に基づき、営利を目的としない「安い掛金で大きな保障」を実現する共済へ加入することは、「最適な選択肢」といえます。
 是非、この機会を通じて「保障設計運動」について理解を深めて頂きながら、今後の各地本・単組での全水道共済加入推進に積極的に役立て、「安心・安定した全水道共済の経営基盤確立」を実現すべく共に奮闘しましょう。
2006年9月25日(月曜日) 917号
合洗全国集会に向けて
水の都 大阪でいのちの水を考えよう
中央副執行委員長(全国連・事務局長)和田 滋
 きれいな水といのちを守る合成洗剤追放第29回全国集会が10月8日〜9日の2日間、水の都大阪で開催されます。「水の都 大阪でいのちの水を考えよう」をメインスローガンに、サブスローガンを「琵琶湖〜淀川〜大阪湾の水循環」として、近畿の水瓶である琵琶湖から大阪への水循環を様々な角度から捉えることとしています。
 21世紀は、「環境の世紀」そして「水の世紀」と言われています。21世紀に入り、「水」に関する国際会議が相次いで開催され、また、国連をはじめ多くの会議でも重要な課題として取り上げられています。今回、全国集会が開催される近畿・琵琶湖周辺では、2001年に「世界湖沼会議」、03年には「第3回世界水フォーラム」が開催され、「水は人権である」と言われるほど水の重要性が再確認されると共に、世界の水事情の深刻さについても認識されたところであります。現在、世界には安全な飲み水を得ることが出来ない人が約11億人いると言われています。それほど水を取り巻く状況は深刻であり、その課題の解決が、乳幼児死亡率などの問題や貧困問題の解決にも貢献すると言われています。もちろん、さらに増大する人口、それに伴う食糧問題や飢餓問題も「水」は大きく影響しています。
 このような「水」を取り巻く状況の中、30年を超える全国集会の歴史で初めて大阪で開催されます。全体講演や特別報告を通じて、世界における水事情や化学物質を取り巻く動向などを認識すると共に、分科会で運動のあり方や学習を深めることとしています。
 この運動は、会の名称が示すとおり“きれいな水といのちを守る”ことを目的に、一番身近で多くの人が使用する洗剤・洗浄剤に着目し、家庭の排水口から地球環境を見つめ、それらの実践を通じて有害な合成洗剤追放運動を進めています。特に、この運動は誰でも、家庭でも、職場でも、どこでも出来るのが特徴であります。一人ひとりが環境を考えるだけで運動に参加出来ます。
 例えば、洗濯する場合、「習慣で洗うのではなく汚れたら洗う」「水洗いのみでもいいのでは」「水も石けんも出来るだけ使わない」など、現在の生活スタイルを問い直す、もちろん日常生活全般についても同様であります。このように考えると簡単に運動を始めることが出来ます。
 ぜひ、世界の問題から日常生活まで、大阪で「水」そして「環境」について考えようではありませんか。そして環境へ大きな影響を与えている「人の営み」を問い直して見ませんか。
2006年10月10日(火曜日) 918号
混迷する政治状況をうけて
全水道の座標軸は戦争反対・平和連帯、
他民族・他文化共生の社会建設にある!

書記次長 岡崎 徹
 米国の世界戦略に呼応した小泉連立政権に代わって、その路線継承を宣言する安倍新政権が誕生した。安倍新政権は早々と「改憲意欲」を表明し、「集団的自衛権行使の具体的検討」にまで言及している。
 さらに臨時国会においては「教育基本法案」と「テロ対策特別措置法改正案」の成立を最優先し、継続審議扱いとなっている「国民投票法案」「防衛庁の『省』昇格法案」「組織犯罪処罰法改正案(共謀罪創設)」の成立に意欲を示し、加えて「自衛隊の恒久派遣法案」「米軍再編に伴う特別措置法案」などの法案提出をも準備しているという。発足間もなく、これ程の「危険な法案メニュー」を打ち出した政権があっただろうか。
 こうした中で、安倍首相の訪中・訪韓外交に加えて、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験実施ニュースが飛び込んできた。
 今年7月の弾道ミサイル発射実験に加えて核実験実施が事実ならば、02年の「日朝ピョンヤン宣言」、05年の「6カ国協議共同声明」で確認された「東北アジアにおける平和と安定のために共同で努力する」とした精神に反するものと言わざるを得ない。加えて「核とは共存できない!」として、反核・脱原発運動を推進してきた全水道の立場からすれば、核実験に厳重に抗議しなければならない。
 しかし一方で、この事態を日本国家の危機かのように過大対応し、緊張を激化させようとする日本政府の露骨な政治姿勢は極めて危険である。
 ましてや閣僚からの「先制」攻撃論の発言や経済封鎖・臨検を口実とした軍事挑発行為などは決して許されてはならない。
 いま私たちの目前で、行き詰まった国際政治の打開策として、少々センセーショナルな「政治を仕掛ける」手法が示されている。しかし、ここは冷静に考えてみよう。自らの「国家観・歴史観」を懐に忍ばせる外交手法と、「核」を露骨に活用する外交手法。
 いずれにしても日朝トップの安倍・金両氏に、立場こそ違え「国際社会を手玉に取ろうとする傲慢さ」の共通項がありはしないか?
 傲慢・露骨な政治の応酬では平和創造の道筋は閉ざされてしまう。国内で顕著となっている「北朝鮮の政治利用」を許さず、「日朝ピョンヤン宣言」などで確認された原則に立ち返り、「拉致問題」の解決、過去の清算、日朝国交正常化、東北アジアの非核・平和確立に向けた努力と真摯な取り組みこそが、いま最も重要である。
 いかなる事態が発生しようとも、全水道の座標軸は戦争反対・平和連帯を求め、他民族・多文化共生の社会を築くことにある。
2006年11月10日(金曜日) 920号
06確定闘争課題と第1回賃金専門委員会
労働二権背景に賃金確定推進を!
評価制度対応指針・新協約モデルの策定へ議論

書記長 久保田 和尊
 地公賃金を取り巻く情勢は厳しさを増し、その中で賃金(決定)構造の変化が生じている。その特徴は、(1)公務員人件費削減が最重要の政治課題 (2)公務員人件費削減攻撃の焦点は地方公務員に据えられ、定数と単価の双方の切り下げ攻撃が加えられる (3)地公賃金(決定)の構造については、総務省「研究会」報告による「国公準拠の刷新」=「制度は国準拠で水準は地域民間賃金重視」や人勧制度の歴史的・制度的な限界の露呈など変化が生じ、公務員賃金決定の社会的合意が崩壊 (4)自治体財政の逼迫は深刻度を増し、独自の賃金カットが行われ、人事委員会の代償機能が自治体財政を理由に実質的に機能しない、ことなどが挙げられる。
 この様な情勢のなかで、各単組では現在、06地方確定闘争を懸命に闘っている。その具体的な課題は、全国的には国公準拠の排除(水準引下げと自治体間格差の拡大)に注意しながら、給料表のマイナス改定阻止や一時金の支給月数の維持である。また闘いの進め方としては、全水道では人事委員会が設置されていない単組が多いことから、昨年に引き続き都市労連共闘を強化すると共に地本や県支部が軸になって県段階における意見や情報交換など基盤作り行いつつ、協約締結権を有する労働組合であるという優位性を発揮して11月第3週までの決着をめざしている。一方、地域給・給与構造見直し問題が、先送りさせてきた政令市などで確定交渉の大きな課題となっている。地域給・給与構造見直しは、国公は配分の問題、しかし地公にとっては水準の問題として、一方的な実施を許さないよう闘いを進めている。
 公務員連絡会地方公務員部会は、賃金(決定)構造が変化する状況を受けて、地方公務員の標準モデル賃金など中期的な賃金政策の確立をめざすこととした。全水道もこの方針を受け止めて、論議に積極的に参加する。全水道は、(1)「賃金決定の構造変化」「勧告制度の限界」とは、労働基本権回復と労使協議にもとづく賃金・労働条件決定へと向かう戦略的な課題が現実の課題として浮上したものであり、労働基本権を闘いの武器として活用すべく06確定闘争において労働2権を背景に闘いを推進する (2)均等待遇実現・格差解消を自らの課題とすると共に春闘期の闘いをより重視して取り組むとの視点を持ちながら06確定闘争を進め、これを中期的な賃金政策に結びつける必要がある、と考えている。
 この様な取り組みを進める一方で、全水道は、地公部会での中期的な賃金政策論議をはじめ、産別賃金政策の再構築、評価制度・勤務実績の給与への反映に対応する方針を検討するために、賃金専門委員会を再開した。11月6日の第1回委員会では、産別賃金政策の再構築を基本任務とした上で、(1)現実に進行する公務員賃金引下げ攻撃に統一的に対抗するための対抗策 (2)07春闘要求(原案)作成 (3)評価制度への対応指針の作成 (4)新たな労働協約モデルの作成などを課題として検討を進めることを決定した。評価制度への対応指針や新たな労働協約モデルについては、来年6月に開催される第27回労研全国集会において論議を深める予定であり、積極的な討論参加をお願いしたい。
2006年11月25日(土曜日) 921号
市民・住民運動との連携について
「水基本法」制定につながるよう市民・住民との運動の推進を
副執行委員長 和田 滋
 21世紀は「環境の世紀」、そして「水の世紀」とも言われています。さらに「水が原因で戦争が起こる」と言われ、中東や東南アジアを中心に水を巡って紛争が起きています。
 このような状況の中、水に関する全国規模の集会が10月、11月に相次いで開催されました。その集会は、既に機関紙で報告しました「きれいな水といのちを守る合成洗剤追放第29回全国集会」、そして、今号で報告している「第38回食とみどり、水を守る全国集会」です。2つの集会から「水」の現状について報告し、今後の運動のあり方を模索いたしたいと考えます。
 2つの集会の「基調」では、世界の深刻な水事情が提起されました。
 現在、世界には安全な飲み水を得ることが出来ない人が約11億人いると言われています。2000年9月に21世紀における共通の課題を話し合う場として「国連ミレニアムサミット」が開催され、貧困の撲滅やHIV/AIDSなどの疾病の防止など8つの目標が掲げられた。その中で、水に関する目標として、2015年までに安全な飲み水に得られない人の割合を半減するとされたが、現状は前述のとおりであります。目標を達成するには、毎日27万人のペースで、新たに水道の供給が必要とされています。目標の達成、即ち水の基本的アクセスの改善が、乳幼児死亡率問題や貧困問題の解決に繋がり、水の効率的な利用が食糧問題の解決になることから成し遂げなければなりません。
 このような深刻な世界の水事情の中、日本は海外から農産物、畜産物そして木材を輸入することで間接的に大量の水を輪入・消費しています。特に、木材の輸入は東南アジアの熱帯雨林を伐り尽くし、大きな環境破壊を起こしており、一方、国内では林業が衰退し森の体をなさない山も多くあります。勿論、農業も同様で、穀物の自給率は著しく低下し、水田稲作の現状は減反から耕作放棄田が拡大しています。その結果、水循環も含めた水環境は、厳しい状況となっています。
 このように考えると、何気なく営んでいる日常生活も、世界の水、環境と繋がっており、結果が日本の水環境にも影響が及んでいることが判ると思います。
 水道に働く私たちにとって、水環境を守ることは重要であり、そのためにも世界の水事情、環境を考え、日々の日常生活を問い直すことも大切であります。
 2つの集会は、労働組合の産別を越えて共通の課題で、市民・住民団体、市民・住民が運動を推進しています。そして、運動について、提起するだけでなく、実践することが重要であると訴えられました。まさに「理論と実践」の全水道、ぜひ、組合員の皆様、各地域で共に運動を取り組むことにより、多くの市民・住民の皆さんに「水道事業」「下水道事業」の重要性を認識して頂き、集会でも提起された「水基本法」の制定に向けた取り組みに繋げて頂くようお願い致します。
2006年12月10・25日(日・月曜日) 922号
政治課題対応について
「危険な道筋」を強行する安倍連立政権を許してはならない!
書記次長 岡崎 徹
教育基本法・防衛庁「省」昇格法の強行可決!
 12月15日。臨時国会・参議院本会議で教育基本法改悪が強行可決された。
 各種世論調査では、「時間をかけて議論すべき」と慎重審議を求める声が多数であるにもかかわらず世論を無視し、加えて野党4党の安倍内閣不信任決議案、伊吹文部科学相問責決議案をも否決する中での強行採決であった。
 一方、防衛庁の「省」昇格関連法も同日、可決・成立された。これにより年明け早々「防衛省」が誕生することとなり、「重要案件・法制定・人事」などの閣議を求めることや予算要求・執行を財務大臣に求めることなどが可能となった。加えて自衛隊の海外派兵が、従来の「付随的任務」から「本来的任務」に位置づけられるなど、米軍再編に呼応する安倍連立政権の確信点が明確に示されたこととなっている。

「危険な道筋への出発点」なのか?
 ここに来て、「一体、この国は、どこに向かおうとしているのか?」を再考せざるを得ない。歴代日本政府は、92年PKO法成立以来(カンボジア事態)、97年「日米防衛協力・新ガイドライン」合意を受けて、矢継ぎ早に「周辺事態法」「テロ対策特措法」(アフガニスタン事態)、「イラク特措法」(イラク事態)、「有事関連7法案」(「武力攻撃事態法」「米軍支援法」「自衛隊法改悪」等)の法案を強行し、米軍の戦争支援と荷担を強行し得る国内外の体制整備を図ってきた。一連の流れは、国際的に発生する事態に「対処」する形態を取りながら、実は「対処」を超えて日米軍事同盟の「実質的な強化」を図ってきたと見ておくべきだ。従って防衛庁の「省」昇格は、その結果が証明されたことにすぎず、これが終わりではなく、むしろ「危険な道筋への出発点」であると見ておくべきであろう。
「戦争をできる国」への道筋を許してはならない!
「戦後レジームからの脱却」を掲げて登場した安倍連立政権。想定したとおりに危ない橋を渡りだした。「教育基本法改悪」と防衛庁「省」昇格が同日に可決・成立することは極めて象徴的であり、この国の将来を暗示している。次は「国民投票法案」にめどをつけ、「憲法改悪」への道筋をつけることにあろう。
 その道筋の行き着く先は、従来の戦争支援・荷担の域を超えて、「新教育基本法」で鍛えた「国を愛する若者達」を動員する「戦争をできる国」の完成となってしまうに違いない。「美しい国づくり」等の耳障りの良いスローガンの裏腹に、実は「おぞましい現実」が隠されていることが明らかとなってきた。私たちは、その道筋をきっぱりと拒否する。
 さて、皮肉にも、これ程「わかりやすい首相」も珍しいではないか。支持率・世論調査の下降気味は、「危うさ」を見抜いた国民の現在的表現にすぎない。決着は来るべき国政選挙でつける他ない。いずれにしても一連の暴挙を犯した安倍政権の責任は極めて重大である。
2007年3月10日(土曜日) 927号
「公共サービス憲章」制定請願署名の成功を!
水政策闘争と結合しキャンペーン推進 一人5筆以上、10万筆の目標達成を!
書記長 久保田 和尊
(1)公務労協の公共サービスキャンペーン=「公共サービス憲章」制定運動
 公務労協は新自由主義政策に基づく構造改革、「小さな政府」路線に対決し、公共の再生を通じた公共サービスの確立と脱格差社会をめざして戦略的な取り組みとして公共サービスキャンペーンを進めてきた。この一環として神野東大教授を主査とする「良い社会をつくる公共サービスを考える研究会」は昨年10月最終報告をまとめ、「小さな政府」による公共サービスの縮小と破壊ではなく、良い社会に向けた公共サービスを実現することを提言した。
 公務労協は、研究会最終報告を踏まえて、「ともに生きる社会のための公共サービス憲章」(略称:公共サービス憲章)の制定をめざした請願署名運動を、国民運動としての発展を展望しつつ推進することとした。小さな政府論へのオルタナティブの提示である。

(2)全水道政策闘争を媒介にした公共サービスキャンペーンの推進
 全水道はこれまでも、新自由主義政策に戦略的に対抗する公共サービスキャンペーンを産別政策闘争の推進を媒介にして、積極的に取り組んできた。
 また、PSI(国際公務労連)の提起を踏まえてPSI・JC(日本協議会)は「2007年2月〜12月PSI・JC水行動プログラム」を年間の行動として設定した。全水道は、水事業やガス事業の公営原則の防衛・再確立に向けて、産別・単組・職場を貫いて政策闘争と反合闘争を結合させた闘いを推進しているが、その力を「水行動プログラム」に集中し前進を図る。
 このような全水道産別における反合闘争と結合した政策闘争の推進、そして「水行動プログラム」の取り組みは公共サービスキャンペーンの水事業・ガス事業バージョンでもあり、これら産別政策闘争の推進力を背景に「公共サービス憲章」制定請願署名運動を前進させ、取り組みを成功させなければならない。

(3)公務労協の取り組み
 公務労協は全体で500万筆の「公共サービス憲章」制定請願署名の獲得をめざしている。3、4月の構成組織を中心とした前期の取り組みで400万筆の署名獲得をめざし、5、6月は地方組織を中心に後期の取り組みを進める。また、教宣物の発行をはじめ、テレビやラジオのコマーシャル、新聞意見広告、週刊誌への広告掲載も行う。
 地方組織を中心とした署名活動では、ハガキによる意識調査も行う。また、公務労協ホームページにメールでの意見を求める。
 署名は5月中旬に国会内で院内集会を開催して提出するとともに、東京の主要駅頭で情宣活動を行った上、新宿駅東口にて500名規模で街頭宣伝に取り組む。
 このような取り組みを積み重ねたうえ、民主党や社民党と連携を深めて法律案要綱の作成を進め、基本法としての「公共サービス憲章」の制定をめざす。

(4)組合員一人5筆以上の署名獲得で全水道目標10万筆の達成を!
 統一地方選、参議院選という政治決戦を前に公務員へのバッシングや公務労組解体攻撃は激しさを増す。また、07春闘や局内課題の闘いなど全水道各単組にとっても1年でも最も繁忙な時期でもある。しかし、公共の再確立を通じた社会のセーフティネットとしての公共サービスの確立という公務労組の社会的使命を果たし反転攻勢の地歩を固めるためには不可欠な取り組みである。
 全水道の署名の獲得目標は10万筆であり、組合員本人と家族、退職者を中心にして3・4月に組合員一人あたり5名以上の署名活動に取り組む。全水道全組合員が一丸となって10万筆の署名獲得目標を達成し、取り組みを成功させるよう、強く訴える。
2007年3月25日(日曜日) 928号
07春闘回答をうけて
春闘期の戦いをひきつぎ、勧告期の闘いへ!
書記長 久保田 和尊
 全水道は昨年を上回る85・67%の高率でスト権を確立し、「働く者の闘いの広場」として07春闘に取り組んでいる。

1.最終回答の評価と判断
  3月22日の人事院総裁回答は、企業規模を含む官民比較方法のあり方について要求に応えてはおらず、所定内労働時間、非常勤職員の処遇改善についても全く不十分で、不満が残る。また地公部会関係の総務大臣回答では、「地方公務員の標準的給与の確立」や「自治体の臨時・非常勤職員の雇用の安定や均等待遇原則による賃金労働条件の改善」などについて回答を引き出すには至っていない。全水道はこのような評価を行いつつ、多く不満の残る回答ではあるが、公務員連絡会が声明で指摘するように、人事院勧告制度の歴史的・制度的限界、公務をめぐる厳しい情勢での春の段階での到達点として受け止めるとの判断を行い、3月23日の第3次全国統一行動で、到達点を確認し、春闘後半の闘い、人勧期の闘いに向け意志統一した。

2.今後の闘いに向けて
  全水道は、スト権高率批准に示された組合員の闘う団結を背景に、引き続き次の通り取り組みを進める。
(1)賃金要求については、公務員連絡会に結集して人勧期闘争を全力で取り組む。なかでも、07春闘の全労働者的課題である脱格差社会、均等待遇実現に関わって非常勤職員の処遇改善、さらには所定内労働時間の短縮について具体的な回答をめざす。地公賃金(決定)の構造的変化を受けて地公部会が中期目標として掲げた「地方公務員の標準的給与の確立」の前進をめざす。
(2)春闘は民間大手から中小、地域・地場の闘いに移行しつつある。連合は3月23日、中小共闘の平均賃上げ額が前年比431円増の5、440円と発表し、波及をめざすとした。全水道は民間の仲間との連帯を強め、連合中小共闘・パート共闘に結集して、前進をめざす。
(3)07春季産別統一要求について交渉中の単組は最大限努力する。労働協約締結権を有する労働組合として、労働時間の短縮・割増賃金の増額や、非常勤職員等の均等待遇実現に向けて取り組みを推進する。
(4)PSI―JC「07年水行動プログラム」の成功に向け、中心的労働組合としてアジア開発銀行京都総会への対応など全力で取り組む。
(5)労使関係制度の改善を抜きにした一方的な公務員制度改革関連法案提出を阻止し、労働基本権回復と民主的な公務員制度改革実現に向け取り組みを強化する。
(6)公務労協「公共サービス憲章」制定に向け、一人5筆以上、全水道目標10万筆の署名獲得を進める。
(7)安倍政権と対決し、改憲攻撃を許さず、166国会における「憲法改正手続きのための国民投票法案」など反動諸立法の成立阻止に向けて奮闘する。米軍再編を許さず、復帰35年、平和行進30周年の沖縄平和行進を全国結集で取り組む。
(8)全水道は、これらの闘いの力を4月統一自治体選、7月参議院選に集中し、組織内候補、準組織内候補、全水道推薦候補全員の必勝を勝ち取り、格差拡大と二極化の社会にNOを突きつけ、反転攻勢に転ずる地歩を固める。
2007年4月10日(火曜日) 929号

統一自体選挙(第一弾)結果をふまえ
全水道組織内候補・推薦候補必勝で
政権交代可能な政治状況をつくりだそう!
書記次長 岡崎 徹

 「二極化・貧困社会をかえよう!雇用とワークルールの確立を!政権交代可能な政治状況をつくろう!」と全水道は安倍連立政権の「危険な政権」性格に警鐘を鳴らし、07春闘と統一自治体選・参議院選を総合的に連携させ闘い抜くことの重要性を訴えてきた。働く者の生活を懸けた春闘。この国と地域社会の方向を決定づける一連の選挙戦。その総合的な取り組みは、全組織一丸となって展開されている。
 
全水道は労働組合の立場から、反戦・平和、反核・脱原発、反差別・人権擁護、選挙闘争などの政治・社会闘争を推進し、真に労働者・国民のための政治を推進し得る政権の確立に向けた取り組みを強化してきた。この間実施された一連の国政・地方選挙においても、「社民・民主・リベラル勢力の総結集を目指す政党との協力・支援関係を強化する」との基調の下に、社民党・民主党を中心としたリベラル勢力の勝利を目指し奮闘してきたが、今その取り組みも正念場を迎えようとしている。
 
統一自治体選挙の第一弾、道・県知事と議員、政令市市長・議員選挙の投開票が4月8日一斉に行われた。全水道組織内(準組織内)候補は、選挙戦の先陣を切って各地において果敢な闘いを展開し、7人が当選を果たした。当該地本・県支部・単組の甚大な努力と取り組みに敬意を表し、組織を挙げて喜び合いたい。しかし一方で、極めて残念ながら3人の落選という厳しい事実についても受けとめなければならない。次点あるいは僅差(10数票差)での結果であるからこそ、様々な総括課題が提示されており、統一自治体選挙第二弾の闘い結果と共に真摯な総括作業を深めることとしたい。
 
一方、第二弾の選挙戦を引き続き強力に取り組んでゆくため、焦点と課題を改めて鮮明にしておきたい。
 
その第1は安倍連立政権の政治姿勢にある。米国の世界戦略に呼応する日米軍事同盟強化・米軍再編協力姿勢と国内の反動法案を強行する姿勢に徹底して対抗すべきである。とりわけ市場経済秩序維持と「戦争をできる国」にするための危険な姿勢が、この国と地域社会を破壊し続けていることにNO!を突きつけよう。
 
第2は安倍新政権の経済、雇用・労働政策にある。経済・社会の幅広い分野にわたる強権的な「構造改革」「市場原理・競争原理の導入」が進み、働く者の生活・労働現場や地域社会は荒廃し、深刻な事態が進行している。格差是正!二極化・貧困社会をかえる!ために安倍連立政権にNO!を突きつけよう。
 
第3は安倍新政権の行革・規制緩和、税制改革など社会システムについての姿勢にある。市場万能論に基づく「地方自治・分権のあり方」「行財政運営のあり方」「水道事業のあり方」などを巡る姿勢にNO!を突きつけよう。
 
第4は社会保障のあり方についての姿勢にある。小泉時代以来、破壊され続ける社会保障や公共サービス等についての姿勢にNO!を突きつけよう。
 
引き続き組織内(準組織内)候補者と全ての組織推薦候補者の必勝を目指して奮闘してゆこう。

2007年4月25日(水曜日) 930号

京都ADB総会に向けて
アジア開発銀行などが狙う水の市場化を国際連帯の力で阻止しよう!
書記長 久保田 和尊

(1) ADB京都総会と市民フォーラム
 5月6日(日)、7日(月)に京都でアジア開発銀行(ADB)の第40回記念総会が開催される。ADBはアジア太平洋の途上国に融資する国際機関で、日本はその最大の出資国、歴代総裁も全て日本人が就いている。
 ADB総会にあわせて、国際NGOは市民フォーラムを結成してセミナーやワークショップを開催する。国際公務労連(PSI)とNGOは水政策・水の民営化を対象に、「ADB水政策とその実施に関するフォーラム」(5月5日、NGOルーム)や「水の民営化に関するセミナー」(5月6日、同志社大学)を共催する。全水道は政策委員を軸に近畿東海地本の協力の下でADB総会への取り組みを行う。

(2) 民営化推進のADB
 ADBは2001年の水政策でアジアの水の商品化に関して、フルコストリカバリーの推進、水部門への民間の投資参入の強化を示した。世界銀行と同様にADBは公共サービスの民間所有の推進を強制している。05年にADBは水政策を見直したが、水をADBの中核的事業に位置づけ、水へのADBの投資を倍以上にして民営化を促進する姿勢を明らかにした。ADBは本年12月の第1回アジア太平洋水サミット(大分県別府市)を共催することとなっており、水への融資が最大の焦点になると考えられる。

(3) 反民営化の経験交流
 「水の民営化に関するセミナー」のテーマは「アジアの国々における水道民営化とADBの関与―水道民営化のオルタナティブの可能性」である。フィリピン(水道民営化の事例、マニラ水道民営化―スエズ社による経営失敗と労働問題)、インドネシア(水道民営化と官官パートナーシップの事例、ジャカルタ水道民営化―労働者と消費者への影響)、スリランカ(ADBがアシストしたスリランカの民営化事例)などとともに日本は、PSI・JCより全水道(久保田)が「日本における水道事業民営化攻撃の現状と闘い」を報告する。
 日本からの報告では、日本の水道事業の現状と課題に触れながら、「憲法に規定する生存権としての水道」「佐賀水道における指定管理者制度導入阻止の成功と教訓」「民営化阻止・事業基盤確立を通した国際協力としての公公連携の促進」「水道民営化阻止の闘いと新自由主義に反対する国際連帯」について紹介する。

(4) 「07年水行動プログラム」で反民営化の前進を
 全水道はPSI・JCに結集して世界の水関連労働者とともに水の商品化・民営化反対の闘いを進めている。3月期には、国際女性デーや世界水の日行動に取り組んできた。引き続き水の公共性を守る「07年 水行動プログラム」の取り組みを強化しなければならない。
 5月ADB総会への取り組みを成功させて8月水政策推進月間の各種行動を推進し、12月のアジア太平洋水サミットでは「水は商品ではなく、基本的人権であり国際公共財である」との考え方を確かなものとしていかなければならない。国際資本や国際機関は水の支配とそれによる利潤追求を放棄することはない。国内での反民営化・事業の公営原則を守る闘いを推進し、公公連携を進める枠組みと主体の確立に取り組み、新自由主義に対抗する国際連帯の輪に合流しよう。

2007年5月10・25日合併号(木・金曜日) 931号

第27回労研全国集会を成功させよう!
理論と実践の共有を深め、公共の再生をめざす対抗戦略を!
書記次長 岡崎 徹

 労研全国集会は「理論と実践の全水道」をスローガンとして掲げ、政治・経済・社会情勢を踏まえながら、労働運動総体と産別全水道が直面する課題について研究・討議を深める場として取り組まれてきました。今次第27回労研全国集会では、公務員賃金・産別賃金の現状と課題、公営企業としての労働基本権・権利のあり方と組織強化・拡大、水基本法をはじめとした政策闘争、さらには公務員制度改革や地公三単産組織統合問題等を重要な課題として設定しています。全水道労働運動が社会的にも職場組合員からも信頼を寄せられる指標を築く労研全国集会として重要な位置と任務を持っています。

労研全国集会の獲得目標
 社会構造の二極化と格差が拡大する中で、水の私有化までも推し進めようとするグローバリズムと新自由主義に対抗する戦略の獲得が大きな課題となっています。さらに激化する反公務員キャンペーンや水道事業の民営化動向等に対抗しうる新たな「公共」の確立と労働運動の飛躍が課題となっています。そのために労研全国集会の獲得目標を次のように設定しています。

(1)公共の再生を目指す対抗戦略の獲得を目指そう!
 「貧困と差別」を引き起こし、「人権侵害の最たる形態である戦争」を引き起こす市場原理主義・新自由主義が大きく揺らぎ始めています。EC・北欧をはじめ国際的な「新たな基準作り」の模索が胎動しはじめ、しかも、その潮流のうねりには、国家レベルのみならず、様々な人々と労働組合など社会的勢力が国家を超えて合流する動きにあります。全水道は胎動しはじめた「市場原理・新自由主義に対抗する国際潮流」との合流を見据えながら、ライフライン事業としての水道・下水道・公営ガス事業に直接関わりを持ち、責任を担う労働者・労働組合として、事業の破壊、民営化・業務委託の拡大攻撃を許さず、そこに働く労働者の賃金・労働条件・権利の破壊を許さぬ対抗戦略を示し、国内における労働組合の社会的役割を果たす立場を明らかにしてゆかねばなりません。

(2)公務員労働組合の社会的な位置と任務を再確立しよう!
 安倍政権による社会の二極化と格差拡大の中で、あらためて公務員労働組合の位置と任務が問われており、公務員の賃金政策、産別賃金政策を確立し、公務員賃金の社会的役割を位置づけてゆくことが重要となっています。さらに労働基本権問題が政治焦点化するなかで、公務員労働組合の弱体化を通じた労働組合運動総体の弱体化を狙った極めて政治的な攻撃が強化されています。「公共サービス」制定請願署名運動を中心とした対抗戦略キャンペーンをはじめ、この攻撃に対する対抗軸を作り出し、具体的に反撃をしてゆかねばなりません。

(3)水の戦略的位置を踏まえた理論と実践の共有化を!
 そもそも水道・下水道・ガス事業は、社会的に欠くことのできないライフライン事業であるが故に、全水道は市場原理主義と対決・対抗しなければならない戦略的位置を否応なく占めています。従って、事業と業務に対する自信と確信を持ち、そこに働くことの誇りを背景にして、「民間開放」と対決する姿勢が極めて重要となっています。安全な水の安定供給を規定する水道法の形骸化や事業基盤の解体を通した住民の福祉の後退をさせてはならず、自ら携わるライフライン事業を「公共」として再生させる取り組みが重要な社会的役割となっています。

 本労研全国集会の獲得目標は、このように「公共の再生を目指す対抗戦略」の獲得にあり、公務員労働組合の社会的な役割の再確立を目指すことにあります。そのために「水」の戦略的な位置を踏まえた理論と実践の共有化を、更に深め合ってゆかねばなりません。

2007年9月10日号(月曜日) 937号

参議院選挙に示された怒りを臨時国会に集中させ
国会内外を貫いた大衆行動を巻き起こし政権交代を目指そう
書記次長 岡崎 徹

 安倍「自公連立政権」敗北の参議院選挙結果は、直接的には安倍政権の数の論理による「国民生活を無視した横暴政治」と年金問題や相次ぐ閣僚の不祥事・問題発言等々に対する働く者と国民の不満・不信が爆発したことに他ならない。それは言うまでもなく、小泉政権時代に加速された「改革」の名による新自由主義の跋扈と安倍政権自らが振り回した新保守主義(戦後レジームからの脱却路線)の結果が、「格差社会」をはじめ様々な社会的弊害を生み、国民生活の隅々に至るまで破壊作用をもたらしたがゆえに、国民から「強烈なしっぺ返し」をくらったことにある。
 しかし安倍「自公連立政権」の深刻さは、「表層的な失態」に起因した敗北に止まらず、「保守連立政権」の本質的な「政治路線の破綻」が明らかになってしまったことにある。
 安倍首相自身が、そのことを身にしみて承知しているからこそ、聞かれてもいないのに「私の基本方針が否定されたとは思っていない…」と釈明に努め、混乱を避けるために早々と続投を表明するに至ったのであろう。
 一方、安倍新内閣発足と同時に「新閣僚の不祥事」発覚と辞任などから、開催される臨時国会の荒れ模様が示唆される政治状況となっている。しかし私達は「敵失」による「表層的な政治劇」にとらわれていてはならない。参議院選挙結果を踏まえた、現局面における全水道の政治的立場と態度は明確である。『引き続き、安倍「自公連立政権」の打倒と労働者・国民の側に立つ「民主的政権」の樹立を目指す』ことを座標軸として、民主党・社民党をはじめとする政党や様々な共同行動を重ねてきた広範な人々と共に「追撃戦の手をゆるめない!」ということにある。何事も「詰め」は大事である。とりわけ変動する政治局面における攻勢的な大衆的・政治的「詰め作業」の貫徹は極めて重要である。
 そして、その具体的根拠を、あらゆる大衆運動の中で明らかにしてゆかねばならない。それは、「美しい国、日本」を標榜し、戦後レジュームからの脱却をめざすとして、教育基本法改悪・防衛庁の省への昇格を強行し、「改憲を参議院選挙の争点にする」と宣言してきた、その政治責任を問うことにある。さらに「憲法改正手続きのための国民投票法案」をはじめ反動諸立法の成立を強行し、ブッシュ政権に追随した軍事同盟体制の強化と「戦争のできる国づくり」を推進してきた、その政治責任を問うことにある。加えて新自由主義的な改革と小さな政府論に基づく公共サービスの縮小・解体、公務員定数・人件費の削減、公務員制度改革関連法案などを強行成立させ、私たちの暮らしや仕事に深刻な影響を与え続けてきた、その政治責任を問うことにある。
 当面は臨時国会において、安倍「自公連立政権」が提示する「テロ特措法」をはじめとする重要政策課題・法案の成立を許さず、末期症状を呈する安倍「自公連立政権」を解散・総選挙に追い込むため、国会内外を貫いた「世直しの闘い」を強力に推し進めるべきだ。

2007年9月25日号(火曜日) 938号

政令指定都市人事委員会勧告が出る
公務賃金を政治の道具にすることを許さず、我々が求める地方確定推進を!
書記長 久保田 和尊

 政令指定都市人事委員会の07年勧告・報告が仙台市を除き出揃った。給与ではプラス較差勧告が10都市で、そのうち給料表改定(初任給や若年層)の勧告が5都市、改定見送りが5都市となっている。一方、マイナス較差勧告となった都市は4都市あり、3都市では改定見送りとなったものの、最も較差が大きい横浜では現給保障中のものも含めて引下げ改定を勧告している。プラス較差となった都市でも、不思議なことに国の人事院勧告を上回った都市はない。比較対象企業規模の引き下げにより100人未満の企業が増やされたことが主な要因であると想定されるが、地方公務員をターゲットにして公務員人件費削減攻撃が展開され、国公準拠の排除攻撃が強まっているとはいえ、それに追随した不当な勧告といわざるを得ない。今後とも、比較対象企業規模の是正など人事委員会が真にその役割を主体的に発揮すべく結束して対応していかなければならない。また、一時金については、改定見送りとなった札幌を除き13都市で主に勤勉手当を国と同様0・05月増額改定を勧告した。
 人事・給与制度の見直しなどについては、多くの都市で能力実績に基づく制度改革の推進が指摘されている。また、時間外勤務の縮減など総労働時間の縮減も多く指摘されているなかで、神戸では7時間45分を念頭においた勤務時間の見直しに踏み込んで言及している。
 安倍首相が政権を放り投げたことにより国会審議がストップした。公務員給与を政治の道具とさせることなく国の人勧の閣議決定と給与法の改定に向けて取り組みを続けているが、日程がずれ込み地方確定への影響も懸念される。07地方確定では、給与・一時金の改善と自治体間格差拡大阻止という基本目標を掲げている。あわせて、技能労務職、企業職への賃金水準引下げ攻撃と対決しなければならない。全水道は人事委員会を持たない都市が多いことが特徴ではあるが、政令市の闘いが産別全水道全体に波及するよう奮闘を期待したい。

2007年10月10日号(水曜日) 939号

合洗第18回総会に向けて
“きれいな水と命を守る”ために、身近なところからの運動の継続を
中央副執行委員長 和田 滋

 2000年に21世紀における共通の課題について話し合う場として「国連プレミアムサミット」が開催され、貧困の撲滅など8つの目標が掲げられました。目標のひとつである「持続可能な環境づくり」の中で、2015年までに安全な飲み水を得られない人の割合を半減することが掲げられました。しかし、06年時点では世界で安全な飲み水を得ることが出来ない人が11億人いると言われており、目標達成は困難な状況を迎えています。水のアクセス改善が乳幼児死亡率問題や貧困問題の解決につながり、水の効率的な利用が人口増に伴う食糧問題の解決を可能とすることから、引き続く努力が求められています。
 このように世界の水事情は深刻であり、緊急の課題であります。そうした中、日本は木材や食糧などを通じて大量の「水」を輸入しています。改めて、私たちの住居や日常の食卓を考える必要があります。さらに、森林が荒廃により保水機能を失い土砂災害や洪水を引き起こし、湖や河川の浄水機能喪失など、地域によっては質・量も含めて深刻な事態を迎えています。まさに、21世紀は地球規模で水問題が最重要課題であります。
 こうしたことなどを「運動の基調」として10月20日、全水道会館において、「きれいな水といのちを守る合成洗剤追放全国連絡会」の第18回総会が開催されます。「全国連絡会」は、労働団体と市民団体、市民・住民が共通の目的を持って運動を続けている全国規模としては数少ない組織であります。
 「全国連絡会」は1974年に結成され、今年で33年目を迎えます。この間、全水道も事務局を担い運動の中心的な役割を果たしております。昨年も大阪で第28回全国集会を開催し、大阪水労をはじめ労働組合、市民団体や市民・住民のご尽力により大きな成果を挙げたところであります。
 運動の原点は「家庭の排水口から地球環境をみつめる」、このことを実践することとしています。
 運動の歴史から見ると、会の名称が示すとおり“きれいな水といのちを守る”ことが目的であり、そのために一番身近で多くの人が使用する洗剤・洗浄剤に着目し、家庭の排水口から地球環境を見つめ、それらの実践を通じて合成洗剤追放運動を進めることであります。
 水環境を考える水道・下水道事業で働く労働者にとっても重要な課題であると言えます。そうしたことから、各地における運動では多くの全水道の仲間が参加して頂いています。さらに、他の労働組合や市民団体そして市民・住民の方々と地域事情を活かした取り組みを進めることは、水道・下水道そしてガス事業を理解して頂くためにも有意義であると考えます。当然、そこで働く労働者にとっても、労働組合にとっても重要であることは言うまでもありません。
 ぜひ、それぞれの地域における運動の継続と積極的な参加をお願いいたします。

2007年11月10日号(土曜日) 941号

第44回護憲大会をうけて
「永田町の政治劇」を突破する大衆運動を強力に推し進めよう!
書記次長 岡崎 徹

護憲大会が訴える「反戦・平和・人権・環境」運動の一層の飛躍を!
 第44回護憲大会が11月2〜4日にかけて東京で開催された。開会集会では、福山事務局長の「武力で平和はつくれない、人権と民主主義の憲法理念実現を」とする基調提案が確認された。今次護憲大会の特徴は、参議院選挙の結果が憲法改悪手続きを困難にし、反撃のチャンスが与えられた状況下にあること。従って新たな政治状況のもとで、「反戦・平和・人権・環境」を旗印とした様々な大衆的運動の前進が従来に増して重要となっており、労働組合の役割も大きく問われていることにあった。

護憲大会が示した大衆的な反戦・平和行動の力強さ!
 特筆すべきは、大会二日目に日比谷野外音楽堂に四千人を結集し、「武力で平和はつくれない!11・3市民集会」が開催されたことにある。集会では韓国からのゲストをはじめ、沖縄・横須賀からの反戦・反基地闘争報告や「教育と子供の権利」を実現しようとするキリスト者ネットワーク、「アフガン・イラクの平和を!」取り組むJVCボランティア組織、「テロ特措法・憲法改悪を許さない」市民連絡会などのリレートークが行われた。全国各地で取り組まれる様々な大衆運動が一堂に会し、「参議院選挙で示された、働く者や国民の怒りの声を結集し、さらに政権交代に突き進もう!」という、お互いの取り組みの一層の飛躍を誓い合う実にタイムリーな集会であった。

めまぐるしく動く政治動向!
 しかし一方で、護憲大会開催の渦中に「福田・小沢会談」騒動が報じられた。現状における限られた情報の中で、しかも協力・支援関係にある労組の立場からは、コメントを控えるべきであろうが、これだけは言える。情報に接した大会参加者の反応は、実にクールであった。もちろん一様に「批判や怒り」は示されたが、それ以上に「永田町の政治劇」に一喜一憂をしない「大衆運動の闘士達の面構え」は実に見事であった。様々な大衆運動を必死に組織し、「大衆の力」を信じ合い、政治と社会の有り様を根本から覆す意志が明確な「賢明な仲間達」が、そこには確かに存在していた。

全水道の座標軸は普遍!
 そもそも全水道は臨時国会の荒れ模様を承知してきた。「政治が拮抗する」状況下にあっては、様々なハプニングを伴うことも予測してきた。従って、いかなる事態が発生しようとも驚きはしない。むしろ現局面にあっても全水道の政治的立場と態度は明確である。それは全水道政治基調「社民・民主・リベラル勢力の総結集」を踏まえ、さらには参議院選挙結果を踏まえ、『引き続き、末期症状を呈する「自公連立政権」の打倒と労働者・国民の側に立つ「民主的政権」の樹立を目指す』ことにある。護憲大会に結集した広範な人々と共に「追撃戦の手をゆるめない!」ということにある。
「永田町の政治劇」のみに「自らの運命」を任せない!
 全水道の座標軸は普遍である。

2007年11月25日号(日曜日) 942号

「第39回食とみどり、水を守る全国集会」に向けて
守ろう環境、築こう安心、人と自然の共生を
持続可能な循環型社会をめざして

中央副執行委員長 和田 滋

 「食とみどり、水を守る全国集会」が近畿の水瓶である琵琶湖、その湖畔にある大津市で12月7日〜8日に開催されます。第39回を数える今回の集会は、『生命のふるさと「琵琶湖」から〜守ろう環境、築こう安心、人と自然の共生を!』をスローガンに掲げておこなわれます。
 滋賀県は日本最大の湖「琵琶湖」を抱え、水をはじめとした環境問題などで先進的な取り組みを重ねており、そうした動きも学びながら、歴史的転換点に立ついま、地域からどのような運動を展開すべきかを討議しあう集会とすることとしています。
 この集会は、運動の基本に「人間の安全保障」を掲げてきました。平和的な国際協調を一層高めながら、戦争や飢餓、環境災害などの危機から逃れ、貧困や差別問題を克服して全世界の人々の普遍的な生存権を認め合うこと。そのためには、人間の生存の基本であり欠かせない「食・みどり・水」の意義を改めて見直し、持続可能な循環型社会の形成、食の安全・安定、農林水産業の再生への取り組みが重要になる。このようなことが、今回の「集会の基調」に盛り込まれています。
 また、水に関連しては「水は人権」であり、健全な水循環を構築すると共に、水の公共性を維持するため、水の商品化・民営化の流れに歯止めをかけることが必要であり、「水基本法」の制定に向けた運動を強めなければならないと訴えています。
 集会は、昨年から、分散会での提起を受け各分科会で詳細な議論をおこなう形式としており、食の安全や食料・農業政策、森林・水を中心とした環境問題などについて、分散会・分科会で活発な議論が交わされるものと思われます。特に、21世紀は「水の世紀」といわれ、水が原因で戦争が起こると言われているように、世界における水事情・水不足は深刻な状況を迎えています。そうした状況のなか、世界有数の森林国である日本が大量の木材(間接的には水)を、自給自足が可能にもかかわらず食料・畜産物などを、輸入している「バーチャル・ウォーター」をどう考えるのか、緊急で緊迫した課題であります。さらに、開催地琵琶湖の水環境がどうなっているのか、地球温暖化により湖の全循環が危惧されるなか、水質・生態系への影響を考えることが求められています。
 私たち全水道は、九州大分で開催される「第1回アジア・太平洋水サミット」に向けて、12月2日に連合およびPSIの会議などで議論を重ねることとしています。引き続いて開催される今集会、産別全水道としてサミットの成果を持ち込んで議論に参加されることを期待します。

2007年12月10・25日号(月・火曜日) 943号

生協法改正と全水道共済
全水道共済の更なる発展に向け
改正生協法に対応した体制の確立を

中央副執行委員長 臼田 秀二

 共済事業は、組合員相互が助け合う、自主的な福祉活動です。
 しかし、その規模が大きくなるにつれて、様々な規制が加えられ最近では、保険業法に依拠する民間保険・損害保険会社との整合性が強く求められるようになり、国内外から共済事業への圧力が急速に強まってきました。このような中で、今年5月、1948年に制定以来、約60年ぶりに生協法(消費生活協同組合法)の改正案が国会で成立しました。来年4月からは、改正生協法として、更なる事業の健全性等が求められることなります。現在は、政省令、模範定款例等の検討が進められていますが、他の協同組合法(農協法等)に規定されている政省令の内容がべースになると思われ、懸案事項の主なものは次のとおりです。

 (1)共済代理店について
 現状では、労働金庫・指定整備工場・受託事業を行う組合(単産共済)が該当します。労働組合は、共済代理店ではないが、募集行為や代理店と取られないようにするため、協定書等の整備が必要となります。

 (2)共済募集人等
 重要事項を説明したり、共済商品の個別内容の説明や契約を締結出来る者は、生協の役員と使用人(職員)に限定されます。

 (3)情報開示義務と個人情報漏洩
 法改正によって組合員代表訴訟等の導入により、組合員名簿の開示の必要性が生じますが、他方では、個人情報保護の問題があります。いたずらに、個人情報や重要な組合員情報が、他に流出しないような配慮を厚労省として検討している状況です。

 (4)ソルベンシー・マージン基準等
 農協方式にするのか、独自基準を定めるか、まだ方針が定まっていない状況です。この基準に基づいて、早期是正措置が発動されることとなりますので、より慎重な議論が必要です。全労済は、政省令に対するパブリックコメントで、厚労省に経過措置の要請をしています。


〈今後の対応と検討課題〉
 (1)生協におけるガバナンス(統治)の見直し
 改正生協法では、理事会が法律上の機関として明確化され、権限強化と理事会運営・議事録作成など細かなルールが法定化されました。同時に、チェック機関である監事の権限が格段強化され、効果的に遂行する措置が様々講じられています。

 (2)定款・規約等の整備
 定款については、今後示される模範定款例等にならい、全面改定作業を進めることとなります。

 (3)事務手数料・事業推進費の取扱い
 各地本・単組・全水道本部との取扱について整理する必要があります。このような状況を踏まえ、現在、事務局で見直しの具体案を検討しています。12月下旬に予定する理事会に考え方を提案し、以降、議論・検討を進めて頂き、改正生協法の08年4月実施に向けて、来年3月の中央推進委員会や理事会で確認できるよう、対応を強めていきます。

2008年3月10日(月曜日) 948号

08春闘の山場にむけて
職場・地域から全力で奮闘を
書記長 久保田 和尊

 全水道は第122回中央委員会で08春闘方針を決定し、闘いを進めている。
 3月12日からの民間労組の第1の山場の闘いを支持するとともに、公務員労働者の要求前進に向けて全力を挙げるよう要請する。

(1)08春闘基調
 企業は史上最高益を計上するが景気回復は実感できないまま公共料金や生活関連物資が値上がりをはじめ、インフレも懸念される。総労働の力で賃金相場の形成や均等待遇実現などの底上げを図らなければならない。脱格差社会の実現、全労働者の賃金・権利・労働諸条件の向上、税制と社会保障の改悪阻止、護憲・反戦平和・脱原発・反差別人権確立をはじめ解散総選挙をも視野に入れ、安心・安全な「ともに生きる社会」を展望する春闘として全力を挙げる。
 公務部門の課題については、公共サービス基本法(仮称)の制定と地域公共サービスの確立、労働基本権回復と民主的公務員制度実現、無年金状態を迎えるなかでの新たな高齢雇用施策の確立に取り組む。
 全水道は、新自由主義に対決し、「働く者の闘いの広場」として08春闘を職場地域から全力で推進する。職場から団結を固め全水道の統一性の下で闘いを推進するために高率でのスト権確立をめざしている。

(2)08春闘の課題と闘い
 全水道は、賃金引上げなど賃金・諸手当に関する要求、ワーク・ライフ・バランスの実現をめざす労働時間短縮や男女平等・共同参画に向けた要求、公営原則と事業基盤の防衛・確立に向けた水道・下水道・ガス事業に関する基本的要求を柱に春季産別要求を策定した。単組独自課題を結合させた要求を全単組で提出し、3月19日をめどに前進ある回答をめざすべく取り組みを進めている。
 全水道の調査結果では、臨時職員、非常勤職員の賃金については全ての調査単組で賃金水準が産別要求基準に達しておらず、産別統一要求で臨時・非常勤職員等の処遇改善、最低賃金の引き上げをめざす。

(3)公務員連絡会の要求
 公務員連絡会は2月15日に政府・人事院に08春季要求を提出し、3月3日には幹事クラス交渉を実施したが、未だ抽象的回答に終始している。本府省手当の撤回、我々の要求前進めざし、3月12日には全国統一行動、中央行動を背景に書記長クラス交渉で追い上げを図る。「市場横断的なベースアップはありえない」とする日本経団連の対応を許さず、3月19日には前進ある回答の引き出しをめざす。
 全水道は3月12日に総決起集会を開き、山場に向けて職場・地域から全力で奮闘する決意を固める。

2008年3月25日(火曜日) 949号

08春闘回答をうけて
民間中小の仲間の交渉支援を強め勧告期の闘いへ!
書記長 久保田 和尊

 全水道は、昨年を上回る86.08%の高率でスト権を確立し、08春闘を「働く者の闘いの広場」として取り組みを進めている。

1.最終回答の評価と判断
 総務省回答では、人勧制度の維持・尊重との基本姿勢のもと適切な給与水準を確保するよう努力することが示されたが、人勧制度自体の空洞化圧力が強まる中で勧告の取り扱いに対する明確な姿勢が示されていない。人事院回答では、給与改定に向けた基本姿勢や比較対象企業規模には変わりがないことを確認したが、官民比較方法見直しの政府の再要請に対する毅然とした姿勢が示されていない。地公部会関連総務大臣回答では、地方公務員の給与決定に関し「国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきもの」との極めて不当な考え方が回答された。全水道はこのような評価を行いつつ、地公部会要求に対する総務省回答をはじめ不満が残る回答ではあるが、公務員連絡会声明に示されるように、公務をめぐる厳しい情勢のなかでの春の段階の交渉の到達点として受け止めるとの判断を行い、3月21日の第3次全国統一行動で到達点を確認し、人勧期の闘いに向けて意志統一した。

2.今後の闘いに向けて
 全水道は、スト権高率批准に示された組合員の闘う団結を背景に、引き続き次の通り取り組みを進める。
(1) 賃金、労働条件の闘いについては、公務員連絡会に結集して人勧期闘争を全力で取り組む。地方確定闘争をはじめ地方公務員の生活を直撃する住居手当問題などについて、地公部会の下で総務省対応を強化する。
(2) 連合は3月21日に中小共闘の集計結果を発表した。加重平均で昨年に比べて319円増の5、702円となり、多くの組合が賃金カーブ維持相当分を獲得し、中小共闘発足以来一貫して昨年を上回る成果を挙げている。急激な円高の進行などで厳しい闘いが懸念されるが、連合は引き続き波及をめざすとしており、全水道は民間の仲間との連帯を強め、中小共闘・パート共闘の闘いを支援する。
(3) 全水道各単組は08春季産別統一要求を提出し、労働協約締結権を有する労働組合として取り組んできた。未だ交渉中の単組においては、前進ある回答を引き出すべく最大限努力する。
(4) 政府は国家公務員制度改革基本法の原案を策定し、3月末までには法案を提出する動きにあるが、労働基本権については「現状維持のための結論先送り」といえるものとなっている。全水道は公務労協に結集し、民主的な公務員制度確立と労働基本権の回復に向けて交渉など「基本法」への対応を強化する。
(5) 「公共サービス基本法(仮称)」制定の取り組みを引き続き公務労協に結集して進める。あわせて、水道・下水道・公営ガス事業の公共性と公営原則防衛に向けて職場から反合闘争と結合して取り組むとともに、水は基本的人権であり公共財であることを確かなものとすべく3・22国連世界水の日行動など水行動プログラムを推進する。
(6) 地域から護憲・反戦・平和の闘いを推進するとともに、年度末を迎えるなかで緊迫の度を増す国会情勢に注目しつつ、与野党逆転による新自由主義政策の転換をめざして解散総選挙の準備態勢作りを進める。

2008年4月25日(金曜日) 951号

職を賭した名古屋高裁判決
「公の職に就く身の矜持」とは!?
書記次長 岡崎 徹

 自衛隊イラク派遣差し止めを求める控訴審判決で名古屋高裁は、イラク空自の活動を「違憲」とする判断を示した。判決要旨では「認定できる事実によれば、(1)現在のイラクは、各武装勢力と多国籍軍との抗争が複雑に絡み合って泥沼化した戦争の状態にある。(2)特にバグダッドは国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、物を破壊する行為が現に行われている地域というべきで、イラク特措法にいう「戦闘地域」に該当すると認められる。(3)現代戦において輸送等の補給活動もまた戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援である。(4)よって武力行使を禁止したイラク特措法と、活動地域を非戦闘地域に限定した同法の条項に違反し、かつ憲法9条1項に違反する活動を含んでいると認められる。」と明確に指摘し、イラク派遣問題に対する司法の憲法判断が示されたものとなっている。
 私達にとっては、かねてより求めてきた至極当然の「司法判断」であり、運動の正当性を裏付けることとして歓迎したい。しかし一方で、「司法による久々の画期的な判断」の裏には、実に哀しい・厳しい現実があることにも注目をしておきたい。《共同通信:核心評論》によれば、名古屋高裁判決を言い渡した裁判長は、定年を2ヶ月残し3月末で依願退官したという。その理由は明らかにされてないが、弁護団から「命を懸け、職を賭して書いたのではないか」との声が上がっているという。さらに1973年。長沼ナイキ基地訴訟で「自衛隊そのものが憲法違反」と判示した札幌地裁裁判長は、判決前に国から裁判官忌避を申し立てられ、以降、退官するまで大きな裁判所の裁判長に戻ることはなかったという。この記事から、政治と司法の「凄まじい関係」の中で「命を懸け職を賭して」踏ん張る人々が存在することを、私達は誇りに想い、肝に刻み込んでおかねばなるまい。
 様々な分野で「理念と矜持」を忘れず、闘い、生き抜く人々の存在を真摯に受けとめ、全水道運動や政治・社会運動の推進のためのみならず、私達自身の「生き様の教訓」にもしておきたい。
 実は、そのような「公の職に就く身の矜持」を示してくれた、「壮絶な生き方・個体史」を示してくれた仲間が身近にも居たのである。実に36年間。全水道運動に参加し、組織を支えて来てくれた長屋弘道前四国地本委員長(高知県平和運動センター議長)が闘病甲斐なく急逝された。悲しい、哀しい、現実を受けとめなければならないことに恨みを禁じ得ない。「労働運動と反差別・人権運動の合体!そして、その座標軸を基にした反戦・平和、地域・社会運動の総合的な推進こそが、極めて重要なのだ!」と主張し続け、一家を挙げて地域の人々と共に闘い続け、生き抜いた仲間であった。彼の「志と生き様」を受け継ぎ、教訓化し、全水道運動の飛躍を目指したい。
 長屋弘道56歳。今この瞬間にも「天晴れな人生」であった、君を誇りに思います!

2008年6月25日(水曜日) 954号

08人勧期闘争に向けて
勧告期の闘いを総力で闘い抜こう!
書記長 久保田 和尊

(1)公務員連絡会の08人勧期闘争方針
 6月20日に委員長クラス交渉委員が「2008年人事院勧告に関わる要求書」を提出して人勧期闘争をスタートさせた。08春闘結果の調査ではベア分が微増に止まり、一時金については支給月数の引下げとなる危険性もあるとの厳しい情勢認識で闘いを進めている。
 重点要求は、(1)月例給与の水準を改善する勧告、一時金の支給月数の維持・改善 (2)非常勤職員の処遇改善に向けた指針の提言 (3)所定勤務時間を週38時間45分、1日7時間45分とする勧告の実現、である。自宅に係る住居手当については、廃止ありきではなく、その意義等について慎重に検討し、十分な交渉・協議、合意に基づいて結論を得ることを求める、としている。
 7月8日に第1次中央行動と幹事クラス交渉、7月23日に第2次中央行動と書記長クラス交渉を配置し、8月上旬の勧告直前には、委員長クラスが人事院総裁と交渉をもち、最終回答を引き出す。職場からの取り組みとしては4次にわたる全国統一行動と、6月23日から7月23日までの期間で、人事院総裁宛の個人毎の自筆による要請はがき提出行動を実施する。

(2)地公部会の08年人勧期闘争方針
 人事委員会に対しては、対県共闘や市労連などにより第三者機関として機能を発揮することを求めつつ具体的な要求を行う。総務省に対しては、「人事委員会の機能強化及び連携方策等に関する検討会報告書」を人事委員会に強要しないこと、自宅に係る住居手当の廃止問題や「技能労務職員の給与に係る基本的な考え方に関する研究会」ついて動向を踏まえて交渉を行う。
 地公部会は7月23日の公務員連絡会第2次行動の前段に、地公部会人勧期中央行動を実施し、総務省への要求書提出と交渉、中央集会を行う。個人要請はがき行動では、「自宅に係る住居手当廃止反対」を必ず明記することを地公部会として意志統一した。

(3)全水道の賃金闘争の取り組み
 全水道は公務員連絡会・地公部会の方針を受け止めて08人勧期の闘いを全力で取り組む。なかでも、7月23日の第2次中央行動には、地公部会が「自宅に係る住居手当の廃止反対」などを掲げて前段行動を実施することから、全水道は従来の関東地本を中心とした参加に加え、全国代表動員体制で結集する。
 人件費削減攻撃の焦点が地方公務員に当てられており、地公部会の重要性が増している。地域民間賃金の反映による賃金削減攻撃や技能労務職給与への攻撃は、「人事委員会の機能強化及び連携方策等に関する検討会報告書」や「技能労務職員の給与に係る基本的な考え方に関する研究会」の設置に見られるように、より具体化しつつある。霞ヶ関のキャリア官僚を頂点とした公務員賃金水準の不当な序列化攻撃に反対し、公務員連絡会の取り組みと並行して地公部会に結集して全力で闘い、確定闘争に結びつける。

2008年7月10日(木曜日) 955号

第62回定期全国大会を成功へ
第62回定期全国大会の成功を基礎に
人勧期闘争、秋期闘争の闘う陣型を!

書記長 久保田 和尊

 7月17・18日の2日間、神戸市において全水道第62回定期全国大会が開催される。
 この1年間、「働く者の闘いの広場」としての08春闘の推進、非常勤職員等の処遇改善も要求して展開した春闘期・人勧期・確定期の賃金闘争、春季と秋季の産別労働条件統一闘争、公営原則防衛と事業基盤確立に向けた全水道政策闘争、労働基本権回復・民主的公務員制度改革実現の闘い、反差別・人権確立、護憲・反戦・平和や衆議院選挙闘争など政治的闘いを、組合員と家族の期待に応えるとともに、労働者・勤労国民の生活を守る立場から中央・地方で、連合、公務労協・公務員連絡会をはじめ平和フォーラムなどに結集して闘いを進めてきた。
 昨2007年9月11日には新しい産別組織に移行する過渡的形態として三単産の連合体である地域公共連合を結成し、連合中央の取り組みなどに対応してきた。一方、統一組織委員会などで統一に関する協議を進め、「中間報告」をまとめた。引き続き全水道は、全水道の組織と運動の継承・発展を基本に、内部の合意形成を大切にして一層努力する。
 グローバル化に対応した新自由主義の構造改革で格差と二極化が拡大し、社会不安も増大している。水道・下水道・ガス事業についても民間開放、業務委託の拡大が進められており、アジア地域の水の市場化を推し進めて水関連産業を中心とした護送船団的海外進出が目論まれ、日本の水制度も更なる規制緩和の方向で再編しようとの動きが出ている。私たちは、公営原則を防衛し事業基盤を確立して事業目的を達成するために、職場の反合闘争と政策闘争を結合させて引き続き取り組みを進める。それを媒介に公共サービス基本法制定をめざす。
 公務員制度改革が国家統治機構の再編の一環であり、労働基本権が行政改革に位置づけられていることに注意し、労働3権の回復を基本に私たちが有する団体交渉権・協約締結権が後退することのないよう労働基本権の回復に向けて取り組む。
 福田自公政権は、「ねじれ国会」の中で低姿勢を装いつつ、重要法案は再可決で強引に成立させてきた。米軍再編・日米軍事一体化を進め、高齢者医療制度問題での対応に見られるように国民の命を軽視する姿勢をまざまざと見せ付け、このうえ消費税増税を政治日程に載せようとしている。新自由主義、小さな政府論による政策を転換させるため早期の解散総選挙を求め、労働組合としての役割を発揮しなければならない。
 また全水道は、反差別・人権確立の取り組みの内実が問われていることから、総括作業を深めて取り組みを進めなければならない。
 生活と権利を防衛し、安心・安全で平和な労働を中心とした福祉型社会を作り出すことは労働組合自ら取り組むべきものである。厳しい情勢にあるが、定期大会を成功させて、本部―地本―県支部―単組が団結を基礎に方針を共有化してたゆまぬ努力を行い、前進をめざそう。

2008年9月10日(水曜日) 958号

横須賀米原子力空母入港阻止!
全国の様々な闘いを衆議院解散・総選挙闘争に結合させ
「新たな政治」の獲得を!

副執行委員長 岡崎 徹

【自民党総裁選】あきれるばかりの“お祭り騒ぎ”
 9月1日、福田首相が突然の辞任会見。以来、自民党は“総裁選のお祭り騒ぎ”にある。一方、「候補者の顔ぶれは?」「総裁・首相に相応しい候補は誰か?」等、マスコミ各社も各種世論調査実施を含め喧しい。しかし彼等は「強烈な一喝!」を準備する「働く無言の庶民」の存在を、未だに「甘く」見ているようだ。相も変わらぬ“まやかし”を演ずる、しかも“懲りない面々”に対し、積年の恨みをはらす「政治決着」の局面がやって来た。

【政治パフォーマンス】では払拭しきれない深刻な社会情況
 そもそも「小泉構造改革」なる「まやかし!」が、この国の「基本構造のあり方」を破壊し続け、その結果「悲惨な社会現象」が続発し、ふと気がつけば「非正規労働に喘いでいる」身内の実態に驚愕してきた。そうした実に深刻な社会情況の真っ直中で、切実に「腹に据えかねている」働く庶民は、すでに「密かに」かつ「公然」と反撃の準備を整えつつあるに違いない。「新自由主義・市場原理主義路線」が及ぼした「生活破壊作用」、従って「人間の尊厳」を著しく傷つけてしまった事実。その事実に対する何らの反省もなく“お祭り騒ぎ”で世の中を生き抜いてゆけると錯覚し続ける政治勢力に明日はない。

【全水道の社会的役割】の発揮を!
 一方、さすがマスコミ界にも健全な見識・論陣を張る動きがある。曰く「衆議院解散・総選挙で民意を問え」「国民の手に『大政奉還』し、新しい政治を築き上げる時だ」などなど。私達は、この指摘を心して受けとめ応えなければならない。「解散・総選挙で政権交代」を実現し、国民・働く庶民の手に政治を「大政奉還」させる社会勢力として、労働運動・労働組合の役割を、今こそ発揮すべき時がきた。しかも「大政奉還」を実現する「決着の付け方」が極めて重要となっていることを自覚すべきだ。単なる決意主義であってはならない。幸い全水道には「平和・人権・環境」を軸とする様々な社会課題に取り組み、全国の様々なNGO・市民運動を推進する人々との共同行動を粘り強く展開してきた自負と実績がある。この底力をフルに活用し、大衆運動の積み重ねの中で培ってきた「私達の望む社会像」を公然と突き出し、政治を私達の手に「大政奉還」させるべきだ。政権交代・政界再編が現実味を帯びてきた局面にあって、大事なことは「大政奉還」の中身と「決着の付け方」にこそある。

【社会の根底から発する怒り】を解散・総選挙闘争に結合させよう
 従って直面する重要な課題の継続した取り組みと、その闘いを解散・総選挙闘争に結合させることが極めて重要となる。沖縄・佐世保・横須賀を貫いた反戦・反基地闘争の継続、とりわけ9月25日に米原子力空母が入港予定の横須賀現地闘争については、7月に全国から横須賀に登場した1万5千人を超す人々の大衆的な力が背景にある。全国各地の様々な社会運動を米原子力空母入港阻止行動に結合させ、今こそ社会の根底から発する様々な怒りを闘いの中で紡ぎ合い、その底力を解散・総選挙に結びつけよう! 
 新たな政治を私達自身の手に取り戻す!その「決着の付け方」が重要である。

2008年9月25日(木曜日) 959号

第123回中央委員会の成功を
総選挙闘争勝利に向け
産別全水道の総力を結集!

書記長 久保田 和尊

はじめに
 全水道は10月16日に第123回中央委員会を開催する。確定・産別を中心とする08秋季年末闘争方針を中心課題に、当面する政策闘争方針や政治闘争方針、第28回労研全国集会の開催についても確認を行う。なかでも、福田首相の突然の辞任表明を受けて衆議院の解散・総選挙が必至であり、総選挙闘争勝利にむけて組織の総力を挙げて闘う方針を確立する。

総選挙闘争が08秋年闘争の重要な柱に
 格差が拡大・固定化し、不況とインフレが同時進行する状況での政権放棄は極めて無責任である。と同時に、自公政権では労働者・勤労国民の生活防衛、安全で安心な暮らしに向けた政治を遂行できないことを明らかにした。安倍前首相に続く二代連続の政権放り投げは自民党の危機の深さを如実に示している。自民党内の「財政再建派=消費税増税」であれ「上げ潮・成長派=構造改革の継承」であれ、国民生活をここまで危殆に瀕しさせた小泉構造改革を総括し、新自由主義と小さな政府論から決別できない。
 福田首相を政権放棄に追い込んだことは、参議院選挙の勝利を勝ち得た私たちの闘いの結果であり、総選挙で自公政権に変わる社民・民主・リベラル勢力を結集した政権を樹立しなければならない。新自由主義政策からの転換を図り、公共の再確立を通じた公務・公共サービスの充実を進め、国民生活の安全と安心を確立しなければならない。

08確定・産別闘争の推進
 政治情勢を反映して、08人事院勧告の取り扱いも総選挙後の新政権に委ねられるものと考えられる。公務員攻撃が引き続き展開されており、1日15分の時間短縮に関する勤務時間法の改定の動向を含めて警戒感を持たなければならない。
 政令市の人事委員会勧告も遅れがちであるが、大阪や広島ではマイナス勧告が出されている。公務員人件費削減の焦点は地方公務員賃金に当てられ、制度は国並みで水準は地域民間重視の攻撃が強まっており、一時金を含めて賃金の自治体間格差拡大の阻止を課題に08確定闘争を取り組まなければならない。併せて、人事院の「非常勤職員の給与に関する指針」を踏まえた産別内での臨時・非常勤等職員の格差解消、技能労務職員及び地方公営企業職員への不当な賃金削減阻止、労働時間短縮の実現、財政健全化法施行に伴う課題や人事交流に関する事項などを中心に08産別統一要求実現の取り組みも推進する。いずれにしても全水道は労働2権を有する労働組合として団交を行い協約締結で賃金・労働条件を決定する。

衆議院選挙と確定・産別を全力で闘おう
 インフレと不況の同時進行と金融危機に直面する中で総合経済対策の補正予算もあり、臨時国会の動向は定かではないが、総選挙闘争を実質的に推進する中での中央委員会開催になることは間違いない。新自由主義政策の転換を目指す極めて重要な総選挙闘争と08確定と産別闘争を同時に推進する決意を固めあう中央委員会として成功させるよう訴える。

2008年10月10日(金曜日) 960号

新自由主義・カジノ資本主義政策の転換!
総選挙闘争に勝利し、働く者の
「新たな政権」の獲得をめざそう!

全水道副委員長 岡崎 徹

 金融恐慌の崖っぷちに立つ世界経済!
 リーマンブラザースの破綻を契機とした金融不安は、金融恐慌と世界的大不況の危機を孕みながら深刻に進行している。米国の緊急経済安定化法案(金融救済法案)をはじめ世界各国は、慌てて公的資金の注入等、対応を急いでいる。しかし株価の下落は収まらず、NYダウに連動し、東京株式市場も8千5百円台に暴落した。世界経済は「崖っぷち」に立つ。
 ただでさえ新自由主義・市場原理主義により「格差拡大・弱肉強食」社会を強要され、筆舌に尽くしがたい苦しみに喘いできた庶民生活に、いま新たに「世界恐慌の地獄図」不安が追い打ちをかけようとする情況にある。

 新自由主義・カジノ資本主義破綻の責任を取らない政官財!
 この間、米国と一緒になって「カジノ資本主義」に踊り、謳歌してきた輩が、人知れず静かに「地獄の奈落」に突き進むことなら捨て置けば良いが、「ことの性格」は始末が悪い。経済・社会構造の破綻とその影響は、すべて働く者・庶民生活に帰結する。金融恐慌は実体経済に直結し、倒産・解雇が激化し失業者があふれ、一方、生活必需品の高騰などが庶民生活を直撃する。問題なのは、その結果責任を誰も取ろうとしないことにある。事実、このような事態に及んでも、いまだに「政官財」方面から「反省・謝罪」の言はなく、自らの「責任」を自主申告した例もない。

 第123回中央委員会で「総合的な反撃」方針の確立を!
 このような深刻な情況の渦中で、全水道は第123回中央委員会を開催することとなる。
 確定・産別闘争を中心とする秋季年末闘争、政策闘争、政治闘争を柱とした、当面する主要課題の方針確立である。働く者の生活を破壊し続ける新自由主義政策に対し、水関連事業に働く労働者・労働組合の「総合的な反撃」方針の確立を目指す。
 とりわけ衆議院解散・総選挙をめぐる動向については、予断を許さない情況にあり、早急な闘争体制確立を要している。すでに全水道は、この間の定期大会等の機関会議において、総選挙に向けた基本方針を確認してきた経過にあるが、今次中央委員会で組織推薦候補者を確認し、組織的な闘争体制を確立し、総選挙戦の勝利を目指したい。

 衆議院解散・総選挙闘争に勝利し、働く者の「新しい政権」獲得を目指そう!
 「予測不能の世界経済」をもたらした「新自由主義・カジノ資本主義」路線。その路線に乗っかり「働く者の生活」と「人間の尊厳」を破壊し続けた歴代の自公連立政権。その責任は限りなく重い。にもかかわらず、この期に及んでも「解散・総選挙の機をにらむ」
麻生政権の姑息さと悪辣さを許してはならない。全水道は地方確定・産別労働条件統一闘争、政策闘争、総選挙闘争を推進し、今こそ自公連立政権の打倒と働く者の「新しい政治」「新しい政権」の獲得に向け、総力を挙げて闘い抜こう!

2008年11月10日(月曜日) 962号

確定期ヤマ場にむけて
要求実現にむけ全力で闘いの推進を
書記長 久保田 和尊

 全水道は第123回中央委員会で08確定闘争方針を決定し取り組んでいる。格差と二極化の拡大・固定化や貧困という社会問題に加え、金融不安、景気と雇用情勢の悪化が進行している。公務公共サービスの切り捨てと公務員人件費への攻撃が引き続き展開され、財政健全化法の施行でその流れは一層強まるとともに、公務員労働者の雇用にまで攻撃は及んでいる。厳しい状況の中、各単組は生活防衛に向けて08確定闘争を推進している。
 国公の人事院勧告の取り扱いについては、福田前首相の政権放棄による政治空白などにより先送りされてきたが、11月中旬の閣議決定を求めて取り組んでいる。国における給与法、勤務時間法、退職手当法をめぐる取り組みに並行して、地公の確定闘争が山場を迎える。
 政令市や都道府県の人事委員会勧告の概要については全水道闘争情報で資料提供しているが、政令市の6団体や鳥取県・東京都の給料表の引き下げ勧告、福島県・鳥取県の一時金引き下げ勧告に見られるように勧告は厳しいものとなっており、自治体間の格差も拡大傾向にある。
 全水道は、(1)給与、一時金の維持・改善。自治体間格差拡大の阻止 (2)技能労務職員、企業職員への賃金引下げ攻撃阻止 (3)特例条例による賃金カットの終了、新規適用の阻止 (4)臨時・非常勤等職員の処遇改善 (5)労働時間短縮の実現、という基本課題の前進に向けて11月10日から21日を交渉の山場に設定し、労働2権を有する労働組合として積極的に取り組みを進める。また、中央段階では、現業賃金の決定に係る労使自治の尊重や臨時・非常勤等職員の処遇改善も含めて11月後半に総務省交渉や地方財政確立の取り組みを地方公務員部会と共に進める。不当な賃金引下げ攻撃に対決し、公務内格差の是正をはじめ要求実現に向けて全力で闘いを推進しよう。
 ところで、東京都では現業賃金の大幅な改悪提案が行われ、東水労は都労連に結集してストライキを背景に闘いを進めている。提案の趣旨は「現業系職員の給与について、国や民間の給与との均衡を図る観点から、給料表の見直しを行う」ことであり、具体的には、「昇給カーブのフラット化を行いつつ,平均15%(14%〜17%の範囲)引き下げる」というものである。実施時期は09年4月1日としているが、08人事委員会勧告による行政(一)給料表の引き下げ(平均△0・09%)の確定月から09年3月末までは横引きして引き下げたうえで実施するという二重の引き下げとなっている。
 直接の問題としては、(1)二重の昇給カーブのフラット化 (2)最高号給に到達しない職員や40代前半での昇給ストップの発生 (3)これらによる生涯賃金の大幅な引き下げ、などが挙げられる。東京都の行政において、また水道事業において、市民・住民と直接のかかわりを持ち、技術の水準維持と継承に重要な役割を担っている現業職員を差別分断し、現業業務と従事する職員を切り捨てていく極めて不当な攻撃である。
 現業賃金削減攻撃が全国的に強められるなかで全水道は、現業職員の排除・委託化の推進と公務員賃金序列化が攻撃の本質であるとし、08確定闘争ではこれと対決して生活を防衛する確定闘争を推進する。東京都当局の不当な提案を糾弾し、東水労の首都東京での闘いに全国の仲間は連帯の輪を広げるよう訴える。

2008年11月25日(火曜日) 963号

08産別闘争の推進を
労働者の要求前進のため年内決着へ一層の奮闘を
書記長 久保田 和尊

 国公の08人事院勧告について政府は11月14日に勧告通り実施するとの閣議決定を行ったが、法案は未だ国会に提出されていない。公務員連絡会は21日に総務省交渉を実施して法案作業の状況や見通しを質したが、会期延長が不明であるが会期内に閣議決定し国会に提出する努力に変わりはないと述べるにとどまった。  全水道各単組は現在08確定から産別労働条件統一闘争を闘っている。全水道の産別統一要求実現の闘いは、水道・下水道・ガス事業に働く労働者の賃金・労働条件や権利、職場環境確立の闘いとして組織している。08秋季においても、賃金・諸手当に関する要求、臨時・非常勤等職員の賃金・労働条件に関する要求、ワーク・ライフ・バランスや男女平等・共同参画の実現に向けた要求、公営原則など政策課題に関する要求の主要4課題を本部要求の柱とし、地本・県支部・単組要求を付加して要求書を提出し、交渉を展開している。  なかでも、骨太方針を受け焦点化する技能労務職・企業職員への賃下げ攻撃への反撃、臨時・非常勤等職員の格差解消、労働時間短縮の実現、公営企業の役割を放棄し職員の分限免職攻撃に行き着きかねない財政健全化法施行への対応や重要な技術基盤の喪失を意味する人事交流問題を重点要求として取り組んでいる。臨時・非常勤等職員の格差解消については、公務員連絡会の闘いの成果として「人事院の非常勤職員の給与に関する指針」が発出されるとともに、実態調査で明らかとなった全水道各単組における臨時・非常勤等職員の厳しい賃金・労働条件を放置することなく全水道産別における具体的な格差解消の取組として改善を図ること、結成から4年を迎える民間部会関連単組について、民間部会や関連労働者の主体的な要求議論を尊重しつつ、局組合の支援と地方本部の強力な指導性の発揮による要求前進を本部として要請している。  第62回定期全国大会では、全単組要求提出と交渉による統一闘争の推進という点で産別統一闘争が後退していると総括し、産別統一闘争としての集中的取り組みの再構築を図ることとした。09春闘の方針論議で具体化を図るが、春季要求に比べより具体的な回答を引き出す08秋季の闘いで弱点の克服も意識しつつ取り組みを強化する。  地本・単組では厳しい人件費削減や合理化攻撃、評価制度の導入への対応、組合活動規制攻撃などのもとで厳しい闘いを強いられているが、労働2権を有する労働組合として団体交渉による前進と労働協約締結めざし、年内決着に向け一層の奮闘が求められている。第123回中央委員会で決定した、2時間ストの1波配置を最高戦術に時間内外の職場集会や決起集会、36破棄戦術などを有効に組み合わせて闘いを推進していただきたい。  本部では12月22日に開催する戦術委員会にて第1次集約を行い、到達状況を見極めた上で追加方針を提起する。全水道に結集する労働者の要求前進のために、08産別統一闘争を職場組合員の総結集で引き続き推進するようお願いしたい。

2009年3月10日(火曜日) 969号

09春闘ヤマ場に向けて
要求の前進にむけて職場・地域から全力で奮闘を
書記長 久保田 和尊

 全水道は第124回中央委員会で09春闘方針を決定した。16日からの民間大手組合の第1の山場の闘いに支援・連帯すると共に、自らの要求前進に向けて、職場・地域から全力を挙げるようお願いする。

(1)現状と連合の闘い
 世界的に金融危機と大不況に見舞われ、日本でも実質成長率が10%を超えるマイナスとなり、雇用情勢も一段と厳しくなっている。
 このような中で経営者は労働者に犠牲を押し付けている。連合と雇用安定に向けた共同宣言を締結したにもかかわらず、解雇攻撃を一層強めるとともに、労働者へのWジョブの強制と賃金引き下げを目的とした「ワークシェアリング」攻撃を企業別に仕掛けてきた。賃金については、ベアの否定に止まらず賃金体系への切り込みや手当削減攻撃を強めている。「雇用も賃上げも否定」である。
 連合は「雇用も賃上げも」要求して取り組んでいる。共闘連絡会議、中小共闘・パート共闘や有志共闘の強化で前進をめざしている。企業内労使関係の枠内での決着との経団連の思惑を破る闘いが必要だ。全水道は、自らの要求の前進と合わせて、民間労組の闘いに連帯し、奮闘する。

(2)全水道09春闘基調
 全水道は「春闘の再構築で、すべての労働者の雇用と生活できる賃金の獲得を」「分断を許さず、社会的要求の前進を」「水道・下水道・ガス事業の公営原則の防衛を」「労働基本権回復をはじめとした公務員部門の前進を」「新自由主義を終焉させ、政策転換を」「09春闘を真に『働く者の闘いの広場』として推進を」との基調の下、09春闘を闘う。

(3)09春季産別統一要求
 09春季産別統一要求については、「賃金・諸手当に関する要求」「臨時・非常勤等職員の賃金・労働条件に関する要求」「ワーク・ライフ・バランスや男女平等・共同参画の実現に向けた要求」「公営原則など政策課題に関する要求」を柱に、「臨時・非常勤等職員の賃金・労働条件要求の前進」と「事業の技術基盤の維持・継承」を重点要求に設定した。民間部会関連単組については重点課題を設定した。単組要求を付加して全単組で取り組みを進め、3月23日をめどに回答の引き出しを図る。

(4)公務員連絡会の闘い
 公務員連絡会は2月19日に要求書を提出し、3月5日に幹事クラス交渉を行ったが、回答は総じて抽象的なものに止まっている。13日には第2次全国統一行動と中央行動を背景に書記長クラス交渉で追い上げを図り、23日の回答指定日に向けて取り組みを強化する。
 全水道は、3月13日に総決起集会を開き、山場に向けて職場・地域から全力で奮闘する決意を固める。

2009年4月10日(金曜日) 971号

第28回労研全国集会の成功に向けて
社会的、職場組合員から信頼を得る
労働運動の発展・継承を

書記次長 岡 一広

 今回の労研集会は、北海道地本並びに札幌水労のご協力により、北海道札幌市内において5月21日から3日間の日程で開催することとなります。
 労働運動研究活動は「理論と実践の全水道」をスローガンとして掲げ、常に時代状況を的確に受け止め通年労研活動として取り組まれてきました。その中心として隔年開催で行われた労研全国集会では、その時々の重要課題についての学習・協議、各地での取り組みや闘いの交流を通じて、労働運動総体と産別全水道が直面する課題について研究討論を深めあい、全水道労働運動の充実と前進を図るうえで大きな役割を果たしてきました。
 また、今集会は、自治労、都市交との三単産統合を2010年9月に控え、全水道単産として58年の歴史の集大成ともいえる集会となります。
 昨秋からの世界同時不況は、深刻な経済危機を日本にも及ぼし労働の切り捨て賃金の抑制と経営者や株主よりも労働者に多大な犠牲を強いています。今春闘で連合は「雇用も賃上げも」としてベア要求を掲げて取り組んだものの、多くの組合で要求を実現することができない状況になっています。しかし、労働を中心とした福祉型社会の構築を進めるために労働組合が先頭に立ってそれぞれの立場で労働条件向上に向けた取り組みを進めなければなりません。
 集会の初日には北海道大学の山口教授を招き“日本の民主主義・未来への課題と労働組合の役割”と題して記念講演を行います。解散総選挙がまぢかに迫ってきましたが、自公政権に終止符を打ち、新自由主義のもとで進める構造改革によってもたらされた矛盾を解決し、小さな政府づくりを転換する政権交代を実現しなければならないという考えに基づいて、働く者の新たな政権の確立に向けた議論を行いたいと考えているところです。
 また、2日目には労働講座を開催し、公務員制度改革・労働基本権問題を中心に議論を行います。午後から行われる6つの分科会では、水道・下水道・ガス事業において民営化や業務委託の攻撃が引き続き行われようとしている現状を踏まえ、公務員賃金・産別賃金の現状と課題、公営企業としての権利・労働基本権のあり方と深刻化する非正規雇用の実態、組織強化・拡大の課題と記念講演を受けた政治闘争課題、水基本法の制定を柱とした政策闘争課題と水を巡る世界情勢、民間部会のおける各単組課題、青年女性部の持つ独自課題と組織拡大などについて議論を深めあい労研全国大会の充実を目指してゆきたいと考えています。
 これまで全水道が築いてきた労働運動を継承し発展し続ける上で、全水道労働運動が社会的にも職場組合員からも信頼を寄せられ続ける指標を築く労研全国集会として成功するよう努力しあいたいと考えています。
 なお、集会3日目に地公三単産組織問題を中心として第125回中央委員会を開催することで、開催要項を一部変更した運営となっていることをご理解いただき、ご協力をお願いします。

2009年4月25日(土曜日) 972号

矛盾だらけの人事院「夏季一時金臨時調査」
政治圧力に屈した人事院
本来の役目を見つめ直せ

書記次長 西川 正夫

 人事院は4月7日から4月24日にかけて、公務員連絡会の反対にもかかわらず、夏季一時金の臨時調査を強行した。
 これは、自民党PTが「この夏の民間ボーナスが大幅に削減され、雇用不安がある中で公務員だけノウノウと夏季一時金を受け取るのか」と言い出し、一時金削減の議員立法提案も構えた。これを引き取って公務員改革の動きみた上で、人事院はその存立のためにも特別調査に入ったのではないか。こうしたことは、「過去にもあった」と強弁しているが確かに1974年第一次オイルショック時30%を超える物価高に当時の公務員共闘がストライキを構えて闘い、人事院が臨時調査をして0・3ヶ月を勝ち取った。要は物価高に公務員の生活防衛のために行ったのであり、削減のための調査とは話が違う。人事院は、労働基本権の代償機関であることを自覚すべきだ。
 しかも、この調査内容自身が無理矢理である。この時期の調査は、「2700社を対象に昨年度との増減分を比較すると言っている」これは、人事院勧告は水準=金額を公民比較して出すものだが、この時期では金額が出てこない。しかも、労働組合があり春闘で回答したところしか決まっていない。労働組合のないところは未だ決めていない。なかには、組合には回答したが会社全体、管理職分は決めていないところもある。しかも、圧倒的多くの中小企業は未だ春闘の交渉中だ。結果、20%程度しか出来ないのではないかと言われている。これでは、新たに調査しなくても連合の調査報告で十分になる。すでに、人事院は国会で「連合の(中間)調査では、約13・6%のマイナスと承知している」と答弁している。結果ありきの特別調査だと言われても仕方がない。“これが民間調査結果だといえるのか?”公務員連絡会の追求に「勧告については、調査の結果により判断する」としているが5月の連休前後に勧告する構えになっている。公務員連絡会は4月28日こんなデタラメの勧告を許さない緊急の中央集会を行う。
 私たち地方公務員は、さらに矛盾が拡大する。仮に、人事院勧告がされれば地方は無視が出来ない。しかし、独自調査を地方の人事委員会が行うとしても、対象企業がほとんど無いところ、仮にあっても地域差がとんでもなく発生をしてしまう。また、調査なしで国準拠とした場合、これまで「制度は国、水準は地場」としてきたことに矛盾する。ただでさえ、6割の自治体が特例条例による賃金カットをしており、国の水準を下回るところが多い。そして、地方議会は6月、基準日の6月1日に条例可決が間に合わず、そのための臨時議会の招集をしなければならない。あげくに、国の政局は流動的。いつ解散になるか解らない。あわてた地方だけ一時金カットとの事態が起こりかねない。
 こうした、矛盾だらけの人事院「夏季一時金特別調査」だ。人事院自らが、その本来の役割をもう一度見つめ直す必要がある。そして、国家公務員、地方公務員がこの時期に夏季一時金削減が強行されたら、さらに賃金低下を招き、景気を後退させ、疲弊している地方経済に影響をしてしまう。政治も単なる人気取りに走らず、この事態を真剣に考えるべきだ。

2009年6月25日(木曜日) 975号

09人勧期ヤマ場にむけて
地公賃金闘争の再構築をふくめ全力で09賃金闘争の推進を
書記長 久保田 和尊

(1) 公務員連絡会の09人勧期闘争方針
 6月24日に委員長クラス交渉委員が「2009年人事院勧告に関わる要求書」を提出して人勧期闘争をスタートさせた。民間の月例給の相場は現状維持か微減であり、一時金も昨年冬が微減で本年夏が大幅減となるなかでの人勧期の闘いである。
 このように厳しい情勢の下で、(1)月例給与の水準を維持する勧告 (2)地域別官民比較に基づく俸給表水準等の見直しを行わないこと (3)一時金については、精確な民間実態の把握と官民比較を行い、生活を守るために必要な支給月数を確保すること、を重点要求に設定し、取り組んでいる。  7月14日に第1次中央行動と幹事クラス交渉、7月24日に第2次中央行動と書記長クラス交渉を配置し、8月上旬の勧告直前には委員長クラスによる人事院総裁交渉で最終回答を引き出す。職場からは、4次にわたる全国統一行動と個人要請はがき行動に取り組む。

(2) 地公部会の09人勧期闘争方針
 各人事委員会に対しては地公共闘を強化して、公務員連絡会の方針を基に、(1)自宅に係る住居手当は、地方公務員の住宅制度を踏まえて廃止や引き下げを行わないこと (2)非常勤・臨時採用職員の処遇改善、安定雇用に関して、人事委員会として積極的な対応を行うこと、などを要求し交渉する。  総務省に対しては、自宅に係る住居手当の廃止問題や民間の育児・介護休業法改正に係わる取り組みをはじめ、人事院勧告後には、(1)地方公務員の生活改善のための所要の財源確保 (2)労使の自主的交渉による賃金・労働条件の決定 (3)地方財政危機を公務員賃金や行政サービスにしわ寄せさせないこと、などを要求し交渉を行う。
 要求の前進のために、7月24日の公務員連絡会第2次中央行動に合わせて地公部会独自集会と総務省交渉を実施する。また、総務大臣あての大型はがき行動で、自宅に係る住居手当の廃止反対などの意思を示す。

(3) 全水道の賃金闘争の取り組み
 全水道は公務員連絡会・地公部会の方針を受け止めて09人勧期の闘いを全力で取り組む。7月24日の第2次中央行動には全国代表動員体制で結集する。
 地方公務員賃金をめぐっては、「制度は国並みで水準は地域民間賃金」に示されるように賃金引き下げ圧力が強められ、総務省の「技能労務職員の給与に係る基本的考え方に関する報告」に示される現業切り捨てと一体となった賃下げ攻撃が強まっている。このように賃金制度改悪と水準切り下げ攻撃の中で、人事評価制度の導入と賃金・処遇への反映が進められている。
 09夏季一時金については多くの都市で不当な一部凍結が実施されたが、その総括を踏まえながら、厳しい状況下にある09人勧期闘争を闘い、確定闘争への基礎をつくる必要がある。2012年には、労働基本権回復(非現業公務員への協約締結権付与)が想定されており、地公の賃金闘争の再構築が求められる状況となっており、全水道は賃金闘争の再構築も念頭において09賃金闘争を進める。

2009年7月10日(金曜日) 976号

全水道第63回定期全国大会の成功へ
全水道の団結で労働組合の役割を発揮し、前進をめざそう
書記長 久保田 和尊

 7月16・17日の2日間、熱海市において全水道第63回定期全国大会が開催される。
 この1年間、「働く者の闘いの広場」としての09春闘の推進や春闘期・人勧期・確定期を通じた賃金闘争、08秋季と09春季の産別労働条件統一闘争、公営原則防衛と事業基盤確立に向けた全水道政策闘争、労働基本権確立の闘い、反差別・人権確立、護憲・反戦・平和などの政治的闘いなどを中央・地方で連合、公務労協・公務員連絡会・地方公務員部会をはじめ平和フォーラムなどに結集して闘いを進めてきた。
 地公三単産組織統合にかかわっては第125回中央委員会で明らかにしたように、第15回統一組織委員会で「地公三単産の組織統合による新組織結成については断念せざるを得ない」ことが確認され、統合協議は終了することとなった。各単組の多大なご努力に感謝申し上げるとともに、所期の目的を達成できず、期待に応えられなかったことを深くお詫びします。第63回全国大会では、「地公三単産組織統合問題の総括、並びに産別全水道の強化について」考え方を提起するので、全水道の強化方針の確立をお願いしたい。
 金融危機と「100年に1度」と言われる大不況の元凶である新自由主義の破綻は明確になったが、日本では未だ公共サービスの解体と私企業化が進められ、水道・下水道・ガス事業の民営化や業務委託の拡大攻撃がやんでいない。水問題は政治課題となっており、政策闘争と反合闘争を結合して闘いを進めるとともに、念願の水基本法制定に向けて大きく踏み出すことが求められている。
 公務員賃金の不当な序列化、現業解体と現業職員・地方公営企業職員の賃金削減攻撃を許さず、09秋季産別統一闘争で公共サービス基本法成立の意義を踏まえて非常勤職員の雇用の安定と処遇改善、賃金労働条件の維持・向上などを要求して全単組で取り組みを強化しなければならない。
 新たな国家像の確立とそれに伴う統治機構再編の動きが加速している。労働基本権回復も行政改革の中に位置付けられており、権利の後退を許さず労働3権の確立をめざす。一方、パラダイム転換が求められている中で、公務員労働組合への攻撃も強まっており、その本質を見抜き、警戒感を強めつつ、公務員労働者が国民と分断されることのないよう、公務員労働組合の社会的責任を発揮しなければならない。
 新自由主義政策では労働者や国民生活の危機を解消できない。自民党は政権担当能力を失い麻生政権も求心力を低下させており、政権交代の期待が高まっている。衆議院選挙勝利で与野党逆転を勝ち取り、新自由主義政策の転換を図るため、全力を挙げて奮闘しよう。
 安心・安全で平和な労働を中心とした福祉型社会を作り出すことは労働組合自らの任務である。厳しい情勢にあるが、定期大会を成功させ、本部・地本・県支部・単組が統一と団結の下で労働組合の役割を発揮し、前進をめざそう。


2009年9月10日(木曜日) 979号

地方確定闘争へむけて
月例給・一時金・自宅に係る住居手当
生活防衛へ闘いの組織化を

書記長 西川 正夫

 09人事院勧告内容は、月例給0・22%、863円マイナス、一時金0・35月マイナス、自宅に係わる住居手当の廃止、給与構造改革・労基法改正に伴う超過勤務手当の割増率の増、育児・介護休業法改正に伴う育児休業法改正へ向けた意見の申し出、高齢者雇用―定年制の延長等である。
 麻生内閣は、早々に8月25日人事院勧告完全実施を閣議決定した。選挙を睨んで公務員賃金削減を実施すると宣伝するために、議論も何もない無責任な、おそらく過去最速の閣議決定を行った。
 鳩山新政権がどのような対応になるか、具体的方針は定かではないが、公務員に対する厳しさは増すことはあれ、減ることはない。とりわけ、地方にとっては月例給のマイナス、一時金のマイナス、住居手当のマイナスというトリプルマイナスとなる事態を迎える。したがって、今期の人事委員会対応と地方確定闘争は今までにも増して組合員の生活防衛にとって重要な闘いになる。

(1)月例給・一時金の対応
 各地方人事委員会に対して、月例給・一時金は国の削減勧告の中で、これを大きく変更させることは厳しいが、独自給与カットが6割も行われておりカット後の賃金比較を行わせる。このことを基本に、少なくとも「報告」にカット前とカット後の数字を入れさせる等、この独自削減が不当であることの記載を求めなければならない。その上で地方確定闘争は少なくとも、国を下回らない水準の確保と独自給与カットを考慮させた内容を勝ち取らなければならない。

(2)自宅に係る住居手当の対応
 自宅に係る住居手当削減は、廃止を1年延期させた上で廃止そのものを阻止することはできなかった。しかし、この間の闘いによって、人事院にはその理由を明記させ、説明会では「国には公舎がある」とまで言わせてきた。また、総務省は「自宅に係る住居手当は廃止」を助言したが、その表現は「廃止を基本に」と役所用語で最も弱い表現とさせ、国と地方の実態の違いについて裁量の余地を残した。
 従って、地方人事委員会に「廃止勧告」をさせないことが重要で、少なくとも「報告」に止めさせ、労使交渉の余地をのこさせなければならない。
 自宅に係る住居手当は、国と地方の住宅実態が全く違う。全水道生活実態調査において60・7%が持ち家であり、内80%がローンの返済中であり、この手当廃止は組合員の生活に直結をする。従って、生活防衛の立場から執拗に交渉し防衛しなければならない。
 その上で基本は、第一に「自宅に係る住居手当」の制度を残させる。第二に国の人勧のマイナス863円の内209円が住居手当廃止分になっており、地方では公民較差外である。これを削減したら、まるまる財源が余る。仮に、現水準を守れない場合、この原資については別途、生活費として確保する必要がある。

(3)地方確定闘争を生活防衛として闘おう
 09賃金確定闘争は、この他に労基法改正に伴う超過勤務手当の割増率の増、育児・介護休業法改正に伴う育児休業法改正へ向けた意見、高齢者雇用―定年制の延長等の人勧関係の課題と現業賃金削減攻撃や人事評価制度の課題を抱える。これ以上の給与削減を許さず、生活の防衛をかけて闘いを組織しようではありませんか。


2009年9月25日(金曜日) 980号

第126回中央委員会の成功へむけて
運動の実践をもってライフライン事業の再生を
書記長 西川 正夫

 9月15日民主党を中心とする民主・社民・国民新党連立の鳩山政権が誕生した。全水道は今回の総選挙を「新自由主義からの脱却」を目指して政権交代を訴え、単組・組合員の皆さんにこの選挙への協力を訴えてきました。皆さんの力で、政権交代を実現したことにお礼を申し上げます。
 これを「民主革命だ」という人もいます。「革命」という意味では「価値観の転換」であり、戦後だけでなく、明治以降の日本の議会制民主主義の中で初めての本格的政権交代を果たしたわけで、この意味は大きい。ただし、これで万事うまくいくのかと言えばそうではありません。確かに、政権との距離は近くなり、私たちの主張も言いやすくなります。全水道の政治方針である「民主・リベラル勢力の結集」との方針からは前進をしています。ただ、民主党の中にはいろいろの人が居ます。具体的には、民主党は「国家公務員の人件費2割削減」をいっており、財政逼迫の中で公務員の人件費攻撃は強まると考えるべきです。公務員連絡会も今年の人事院勧告の政府の取り扱いについて「仮に政府が人事院勧告を無視した給与削減等を検討する場合には、その阻止に向けて全力で闘いを進める。」としています。どんな政権であれ、労働組合は使用者である政府に対して、その立ち位置をはっきりすべきです。
 もう一つ考えるべきことは、新自由主義が小泉政権にみられる様に全てを市場原理が万能であるとして市場の競争原理を当てはめ競争を煽り、これに敗北するものには自己責任として切り捨ててきた。結果、社会のセイフティーネットがずたずたにされて圧倒的少数の富裕層と多数の貧困者を生み出し生きることさえ困難な社会を作り上げてしまった。こうしたことを批判してきました。批判をしてこれを打倒したからには、今後どうするのか私たちにもその責任があります。いみじくも今、私たち全水道は地公3単産組織統合を断念し、新たな組織の強化発展が問われています。その中身は、新自由主義によって私たちの職場であるライフライン事業がずたずたにされています。この再生を私たちが、公務員身分にしがみつき自らの労働条件にのみ集約してしまったら相手にされないでしょう。水道・下水道・公営ガスという生活にとって欠かすことの出来ない事業の労働を担っているものとして、この社会に、とりわけ、そこに住む人々、地域社会に、安心安定的公共事業として共に生き再生できるように働きかける。また、そのことのためにもその労働者(私たちと関連民間労働者も含む)に安定的労働条件が必要であることを訴える必要があります。そうした目標を、全水道の目標として明らかにし実践しなければなりません。きたるべき、第126回中央委員会は、まずそのことを確認して闘う方向を決定しようではありませんか。


2009年10月10日(土曜日) 981号

平和運動の推進に向けて
中央・地方を貫き、平和運動を継続して取り組もう
書記次長 岡 一広

 全水道は、これまで政党との協力・共同関係を「社民・民主・リベラル勢力の総結集」との基調をもとに対応してきました。そして、具体的な取り組みとして、護憲、反戦・平和、反差別・人権確立、政治活動を結合させた闘いを総合的な取り組みとして強化し、国会対策や大衆行動にのぞみ、平和フォーラムを中心とした広範な人々と共に積極的に取り組みを進めてきました。
 民主党を中心とする政権が確立をし、社民党、国民新党との政策合意では、私たちが求める方向へと動き出す可能性が高まったといえます。
 平和フォーラムは、「めざしてきた『憲法理念』が実現する『可能性』が大きく拡大し、『権力維持・癒着・利権構造の解体』が出来る『可能性』も拡大した。このような事態は、明治維新、戦後の民主化と匹敵する改革の質をもつ画期的な事態である。こうした本質を踏まえ政策実現に向け全力で取り組まなければならない。今後の大衆運動は、政権政党を支える立場から『請願・要請』行動に性格が変化する可能性もある」としています。
 しかし、新政権は誕生したばかりであり、沖縄の基地の問題や横須賀米海軍基地の原子力空母母港化をはじめ全国にある基地問題はその解決の糸口さえ見えない段階にあります。
 「核」の問題についても「核兵器廃絶」は、オバマ大統領が宣言したことにより全世界で動き出しました。また、鳩山新総理は、温室効果ガス排出量を25%削減するために経済政策としてクリーンエネルギー事業が生まれるとしており、私たちの願いが大きく動く可能性はあります。しかし、原子力発電所の新増設やプルサーマル計画は、今もなお進行しています。
 さらに、日本における米軍基地問題も普天間基地の辺野古移設見直しも表明されており、今こそ日米地位協定見直しや米軍基地問題解決を確実なものにするため、中央・地方を貫いた運動が必要です。
 全水道各単組は、これまでも地域から護憲、反戦・平和の運動に取り組んできました。さらに新政権が政策を進めるためにも私達の取り組みが重要となっています。引き続き平和フォーラムに結集し、護憲、反戦・平和、反核、平和運動を積極的に取り組んでいかなくてはなりません。
 当面、次の課題を中心として、積極的に取り組みます。
(1)第46回護憲大会(長野県・長野市)
11月1日〜3日
(2)食とみどり、水を守る全国集会(島根県・松江市)
11月27日〜28日
(3)もんじゅの廃炉を求める全国集会(福井県・敦賀市)
12月4日〜5日


2009年10月25日(日曜日) 982号

共済組織の今後の在り方について
組織決定へ向け職場討議を進めよう
副執行委員長 臼田 秀司

 私達全水道共済は、労働組合組織統合に関連して「共済組織の今後の在り方」について組織討議を進めてきましたが「地公3単産による新組織結成は断念する」との組織決定を受けて、この職場討議は一旦白紙に戻すこととしました。
 その後、通常総代会や全水道大会の議論を踏まえ、10月14日に開催した第3回理事会で「共済組織の今後の在り方について(案)」とする職場討議資料を確認して頂ました。
 今後は、10月下旬から職場討議をお願いし、来年1月22日に予定する全水道2010春闘討論集会時に「全水道共済第63回臨時総代会」を開催して、「基本方針」の確認をお願いしたと考えております。是非、地本・単組、組合員の皆様の積極的な討論をお願いするものであります。
 先の「職場討議」は、「労働組合組織統合が実現される」ことを前提としたものでありましたが、今回の提起は「地公3単産による新組織結成は断念する」という事実を踏まえ「今後の共済組織のあり方」について、検討するものであります。そのような立場からいえば改めて、4つの選択肢についての整理が必要であります。そこで、(1)全水道共済と自治労共済が組織統合するケース。「地公3単産による組織統合は断念する」とされ、お互いの組織間に重大な対立点があったと判断せざるを得ないものです。従って、現状ではこの形態を選択することはできないと判断されます。(2)地域全労済(県労済)との連携を図るとするケース。実質的には全水道共済の解散を意味するもので、基本的にありえないと判断します。(3)全水道共済を維持するケース。現状の組織と制度を変更することはありませんし、諸先輩が築き上げてきた組織を守り発展させていくという意味では、組合員の皆さんにも理解が頂けるものと判断されます。問題は、現実に組合員数と契約件数・口数が大幅に減少しており歯止めがかからない現状にあり、将来的に健全な経営が維持できるのかということにあります。理事会としては「全水道共済の現状」を見た時に、この方針を選択することは極めて困難と判断しています。(4)全水道共済が全労済職域本部として組織統合するケース。森林労連共済や全たばこ生協と同じように全労済と組織統合する方式です。「全労済全水道共済本部」という形「冠」をかぶり全労済としての事業目標が設定され、事業実績に応じて役職員数や事業経費が配分されことになりますが、経営の主体は全労済であり、効率的な事業執行と経営基盤の強化が可能となります。また、現行より共済種目が多岐にわたり組合員の保障の選択の幅が増大することにもなります。
 以上、4つの選択肢を示し、その問題点について提起してきましたが、しかし、「労働組合の組織統合が断念された」ことからいえば、選択肢は限りなく狭められており、結論としては、「全労済の職域本部として組織統合する」ことを組織の判断とし、職場討議をお願いするものであります。
 いずれにしても、全水道共済の今後の在り方を決定する重要な職場討議でありますので、秋季年末闘争でお忙しい日程とは思いますが、是非、職場討議の場を設定して頂きますよう重ねてお願いいたします。なお、具体的な今後の進め方については、全水道専発09―12号「共済組織の今後の在り方について(案)」9ページ(2)今後の進め方、を参照願います。

〈今後の進め方〉
 (1)「職場討議の集約」11月24日に予定する第4回理事会、第2回中央推進委員会合同会議で、中間集約を予定。遅くとも、12月22日第5回理事会で1月22日に開催予定の第63回臨時総代会に提出する議案を確認。(2)10年1月22日「第63回臨時総代会」で職場討議を受けた「基本方針」の確認。この決定を受けて、全労済との間で「統合準備委員会」「統合作業委員会」の発足を確認。統合に向けた、基本骨格の協議の開始。(3)10年2月「第127回中央委員会」での「基本方針」の組織決定。(4)10年6月「第64回通常総代会」で、事業(組織)統合の基本骨格協議を踏まえ、「組織統合」の最終確認。これ以降、細目協議。(5)10年7月「全水道第64回大会」で事業(組織)統合の最終組織決定。(6)2011年6月を目途に「全労済との事業(組織)統合」を進める。

2009年11月10日(火曜日) 983号

09賃金確定期ヤマ場へ向けて
労働二権を基礎に確定ヤマ場を闘いぬこう
書記長 西川 正夫

 全水道は第126回中央委員会で09賃金確定闘争方針を決定し、闘いを取り組んでいる。政権交代が実現したが、社会の格差と二極化の拡大や貧困問題はいまだ解決していない。むしろ、昨年からの金融危機と雇用不安の深刻化はより増している。地方財政は税収不足を抱え、より危機的状況を迎え、安易な公務員人件費削減による公務公共サービスの切り捨てが引き続き強まる情勢下にある。こうした中、各単組は組合員の生活防衛に向けて09秋期賃金確定闘争を闘い抜いている。
 国公の人事院勧告は月例給△863円△0・22%・一時金△0・35月(4・15月)とマイナス勧告となり、その取り扱いは旧麻生政権が異例の総選挙直前の8月25日に閣議決定した。新政権は原口総務大臣が10月9日の公務員連絡会の交渉で、人勧を実施するのは当然とした上で「公共サービス基本法の提案者として、公務に働く皆さんの権利・労働条件の整備が何よりも大事なことだと思っている」と発言して、今次臨時国会での関係法案の成立を目指している。
 政令指定都市の人事委員会勧告は、仙台市がプラス112円(0・03%)の較差で改訂見送り、名古屋市が最低の月例給△12、740円(△2・99%)、一時金は浜松市が△0・40月(4・10月)札幌市0・30月(4・10月)他は0・35月(4・15月)であった。都道府県人事委員会では3県でプラス勧告したが改訂見送り、最低は島根県の△10、867円(△2・83%)、一時金も島根県の3・65月と4月を割った県が山形・長野・鳥取4県と厳しい状況となった。これに加えて、国の自宅に係わる住居手当の廃止を受けての取り扱い、独自給与カットの取り扱いを巡って労使交渉が行われている。
 全水道は、(1)生活防衛としての給与・一時金の維持・改善(2)自宅に係わる住居手当の防衛(3)労基法改正に伴う超過勤務手当の割増率の増(4)育児介護休業法改正に伴う改善(5)現業賃金削減を許さない闘い(6)競争と分断を持ち込む勤務評価制度導入反対の闘い(7)臨時・非常勤等の職員の処遇改善(8)所定労働時間の週38時間45分、1日7時間45分の早期実施(9)福利厚生事業の締め付け反対などの賃金関係の闘いと共に、(1)浄水場・料金関係委託等の合理化反対(2)定数削減を許さない退職者の補充(3)技術基盤の低下を招くような市長部局との人事交流反対(4)技術継承・確立のための新規採用の実施などの産別要求の前進を目指して11月9日から20日へかけて集中交渉・決着ゾーンと設定して闘いを取り組むこととしている。また、中央においてもこれを支援する意味で10月から公務員連絡会で地方財政確立へ向けて総務大臣政務官、財務大臣政務官申し入れ行動。地公部会では地方公務員給与決定へ向けて総務省公務員部長交渉を行い、全国知事会・市長会・町村会等への要請行動も予定している。
 09確定闘争は、厳しい民間の情勢を受けて月例給・一時金ともマイナス勧告、自宅に係わる住居手当廃止を含めてという情勢の中での闘いとなっている。一方で、新政権は2012年の公務員制度改革の中で労働基本権付与に積極的姿勢を示している。労働条件の全てが交渉を労働協約締結の移行などの中で、全水道はこれまでも労働二権を有する労働組合として闘いを進めてきた。今次確定闘争も団体交渉と労働協約締結にけじめを付けて、対当局との整理を行うものとして、職場の労働条件と水道・下水道・公営ガス事業という地域の重要な公共サービスを担う責任のある労働組合として対当局に迫り、闘い抜こう。